レオンです。
名前が決まらず引っ張りました。
まだ、名前が無い。
神官が神にその名を告げてからのお披露目らしいので
お客様が揃った後に、白い服を着た神官がやって来て私を抱える。
神官は長い髭のおじいさん。助手?なのかお付きが二人。
髭引っ張ってみようかなぁ。赤ちゃんなら許されそうだし引っ張ってみた。すっごく嫌そうな顔されましたけど。
ここの神様ってあの人たちかしら。
イケメン愛されスキル付けたように私を喜ばせて、男の子に生まれるっていう呪いをかけた神様。
これからどうする。どうする私。
『神にこの名を』
『レオン・ジルベール・ユールヴェル』
場内が沸く。
こうして『優ちゃん』は、正式にこの世界の『レオン』になった。
ベッドに寝かされたり、抱きかかえられたりしながら1日過ぎる。
イケメンだらけのお披露目。過去の38年の人生で知り合った以上のハンサム男子に囲まれていますが、あまり嬉しくないのは今日知った、いや今日仕方なく現実と認めたたったひとつの事実のせいだよね。
でも、ってかこのスキルサービスの1番大事な事ではないでしょうか。
性別。
男でした。男子でした。どうするの。
お父様らの親族男子見るからに男前。イケメンぞろい。
きっと、私もイケメンに育ちそう。間違いなく高確率でイケメンに育つでしょう。
でも、女子でイケメンに愛されるのとイケメンに自分が育つのは絶対違う。
鏡の自分を愛する様にはならない。そんな病には掛からないはず。
身体は男子。心は女子。ジェンダー問題だ。
全然わからない。LGBTなんて知らない。
恋愛経験が無いことが悔やまれる。
経験皆無。文学、映画と漫画の知識。あんまり役に立たなそう。
立たない。
想像すらできない。経験不足だから。せめてもっとそっち系の映画見ておけばよかった。
って、そっち系ってどっち系だよ。
BLor実録系・・・・・。ムリーー無理です。
一人頭の中で突っ込んでみたり。
何言われても嬉しくない。悶々と寝返りをうち、叫んでみる。
「ばぶぅ!!」
元気な子ねぇ。
将来が楽しみ。
侯爵家の未来も安泰だ。
「嫁を決めねば・・」
誰だよそれ言ったの。
嫁って、出家します。修道院に入ります。
ごめんなさい。男の人の裸見たことがありません。
水着とかお祭りの褌とかはありますが、素っ裸はありません。
色々、駄目な子でごめんなさい。
転生って、前世の経験を生かして成り上がったり、王様になったり、領主になったり
美味しいもの広げたり、図書館作ったり、スライムとか魔物になったりするものじゃないの。
前世の経験まるで生かせてません。
その前に赤ちゃんの段階で行き詰ってます。詰んでます。
成り上がる未来が見えません。
一日の終わりに2度目の人生を見失いました。