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貴族はベルを鳴らす

熱く燃えるのは、家系っぽいです

伯爵夫人出ていくと、おばあ様がベルを鳴らす。私はまだ、膝の上。

「奥様およびでしょうか?」

「ラウールと主人を呼んでちょうだい。それからお茶の準備。声をかけるまで入って来ないで。」

「また、なにかベリンダがらみか?」

おじい様が先に入ってくる。

おじい様の隣に移動。最近ここが定位置。おじい様を愛でる。

「ん、レオンここにいたのか。」

人生初・・告ってみた。

「おじいちゃま、ちゅき!」歩く理想です。ドキドキ。

「おぉ、わしが好きか、そうか、そうか、おじい様もレオンが好きだぞ。」相思相愛。

うんうん、幸せ。

「あら、レオン。好きなのはおじい様だけなの?おばあ様の事は・・好きじゃないのかしら?」

「エマは愛ちてましゅ。」おばあ様としてね。と心で付け加える。


「母上、お呼びですか?」

ラウールがやってくる。

おばあ様の周りの空気がやばーい感じ。

おじい様が思わず、背筋を伸ばして、おばあ様から離れる。

お父様は、もう部屋の入り口で石になってます。

「ラウール。ドアを閉めて。早く中に入って座りなさい。」

きつい口調とは裏腹な優雅に、お茶を入れるおばあ様の仕草が綺麗で見とれます。この優雅さが気品。


「ラウール。」

凍った言葉の槍が何本も、お父様に突き刺さった気がします。おばあ様は魔法使い?

言葉が武器になるなら、この一言でお父様は死んでますね。

「あなた、1番大事な事を言っていませんね。」

「なんだ?ラウールが言ってない1番大事な事とは?」

「ベリンダの婚約について。フィリップ殿の1番大事な事を言ってないでしょう!」

おばあ様の怒りは、とっても静かで怖いです。さっき伯爵夫人を慰めている穏やかな雰囲気は微塵もありません。顔は微笑んでます。

おじい様のお尻が椅子から少し浮きました。お母様と部屋を出なかった事を、後悔してます。

「大事な事とは何でしょう?」

あぁぁラウール無常。

「宮殿の貉の事。いつからですか・・」

わぁ、今度は貉ってどんな女。

「13だったと、貴族院の3年の頃。はっきり聞いた訳ではありませんが、フィリップの雰囲気が変わったので。」

「言えませんよ。友達のそんな事。」

「きちんと聴いた事は一度もないのですよ。じゃないかな。多分ほぼほぼ間違いないだろうなぁ。と憶測はしても、問いただした事はないのです。聞けませんよ。お前はあの方の愛人なのか・・なんて。」

「今もまだ、でしょう?」

「やはり、そうですか。フィリップに聞くわけにもいかず。リザベータとも1番の障害ではないかと話していたのです。」


おじい様は蚊帳の外。


「何の話だ。」

「フィリップ殿の生き血を吸ってる蝙蝠女の事ですよ。ベリンダの今後1番のライバルになりますね。しかも危険な。」

「貉?生き血・・吸血蝙蝠・・女・・ヴィヴィアン様の事か。まさか、フィリップ殿とは親子ほども年が違うだろう。」

「それで言えばベリンダとフィリップ殿も同じですが。」

「しかし、13とは。子供相手にあの方は何を。その頃夫である先々代の王が、まだ生きておられたではないか。」

「アドルフ王は、孫のような第5婦人ヴィヴィアン様をご寵愛されていましたから。愛らしい稚児のような愛人も認めていたと聞いていますよ。何人も。誰かとは聞いていませんが。」

「フィリップ殿がその1人?」

「それも1番のお気に入りのようで・・。」

「今日初めてエリーズ様から伺いましたが、縁談の邪魔を何度も。しかも婚約がほとんど決まった後、相手が怪我された時にそれを脅しの種にして。」

「フム、なんと?」

「10年前ですが、次は怪我ではすまないかもと…と」

「フィリップが、仮面を着けたようにしか笑わなくなった頃だ。ずいぶん痩せて病気でもしたのか?と聞いても笑っているのに笑っていない気がしていたが。そのような事が。」

「親友なのに、私ななにも・・・。」

「エリーズも誰にも相談できなかったようで・・・」

「息子が自分からは、そのような話する訳がないからな。」


「そうですよ。だからこそラウール!あなたが!私には話せないでしょうがお父様にはこっそり相談すべきだったのですよ!」

「でも最初私は、年上の女性と経験を積めるのは、あの年頃の男の子には憧れで。しかもあのように美しい方でしたから、羨ましかったし。上手くやってるな、くらいな気持ちだったのです。」

「まぁ、あの年ごろなら、そうだろうな。」

「でも、フィリップは真面目な分のめり込みそうで心配しましたが、その頃はお相手が大人で、うまく距離がとれていて、そのうちフィリップも自分と見合った相手を好きになるだろうと思っていたのですが・・。執着されているようです。」

「アドルフ王が亡くなった頃から、恋人の噂ひとつ無くなって。誰とも真剣に付き合わなくなりましたから。脅されていたのですね、相手が危険だと。」


「ベリンダが!」

「そう、ベリンダが。」

「危険ではないですか。」

「私は約束しましたのよエリーズ様に。」

「ユールヴェル侯爵家の名に懸けて。フィリップ殿とベリンダを守って婚約させると。」

「ふむ。名をかけたのか。」

「そうです。」

「では、わしもユールヴェル侯爵として頑張らねばならぬな。」

「私も、親友と娘まとめて守る!」

「「「ユールヴェルの名に懸けて!!!!」」」


今回はおばあ様まで熱く燃えています。



メギツネで毒婦で蜘蛛で貉で吸血蝙蝠 もう形容詞が無い

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