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大切な事は最後に

双璧&無双



明日には、フィリップとお母様は自領に帰られる。


2人の王子も、忙しい中の急な訪問なので明日、王都に向かう。


少しずつ訪問客が減っていく。宴の後の寂しさが漂うような夕暮れ。


私たちも後1週間ほどで王都に帰る。


来客が減った居間には、のんびりとした空気が流れる。




ベリンダ姉様は、フィリップ様と遠乗りに行ったようで少し日焼けした頬が赤く楽しそうだ。犬にも慣れたいと、おじい様の犬舎の子犬を貰って帰る相談をしている。




エレン姉様もシャルル殿下と、おじい様の図書室から持ってきた本を読んでいる。笑顔だ。




楽しそうに話しているお父様とお母様の間に座っているのは、今は私ではなくアデル姉様。


不敵な笑みを浮かべる、私が近寄らない様にしているお父様似の6歳の姉。


私を見つけては


「ん?歩けてる!外行こう!」と、手を引くというか毎回引きずって外を目指す人だ。


この姉には「イヤ!」という言葉は通じない。


「なぜ?いいじゃない!」と手を握る。


「NO!」を聞かない女で手ごわい。


王都の家では、各自の部屋にいる事が多いし、居間にいる時にはお姉様たちは刺繍やレース編み等淑女の嗜みを身に付けさせられているので私に構う暇がない。




でも、ここでは皆なんとなく寛いで談笑しているので、アデル姉様が私を目指してやって来る。


今も正にロックオン。危険だ!




お!


アルフレッド王子がアデル姉様を呼んだ。昼間のあれを試すのかな?


アデル姉様というより、姉様付きのメイドが目当てかもしれない。・・・どんな王子だ。


「わぁ!すごい!アルフレッド殿下!」姉様の声がする。




ちょっと覗くと、水球の中にお花が揺れている。周りに若い女の子が寄っていく。




「やあ、レオン。ちゃんと顔を合わせてなかっただろう。」


抱き上げてくれたのは、お父様の弟シモン。


おじい様にちょっと似ている黒い髪におばあ様と同じ緑の眼。


「何を見ているのかな?」


「アルでしゅ。」


「あぁ、アルフレッド。同級生なんだ。」


「ここだけの話だけど。」


「要らないでしゅ。」


「まぁ、まぁアルはね。残念王子と呼ばれている。」


「じゃんねん?なんででしゅか?」




「見た目良い、血筋も家柄も頭も良い。気さくで人柄も良い。」


「でも、じゃんねん?」


「そう、努力家で頑張り屋。少ししかない魔法の力も本を読み漁ったりものすごく頑張って使えるようになった。水と火魔法だよ。」


「ものすごく頑張る男だよ。剣も学問も魔法も。全ての努力がモテるためなんだ。」




「しょれは、じゃんねん。」


「でしょう!」


「ちなみにかっこ良くてモテそうな兄上とフィリップ様の学院在学中の綽名は『残念の双璧』だったよ。」


「リザベータ様しか見えていない兄上と兄上しか見ていないフィリップ様。」




「しょれも、じゃんねんでしゅね。」


「シュモンは?」


「私は、3人を反面教師にしていますからね。」


にっこり笑うシモンはちょっと悪そうだった。




夕食も終わり、アル殿下の線香花火披露も一段落した頃。

おじい様がふと思い出したように口にした。


「そういえば、先先代のアドルフ王が亡くなって10年。この度第4妃のヴィヴィアン様が出家されるそうだ。アドルフ様の墓の近くの修道院に籠られ王の菩提を弔って過ごしたい、と本人からの強いご希望があったそうだ。」


王子様ズは、これを伝えに来たのですね。

ベリンダ姉様のためにお母様が動きましたか・・・・。


フィリップ様は、顔色一つ変えず何事もなく。

エリーズ母様は心持ち安堵の表情を浮かべて。


ベリンダ姉様は

「まぁ!10年たっても王をお忘れになれなかったなんて。純愛だわねぇ~。見習わなければ。」


貴女の最大のライバルでしたけどね。


知らないなら良し。


ベリンダは、やっぱり無双。









いつも短めです。

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