ベリンダ無双
婚活は全力で!
「お母様待って、私が伺ったのは領地に立つ前の日だったから、言う暇がなくて。」
「馬車に7日も乗っていたような気がしますけど。」
「フィリップ様は、お屋敷には女性を連れてくるような事は無いそうですわ。甲斐性がないのか、誰か候補の1人ぐらいは連れて来れば良いのにと、お母様がおっしゃられていましたわ。」
「お母様って、誰の?」
わっ。また室温が下がった・・・・・。
鈍感姉様。言っちゃ駄目!
「フィリップ様のお母様よ。」
「ブロワ伯爵夫人の事かしら。」
「そうよ、この屋敷には女気が無い。使用人も男ばかりで花がない。せめて時々でも良いからフィリップがご婦人でも連れてくれば屋敷の雰囲気も和らぐのに、っておっしゃっていたから、間違いなくあの家に女性の訪問者はいないはずです。お母様!」
ねっ!ってお姉様の笑顔。
馬鹿姉様!
「領地から王都にいらしていたのねぇ。緊急性が増しましたね。離婚してくださいませラウール様。」
「「「「え!」」」」
「娘の躾に失敗した私には、妻の資格はございませんわ!」
何故、そっちに走るお母様。
お父様が本当に泣きそうでオロオロし始めたじゃ無いですか。
「それは、絶対に駄目ーーーー!!!」
お姉様が大声で叫んだ。
ん?何故そこでお姉様?
「絶対駄目だから。お父様が独身になったりしたら結婚出来なくなる。フィリップ様が大変な事になるわ。」
「私が独身になる事とフィリップの結婚がどう関係があるんだ。親が離婚、いや離婚など絶対しないが、親の離婚で結婚を渋るような輩となど、ますます結婚を許す訳にはいかんな。」
お姉様が胸を張る。
「フィリップ様はそんな方ではありませんわ。」
「私、今回色々調べて分かった事がございます。」
「何だ?」
「フィリップ様には恋人などいないと、皆様が口を揃えておっしゃったのですが、結婚しない理由に上げられたのが、結婚できない相手を好きなのではないか?死んだ恋人を未だ忘れられないのではないか?と言う2つでした。で、結婚できない相手として皆様が口にされたのは、お父様の名前でした。」
「「「「え!」」」」
「そして、未だ忘れられない想い人として上がった名前が、ジルベールおじ様でしたの。私のライバルはお父様兄弟でしたのよ!」
あぁ・・・また姉様が暴走してる!
無いわ。
「その事を知って、私はいつも我が家にフィリップ様が見えた時には、目を離さないようにしておりましたのよ。噂通りでしたわ。フィリップ様はいつもお父様を目で追っておられました。私の生きているライバルはお父様!貴方です。離婚などしたらフィリップ様の心が揺らいでしまいますわ。絶対駄目です!」
お父様は、口をあんぐり。
ですよね。
ん?誰ですか頷いているのは?
お父様弟、噂知ってましたね。オリヴィエお姉様の子供達も頷いているのは、若い世代の貴族院あるある話でしょうか?有名なようですね。
お姉様はカッコ良く、ピッっと手を伸ばしお父様を指差します。
「お父様、私絶対にお父様には負けませんから!お父様に勝ってフィリップ様を手に入れますわ!」
宣言した途端、お姉様はお母様に首根っこ引っ張られて退場になりました。残念!
誰もお母様には勝てません。