ストライク?!
歩く理想を想像した事ありますか?
赤ん坊のできる事ってほとんどない。
今も、ベッドの中で自分の足を摑まえて指を数えている。
1.2.3.・・・この世界でも指は5本。
「だぁ、ばぁ、まぁ。ムニュムニュ。」
退屈なので、言葉の練習を頑張っている。
お腹が空いて泣くのと、眠くて泣くのが忙しいので、練習にとれる時間は多くはない。
早く、喋れるようになってオムツから解放されたい。最近はそれが、1番の願い。
部屋の入り口が騒がしくなる。
メイドの群れが現れる。来客らしい
心なしかメイドの声がいつもより高めな気がするが、ベッドの中からは覗けない。
「ふぅ、この子か。」抱き上げられる。
ストラーーーイク!!!
「ばっぶぶ!!」(結婚して下さい!!)
昔の私の理想男子が私を抱きしめてる。気絶しそう・・しないけど。
白髪交じりの黒い髪に、蒼い瞳。眉間の皺も素敵だ。
50歳前後のダンディな殿方。妄想の中でしか現れなかったアイドル(偶像)。
黒い長めの上着には豪華な刺繍。身分も高そうだ。
残念なのは歳の差・・・・。
前の私なら、お見合いにこの人が現れたら、逆プロポーズして、断られたらストーカーになって・・ませんね。プロポーズできる根性あったらとっくに彼氏とかいたかもしれないし。いやきっと居たはず。顔が良いだけじゃ性格判らないとか、いろいろ言って。まず近づいてさえいないはず。
ふむ。この人生頑張ろう。
「やっと会えた。任務を終って帰路がこんなに長く感じられたのは初めてかもしれん。」
そんなに、私に会いたかったって事。愛されてる。
この人生楽しもう。
おじい様でした・・・。
いやー本当に、こんな人が理想だと思って想像する、けれどそれを言葉で表現しようと思ってもなかなかできない。私も今目の前におじい様が現れなかったら知らなかったよ。
歩く理想がいるなんて。
「しばらくは滞在するから、また顔を見に来る。」
眼福です。おじい様お待ちしてます。
今のところ、お父様以外に私の顔を見るのは、お母様・乳母・メイド1・メイド2・メイド3ぐらいで部屋から出されることもない。お姉さまたちも1度顔を見せただけ。
周りであまり話も聞けないので、覚える言葉の数が増えない。
まさか、これからも次々に現れるイケメンが兄、弟、叔父とか身内限定で
愛されてるけど
恋愛無しとか
神の祝福もそうなると呪いなのかも。
思っていると、夢に現れた女神様が。
「まだまだ、これからよ。楽しんでねぇ~。」
目が覚めた。