3、スキル
やっとチーム結成できた
俺は、強く念じてみた。
すると、頭の中に、“マグナヴェリエント”という文字が浮かび、
“多種多様”と理解したが、
「多種多様」ってなんだ。
俺がつぶやくと、
背の高い男、確か、今野といったか、
「海斗さん、それがスキルなんですか?」と言ってきたので、
「ああ、そうらしい、それと、シュウと呼んでくれ、仲間にはそう言われていたんでね」
「ああ、なんとなく解ってきた。 多分、トレジャーハンターをやってて、いろいろなことを覚えているし、経験してきたからかな」
「どんなことをされたのですか」
髪の長い女の子が尋ねてきた。
「ああ、サバイバル技術や、格闘術、ジェット機は無理だが、セスナやヘリコプターの操縦、もちろん船も動かせるし、あと、発破技術とかいろいろだな」
「要は何でも屋なんだが、こちらでも、これとはね・・」
「君たちはどうだい、なにか思い浮かぶかい」
「私は、陸上自衛隊に所属していますが、バイアスロンという競技で、2年前の冬季オリンピックに出場しました、その影響なのか、」
「スキルは、“射撃の名手”ってなってますね」
「バイアスロンって、あれかい、スキーで走って、射撃をして、また、スキーで走る競技のことかい」
「ああ、確か、日本人で初めて、金メダルを取ったってニュースでいってたな、貴方がそうかい? 確か、射撃は、すべて的中で、一度も外さなかったと記憶しているが」
「ええ、そうです。」
「そちらの彼女さんは?」
「私は、“全ての言語解析能力”って浮かびましたけど」
「そりゃまた凄いな」
「何か、思い当たることあるかい?」
「特にはないけど、ただ、仕事は外資系のOLをしていて、外国の人との商談の時には、通訳はしてましたけど」
「カズ、あ、岡村和恵は、5か国語くらいは話せますよ、いろんな国の言葉を調べるのが好きですしね」
「そっちの、女の子たち、確か、シャルロットちゃんとリオンちゃんっていったかな」
「髪の長いほうが、シャルロットちゃんでショートカットが、リオンちゃんであってるかな」
「シュウさん、私たちのことは呼び捨てで構いません」
「その通りです、私はシャルロット」
「スキルは、“超聴音能力”みたいです」
「リオンは?」
「私は、“弓の使い手”みたい」
「多分、中学の時から、弓道をしてきたからかな」
「妹は、高校2年の時に、弓道の全国大会で優勝しているし、競技大会では、いつも、上位の成績を収めています、きっとその影響かもしれません」
「お姉ちゃんだって、ピアノのコンクールで優勝したりしてるから、きっとそのせいよね」
その時、石碑の前の地面が青く輝いたかと思うと、その光が収まった時、そこに小さな宝箱のような箱が出現した。
そして、どこからともなく。声が聞こえてきた、さっき話していたデウスの声だ。
「その箱には、手首につけるリストバンドが入っている、すべて、色が違う」
「海斗修は“黒”、今野忠雄は“青”、岡村和恵は“赤”、中村シャルロットは“白”、中村リオンは“緑”の色のバンドをつけなさい」
「このバンドは、マジックアイテムになっており、アイテムBOXの役割もかねている」
「貴方たちのスキルに役立つものが入っており、この世界での服や、お金、ポーションなどの薬も入っている」
「使い方は、リストバンドを左手にはめ、そのバンドに右手を添えて、念じれば、使用できる」
「そして、この世界は、貴方たちの世界と違い、人間と呼ばれる者のほかに、亜人や、妖精、魔獣、魔族など多種多様な種族がいるし、君たちの世界ではない魔法というものもある」 「気を付けて旅をしなさい」
その言葉を最後に、デウスの気配が消えた。
「さて、せっかくだから、この宝箱を開けて中を確認するか」
俺はみんなを見回しながら話しかけた。
みんなは、それぞれ頷いたので、
俺は箱に近づき、その蓋を開けた。
その中には、デウスの言った通り、
5色のリストバンドは入っていた。
「よし、みんな、さっき言われた事、覚えているよな」
「じゃあ、俺は黒で」
そして、それぞれに、言われた色のリストバンドを渡した。
「まあ、大丈夫だとは思うが、まず、俺が試してみるよ」
「安全が確認できたら、君たちもつけてみればいい、それでいいかな」
そう言うと、俺は、黒色のリストバンドを付けた。
左手首にバンドをつけ、右手をそのバンドに添えて念じてみる。
すると、頭の中に、そのバンドの中に入っている物が理解でき、使い方もわかる。
「なるほど、そういうことかい」
「みんな、大丈夫た、つけてみてごらん」
他の4人も、リストバンドをつけ、俺と同じように右手を添えた。
「シュウさん、これってすごいですね、色んなものがあるし、僕の愛用のライフルまである」
みんな、それぞれ、バンドの内容に感嘆していた。
「ああ、これはいい、みんな良いものがあったぞ」
そう言いながら俺は、
バンドから1枚の地図を取り出した。
その名前は、“魔法の地図”
内容と使い方が、俺の頭の中に、浮かんできた。
“現在の場所がわかり、行きたいところを思えば、その場所までの道しるべを示してくれる地図、ただし、この地図は、所有者の海斗修にしか使用できない”
「ここは、ユーロピアっていう国の草原地帯だね、デウスが言っていた通り、東に1日くらい行けば、街っていうより村の表示だね、人口までわかるのかい、大体300人くらいと表示されているな」
「まずは、そこに行くしかないな、みんな、それで良いかい?」
「それと、俺が一番年上だし、トレジャーハンターっていう職業柄、こういうことにはなれているから、俺が、このチームを仕切っても構わないかい」
「デウスが言っていた通りなら、この世界は、とても危険な場所だと思うぜ」
「みんなが協力しないと、モニュメントは、見つけられないと思う。」
「会ったばかりだけど、俺を信じて付いて来てくれないかい?」
俺の問いかけに、みんな頷いてくれた。
「俺のことは、シュウって呼んでくれ」
「君たちはどう呼ぼうか?」
「私は忠雄ですが、よくタダシって呼ばれているので、タダシでいいですよ」
「私は、カズでいいです」
2人のカップルは、そう答えた。
「君たちは?」
俺は、双子の姉妹に問いかけた。
「私たちは、シャルとリオンで構いません」
「よし、それじゃそう呼ぶな」
「それと、せっかくだから、チーム名を決めておかないかい、決意表明みたいなものさ。」
「必ず、モニュメントを探し出して、この2つの世界を救って見せるためのね」
「なんか、いい名前あるのですか?」
リオンが尋ねてきた。
「ああ、5人と5つのモニュメントだろう」
「五宝星の誓い」ってどうだい?
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