転生は突然に
巻き添えって
気が付くと淡い白い光の中のふわふわした空間にいた。
卵のようなものの中で丸くなって。
卵の殻の外側には、もっと真っ白な光が見える気がした。
ん?
「すまない!」
「申し訳ない!」
「ごめんなさいねぇ~。」
土下座??
卵の殻の様な物の外側にぼんやり見える。
人っぽい姿が二つ平謝りしてる。
土下座だよねー。
え?何?
ここどこ?
まぁ、夫婦喧嘩に巻き込まれたらしい。
神様の・・・・
で、怒った奥様てか女神様の投げたお皿が
当たって、私死んでしまったらしいです。
らしいっていうのは、記憶にないから。
痛いって思う間もなく・・即死って
女神様、どんな力で投げてるんですか!
色々、言い訳と謝罪とかありましたが
結局、生きかえることは不可能だそうで
お詫びにというか、相談というか
持ちかけられたのが、転生!!
転生って、何?
いきなり、他の場所に38歳176㎝90kgの私が
ボヨーンって現れるとか?
「いやいや、それは転移ね。」
赤ちゃんから他の場所で生まれて、やり直すらしい。
「迷惑かけたお詫びにいろいろサービスするから。」
ん?
いろいろサービス!?
色々て何?
「暮らしに困らない家で、病気に強い身体、等など・・・。」
まぁ、簡単に言えば衣食住に困らない元気な子供に生まれるって事らしい。
今までの人生を思い返す。
3歳上の兄は別居。
夫婦そろって公務員。
子供が二人。
この二人は、私の事を
きっと一生独身だろうから、親の介護は当然。
しかも、趣味も何も無いから、お金を残して死ぬだろう。
それは、弟夫婦と折半。
するらしい。
そっちが先に死ぬかもしれないとか思ってたけど
死んでしまいました。介護できずにすみません。
でも、会話立ち聞きしてから
趣味くらい持たなければと思って、こっそり趣味をもった。
死んだ後、グッズの山が押し入れから・・なんて
恥ずかしい。
けど。死んでるからもういいかな。
お金使う趣味、思いつかなくて
推しメンなんぞを探して、残業や出張、友人と旅行と言っては
追っかけしてました。名前入れてうちわ作ってました。
結構、幸せでしたね。色々。
でも、言われたんです。
19歳で4年上のバツイチ子連れの彼女とでき婚の弟。
生活できなくて我が家で同居。
連れ子もまだ小さくて、生まれた甥っ子も可愛かった。
もう、とっても可愛がったよ。
結婚した時、4歳だった嫁の連れ子の15歳の誕生日。
とっても可愛がってきた甥っ子にプレゼント♪
同い年の嫁に、言われました。
「お姉さんの子供じゃないんだから
老後うちの子達をあてにされても困るんよだよね。
いくら、プレゼントしてもらっても無理だから・・」
婚活始めました。
で、今に至ります。
ほわっと光の中にいます。
「何か、希望ない?」
「ひとつくらいは、望み聞くよ~。」
神様軽いです。
サービスひとつかぁ~
真剣に考える。
前世で、1回もなかった恋愛経験。
追っかけたアイドルの推しメン。
映画やアニメで見たイケメン。
縁のなかった世界。
叶うならイケメンに愛されたいです!!!
「神様、決めました。イケメンに愛されたいです。」
「イケメン???」
「それは、何ぞや」
「えーっと、福〇蒼汰君とかジャ〇―ズの〇君とか
若いころのブラ〇ピとかセバスチャンとかetc・・」
妄想の限りを尽くし心に思い浮かべる、あれやこれやのイケメン。
「フムフム、眉目秀麗な男」
「よろしい!その願い叶えよう。そのように大勢のイケメンに愛されたいとはのう・・」
「強欲といえば強欲。」
「いや、今のは妄想であの一人でいいです。むしろ大勢だと、
経験もありませんし、恋愛偏差値低すぎて混乱する未来しか見えませんから。」
「経験・・・・・・・」
女神さまがフッっと笑う。
「赤子に生まれるのじゃ。経験など積めばよいのじゃ。」
「そうじゃ、そうじゃ。」
顔のあちこちが歪に腫れている男神様が同意する。
テンプレと云うらしい、異世界へ転生しました。
なんとかなるはず。
経験は大事。