黒王子?
なんか、幸せなフィリップ見たくないかも
寝落ちしました。
やっと1歳体力はないですね。
招待客の殆どが帰り、今朝はのんびりお寝坊ムード。
玄関が騒がしい。フィリップの母、伯爵夫人が帰ろうとしているらしい。
「母上。今回はゆっくり滞在すると準備をしてきたではないですか。」
「いえ、其方の気がいつ変わるかと思うと。気が気ではなくて。正式なお話に纏めておかねばと。」
「え!気が変わられるのですか?」
うるっと、涙目のベリンダ姉様がフィリップ様の袖口を握って顔を見上げる。
「何!気が変わる・・・。」
お父様の手が腰の剣にかかる。
お父様物騒な目になってます。
「母上!気など変わりませんから。お願いですから。ベリンダ殿がこのように不安になっておられます。」
そして、にっこり笑いながらベリンダ姉様を見る。
「大丈夫。唇を奪われたのですから、きちんと責任はとっていただきますよ。」
姉様が、真っ赤な顔で安心したように下を向く。
なんだかこうなると、人の恋路、ふん、邪魔したくなる。
「うむ、ベリンダ。フィリップ殿からは、離れておきなさい。」
お父様が2人の間にしっかり挟まる。
そうだ!そうだ!
あ〜あぁ。
つまんない。と思ってふと周りを見回すと。
同じようにふん!とつまらなそうな顔を見つけました。
エレン姉様です。
結婚前の幸せいっぱいはずのお姉様が浮かない顔です。
これは、出来る子レオンの出番でしょうか?
最近取得したスキル、トコトコ走るを使って姉様の所へ。
姉様の前で、転びました。まだまだこのスキル使いこなせてませんね。
「まぁ。転んだのレオン。」
姉様が抱き上げてくれました。
「ねえね。シュキ。」
38年+1年。使わなかった言葉を最近は多発しています。
「まぁ。ネエネもレオン大好きよ。」
この言葉も、過去の38年の人生より、たくさん貰っています。
好きって、言うのは難しくない事でした。
素直な好意は素直に返ってくる事に気付きました。
「好きな方と・・・ベリンダは良いわね。フィリップ様を。」
「ネエネもフィリップしゅき?」
「まぁ、違うわよ。まさかぁ〜。ナイナイ!」
酷い言われよう。そこ迄は流石に・・。酷くない姉様?!
「ベリンダは。幸せそうだから・・・ちょっとね。」
「ねえね、シャルルきりゃい?」
嫌いならば、結婚阻止しなければ!
「分からないの。」
「レオンには、分からないかもしれないけど、第3夫人に双子が生まれた時にお父様がもうこれ以上妻を増やすつもりがない!って宣言したの。」
「4年前。それで私に婿をと言う話になって、シャルル様ならば年頃も家柄も申し分ないというお話になったのよ。」
え!まさかの私が急に跡継ぎとして産まれたせいで。エレン姉様の立場が・・・。
お父様!
シャルルまさか、跡継ぎになれないなら婚約した意味がないとか言ってる?
領地狙いの黒王子か!?
「シャルル王子、エレンちゅきじゃないですか?」
「それも、分からないの。何も言ってくださらないし。」
駄目駄目王子じゃね!
「レオン、後ちゅぎ辞めるでしゅ。ねえね、シャルルと侯爵なるでしゅよ。」
「まぁ!レオン。おじい様がガッカリなさるわよ。」
「解ってるのかしら?解っていたら、凄いわレオン。」
「心配はいらないのよ。侯爵を嗣がない時は王の直轄地を治める公爵となる事が決まっているから。」
ふむ、なけなしの過去の貴族知識によると
公爵←侯爵だったはずだから、公爵夫人の方がエレンは出世?
じゃ、純粋に恋したい病?
貴族の結婚こんな物って思って所に
どーーーん!とベリンダの突撃恋愛。
毒気に当たったのですね。
これは、考慮しなければいけない案件ですね。
シャルルの叔母にあたるお母様に要相談でしょうか?
でも、どうしましょう?
王都に帰ってからの相談でしょうか?
何だか、フィリップが滞在しイラッとしているお父様と私とエレン。
完全に八つ当たり的なものですが。
3人を除いては、誰もがふむふむしている。
伯爵夫人とおじい様たちは毎日婚約の条件?
お披露目の日取りや王様への報告をいつにするかなど話し合いに余念がない。
でも、何だかベリンダもエレンもおじい様みたいに眉間に皺が。
どうしたの?お姉様がおじい様みたいになって来ました。
そうしてドタバタの婚約や私の誕生会から2週間ほどして、王都に帰る日が近づいてきた頃
シャルル王子がやって来ました。
黒王子?!