第4話:ステゴロ白魔導士の道中
「ケントさんは面白い戦い方するんやなー」
「そうか?」
俺は戦い方のどこが面白いのだろうか?
基本的に敵を殴る蹴るして倒してるだけだしそんな変ではないと思うが。
そう思いながら倒した魔物をアイテムインベントリに入れる。
アイテムインベントリはかなり便利だ。魔物であろうとなんだろうとガンガン保存してくれるから手持ちが少なくて済む。
「白魔導士がステゴロで魔物倒す人間がそうゴロゴロいるわけないやろ?」
そう言われればそうかもしれんな。どの漫画やゲームを見てもヒーラー系の職業が素手で魔物を倒すなんて話は聞いたことがないな。
「本当は攻撃魔術使いたかったんだけどな」
「えろーすんまへん。まさかワイを救っていただいた所為で白魔導士の職業解放してしまうなんて」
「いや、もう済んだことだ。気にしてない」
この世界での職業は大まかに分けて初級職と上級職の二種類があるらしい。
この二つの違いは転職の際の難易度に依存する。
初級職の転職の仕方は職業神殿と呼ばれる場所で転職することができる。なりたい職業を選びサインを書くだけでなれるらしい。
上級職は条件を満たすと半自動的に転職する職業だ。白魔導士の場合は旅人の状態で瀕死の状態の人、または魔物をヒールで全回復させると解放される上級職らしく
奇跡的に俺は条件を満たしてしまったらしい。
ただ上級職のデメリットとして一度転職してしまったら初級職と違い王都ミスティアの神殿に行かないと転職できないらしい。
しかもヘドリックに聞いた話だとここからミスティアまで10万キロあるらしく到着まで数年はかかるようだ。
俺は攻撃魔術は諦めようと決心した。決心しただけで練習は続けているのはご愛敬としてもらいたい。
それとレベルが上がったことで魔導書アプリに魔法が追加された。
レベルが上がることに魔術が追加される方式らしい。
【ディフェンスオーラ】 一定時間防御を上昇させる。
この魔術が意外と使える。
この魔術を使用するとこの辺りの魔物であればほぼ無傷で倒すことができる。
俺の戦闘スタイルが素手であるためこの魔術はかなりありがたい。まあ、怪我したとしても俺の回復魔術であえば十分回復が間に合うわけだが。
「つーかお前は戦わないのかよ?」
さっきから俺の肩でプルプルしながら何もしないヘドリック。
「ケントさんワイ装着使い魔やで?そこんとこ間違っちゃあきまへんで?」
「装着使い魔?なんだそれ?」
「装着使い魔ってのは戦闘ではからっきしですけど武器や防具に変化できるんよ?」
なるほど、戦い専門ではなく補助専門ってことか。
「へー面白いな、じゃあ武器になってくれ」
「わかりやした!そうですねーとりあえずケントさんに会った武器になりやしょうかね」
そしてヘドリックがグニグニ曲がりながら俺の右手に移動するそして四つの輪に曲線の金属の棒が付いたような武器に変化する。
あーこれ向こうの世界で見たことあるわ。
「ってメリケンサックじゃねーか?」
「へ?一応ケントさんが戦いやすいスタイルの武器に変更させましたが?」
「いや、まあいいんだけどさ」
この世界でも俺は不良のレッテルを貼られるのか…………泣けてくる。
ちなみに攻撃力ってどれくらい上昇するんだ?
ステータス画面を確認する。 攻撃力218+800
なんかめっちゃ強くなってないかいヘドリック?
ヘドリック装備したら攻撃力4桁いっちゃうんだが?
うーんでも魔力があんだけあるとこれでも低く見えちゃうんだよなー。
「でも問題点が浮上しやしたね」
「ああ、あの飛んでるやつだよな」
俺たちの少し先で空を飛んでいる緑色の2メートルくらいのでかい鳥みたいま魔物をみる。
「ケントさんって弓術とかはやってへんよな?」
「あいにく俺は武道をしたことがない」
そう、問題と言うのは空を飛ぶ魔物だ。
簡単に言えば空を飛ぶ魔物に対しての攻撃手段が今の俺達にはないのだ。
「そうだな、襲ってきたところを捕縛して攻撃するとかはどうだろうか?」
「そんなんできたら人間じゃないっすよ?」
いや、ヘドリック装備した状態の攻撃力ならいけんじゃねーか?
「いやでも、さすがにあのサイズのライトバードを倒すのは無謀かもしれんな」
「そうっすよ」
先ほどから何体かのライトバードを倒したがそのほとんどが小型のサイズで素手でも十分対応できた。でも俺よりでかいサイズの敵となると案外無謀かもしれんな。
慎重になるのは悪くないだろう。
「少し遠回りになりやすがあのでかいライトバードに見つからないようにいきやしょうか?」
「そーだな」
ヘドリックは解除すると俺の肩に乗り街までのルートを練り直した。
今回は少し短めで申し訳ありません。
次回は5月4日の18時投稿予定です。