初めての関係
ユーリエとタイロン
むむむ・・なんだかおかしな事になってきた気がする。
イケメンはどこ?
「きちんと紹介しておこう。
今日からお前の側に仕えるユーリエ・カミュだ。
学院卒業後、高等院の騎士専科と側仕え専科を首席で出ている。騎士団にも1年ほど所属していて騎士団長から接近戦では団でも1.2を争う腕前だと折り紙付きだ。
そして、教育係を務める事になる、タイロン・カミュだ。
学院でも主席だが、文科大学院でも主席で教育学の専門課程を取っていて王宮での勤務経験もある。王から直々の推薦も貰っている。」
おぉ!お父様。どんだけ頑張っているんですか!
しかし、ここはお父様、私のために立派な人たちをありがとうございます。
王からとか、騎士団長からとか、コネ使いまくりですよ。
私は今、情けない事にお父様の膝の上。
これでは、かっこ悪い。挨拶は大事。
「おりましゅ。」
お父様の膝から降りて、ご挨拶。
「れおん・じりゅべーりゅ・ゆーりゅべりゅでしゅ。1ちゃいになりまちた。よりょちくおねがいいたちましゅ。」
丁寧に言う。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。立派なご挨拶ですね。」
「私も、よろしくお願いいたします。」
兄弟の二人は全然似ていない。
同じなのは、背の高さ。
ポッチャリさんとムキムキさん、見た目は大違いだけれど、きっと体重も同じかな。
「旦那様、1歳になられたばかりとお聞きしておりましたので、学習の準備等しておりませんでしたが。賢いと思われますのでご本人に希望をお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「本人に?答えるかどうかはわからないが、構わない。学習に関しては、タイロン殿に裁量は持たせよう。」
「ありがとうございます。」
ポッチャリさんが膝をついて私と目を合わせる。
「若君は何か知りたい事がございますか。一緒に学んでいきましょうね。」
ん?と考える。
知りたい事??
どうしてカミュ兄弟はイケメンじゃないのか?
ん・・・じゃなくて聞きたいことは聞かなくちゃ。
「ふたごでしゅか?にてないでしゅね?」
ぶっ!
3日後に生まれた弟、そこ吹かない!
「ふっ、双子をご存じですかぁ。似てない双子もいるのですが、私たちは母親が違うのです。そして二人とも母親に似ている?のです、たぶん。多分というのは私たち母親を知りませんので、父親に似ていなければ母親に似ているのかなぁ?というぐらいで。」
「おかあしゃま、ちらない?なぜ?」
「なぜなのでしょうね?って」
「旦那様、なんだか聞かれているのですが、大人の事情等お話してもよろしいのでしょうか?」
「多分、解らないと思うが、話して構わない事なら聞かせて良い。ただし聞いただけで理解はできないと思う。レオンは説明されるのは好きなようだし、最近は、あちこちにひっそり潜んでいて人の話を聞いている気がする。どうせ盗み聞きすると思うから、話してやってくれ。」
あれ?知られてました。寝たふりバレてましたか・・・。
「では、レオン様」
ポッチャリさんが抱き上げる。
「20年ほど前父親が、外務の関係で隣国に在中いたしました。1年ほどの勤務の後連れて帰って来たのが私たちという事で。母親は付いて来なかったそうです。」
単身赴任中に羽目を外してしまったのですね。
「おかあしゃまいないでしゅか。」
抱かれたまま、頭ナデナデしてみる。
ビックリしたようにポッチャリさんの眼が丸くなる。
そして、にっこり笑う。
「父はこちらの国に、奥様がおられて兄が2人。実は学院に入るまでは、母親が違うなんて思ってもみませんでした。自分たちは双子だと思っていましたから。母上が実は義母などと思ってもいませんでした。それだけ、兄上たちと隔てなく可愛がってもらいました。で後で聞いたのですが父が連れ帰った私たちを見た時『男の子しかいないからどちらか女の子なら良かったのに。でも小さい子は、男の子でも可愛いものね。』と言ってくれたそうです。兄たちも義母に似てとても優しかったです。きっと、あのまま隣国にいるより可愛がって貰えていると思います。まぁ、この生意気な弟以外は優しい家族です。」
「他には、知りたいことは?」
「かじゅとじがちりたいでしゅ!」
元気にお返事。
「数字と文字ですか?」
さすが教育学専攻。
おこちゃま言葉もばっちり理解してますね。
「あい!」
元気に手を挙げて。
兄だけに仕事を振って生意気な弟をガッカリさせては主失格。
「ゆーりえ。」
「はい。」
「おやちゅのよういをたのむでしゅ。」
「おやつですね。お時間には用意いたしましょう。お飲み物は?」
「みるくをたのむでしゅ。」
「はい。かしこまりました。」
お父様が笑っていますが
初めての侍従関係うまくいきそう?です。
タイロン=ポッチャリになってしまいました。