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フィリップの秘密

まさかの、BL展開!?

「さて、刺繍の邪魔にならないように、レオン殿と庭に出てみるとしよう。男同士の話もありますゆえ。なぁ、レオン。男同士内緒の話をしよう。」


「にゃい!」


ヨチヨチ鍛錬していたら、フィリップに攫われた。


黙って立っているだけだとフィリップはいい男だ。皮肉屋っぽい口元だって憂いを帯びてニヒルでダンディ。ちょっとだけどまぁ、素敵男子ではある。


庭のベンチに腰掛ける。良い天気で風が心地よい。眠ーくなる。でも攫った訳を聞かねばならぬ。


「オチョコどうちのおはなちゅとは、なんでしゅか?」

「ぷーっ。くくっくっ。其方レオン面白いなぁ。」

真面目に相談にのるつもりだったのに失礼な。

「フィリップは、どくちん。おくちゃんいない。なぜ?」


赤ちゃんだから、踏み込んで聞いてもいいよね。


「そうきたか。」

「では、レオン殿だけに教えよう。特別だぞ。二人だけの秘密だ。」

「そんなひみちゅいりゃにゃい。」


「おや、自分から聞いておいてそれはズルいよ。もうレオンは私からは逃げられないな。」

おいおい、乳児相手に何言ってるのフィリップ。

「いや、どうせ君は赤ん坊だから、聞いてもすぐに忘れてしまうだろう。告白してしまおう。少し心を軽くしてしまいたくなったのは、ラウールに貴方という跡取りができたからかもしれない。」


重い話はいやーーー!


「レオン、私は父が早く亡くなってね。10歳の時にはもう伯爵領を継いでいてね。それはもう、降るように縁談が来たよ。」

ふむ。モテ自慢?


「君の父上・ラウールとは領地が隣同士という事もあって幼馴染なんだ。覚えていない位前からの友達ってことだ。」


まさか、お父様を好き?だからなの?


「で、5歳の頃かな。フィリップ様の婚約者だったリザベータ様が、ユールヴェルの城に来たのは。13歳だったと思う。フィリップ様は17歳で。ため息が出るほど本当にお似合いの二人だったよ。私は、二人にあこがれたよ。」

「でもね、ラウールは違ったんだよ。ラウールが目を奪われたのは、リザベータ様だった。会った瞬間から恋焦がれたと言っていい。ビックリしたんだよ。私も5歳だったけど。あの時は子供だったけど解ってしまったんだよ。人が恋に落ちる瞬間がね。そして、そんなラウールが怖くなった。怖くて眼が離せなくなったんだよ。」

「もし、ジルベール様が亡くなっていなくて、そのまま2人が結婚していたらラウールはどうなっていたのか。今でも考えてみると怖くなるよ。まぁ、案外、その時は侯爵家の跡継ぎはジルベール様だったから、気楽な身分で違う相手を好きになっていたかもしれないが・・・。いや私の中では、多分それでも、リザベータ様だけを遠くから愛し続けるラウールしか思い浮かばなくて。」

「私はね、ラウールを見ていて、恋したり愛したり人を好きになることが怖いんだよ。あんなにひたむきに思いつめるのが恐ろしい。自分を見失うのが怖い、小心者なんだよ私は。」


お父様・・・・・・・何してくれてんの。

いたいけな少年、幼馴染にトラウマを植え付けて。

フィリップの独身の訳。違う意味でお父様でしたね。


「レオン、貴方の父はね、ジルベール様が亡くなった後に、どうすればリザベータ様を慰められるのかを私に相談してきてね、7歳の考える事なんてそうないだろう?修道院にお手紙を出してみたらどうだろうと、言ってしまったんだ、その時に。馬鹿だろう私は。」

「それから手紙を書いてね、読んでくれるわけだよ、ラウールが毎日。これでリザベータ様は慰められるだろうか?お兄様を思い出して悲しくなったりしないかな?文章はおかしくないか?毎日、7歳の恋文に付き合わされる側仕えも頭を抱えていたけど、私だって、ラウールに愛を告白される夢にうなされるようになってねぇ。」


「で、この話は男同士の秘密だよ。レオン。」


・・・・・・・・可哀そうなフィリップ。お父様のせいで恋愛恐怖症。


頭に手をやって、ポンポンと慰めてみる。


「おや、慰めてくれてるつもりなのかな。優しいねレオンは。」

そう、私は皆を守る、できる子レオン。


「そんなレオンは、誕生祝に何か欲しい物があるのかな?今日は男同士秘密の話に付き合って貰ったんだから、もう親友だ。好きなものを何でもプレゼントしよう。」


んんんん・・・欲しい物。


思いつかない。

過去にならあったかもしれない物欲が今は無い。

赤ちゃんだから。

まぁ、フィリップだって私が本当にねだるとは思っていないと思う。


クリクリの黒い巻き毛がおでこに垂れてフィリップが傷ついた子供に見えた。本当は年下だもんね。可愛いね。


過去に一度も貰った事のないもの・・・・


「キチュ。キチュが欲しいでちゅ。」

言ってしまったみたいです。


なんか、欲望のまま口にでてました。




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