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第2話:異世界で銀色のう〇こを踏みつぶしました。

 

 広大な草原が広がるここ、アスタル平原には様々な魔物が存在して

いる。

 

 俺そんな草原の草むらの中から10メートル先くらいにいるこの世

界の雑魚モンスターと呼ばれる魔物ゴブリンに目を付けた。

 

 オレンジ色の髪と緑色の肌の色をして二足歩行で人間に近い見た目

をしているわけだが知能的にはかなり低いが群れでいることがごく稀

にあるため注意が必要である(魔物図鑑アプリより抜粋)。


 今は1体しかいないからチャンスだな。

 

 スマホを起動して魔導書アプリを開く。そして項目メニューから火

属性の初級魔術【ファイア】を選び詠唱文字が書かれている画面を表示させた。


 そう、魔術の練習である。

 

 文字はキリサル文字というこちらの異世界の共通言語の文字であるキリサル文

字で書かれた魔導書だ。


 俺は右手にスマホを持ち左手をゴブリンの方向に向けて詠唱を読み上げる。


「我が魔力を糧として火を作り出せ 【フレイム】!!!」

 

 シーンという効果音が流れた錯覚が起きたように何も起きない。

 

 いや、わかっていた、わかっていたことじゃないか。水も土も風

 も試したじゃないか…………そしてどれもダメだったじゃないか。


「ウキャア!」

 俺の詠唱の声で気が付いたのかゴブリンが腰のナイフを引き抜き俺に襲い掛かってくる。

 

俺はそれを最小限の動作で躱しゴブリンのみぞおちにカウンターを入れた。


「ガハッ」

 ゴブリンの肉体構造はほぼ人と同じで、みぞおち等の人と同じ弱点が効く。

 すかさず俺はみぞおちの攻撃でよろめいたゴブリンのこめかみに上段蹴りを入れる。


 俺の蹴りがクリーンヒットしたのだろうゴブリンは俺の蹴り一撃でノックダウンした。


「はぁ」


 ため息が出ちまうな。ゴブリンとはいえ異世界の魔物を倒したんだ。

 なのにこの心に残る虚しさ。理由はわかっている。

 

昨日の時点でわかっていたことじゃないか。


「なあ絢斗はん、いい加減諦めた方がええとちゃいますか?」


 俺の下の方から話しかけてくる銀色のプルプルしたそいつは

俺を現実へと誘う。


「いや!昨日の今日だしできる可能性も!!」

「白魔導士の職業になったものは黒魔術が使えんくなるって説明したやろ」


 わかっている。

 わかっているんだ。

 これがただの現実逃避だってことは。


    


※先日の出来事


 俺は気が付いたら異世界にいた。

 いや、ここはどこだ?ってテンプレ発言は絶対にしない。

 先ほど仙人から食らったあの光、あれにより異世界に送り出されたようだ。


 その証拠に俺の周りに広がる広大な草原。

 群れで走る6本足の鹿みたいな生物の群れ。

 空を飛ぶ地球上では見たことのない配色の鳥等ありえない生物達。


 断言しよう、完全に異世界だ。


「はー、来ちまったのかよ異世界」

 確かに楽しみにしちまったところではある。でもなあーこう急にはい異世界

に来てしまいましたーってなると実感が湧かないというかなんというか。


 なんて思ってるとズボンのポケットから音が鳴る。

 取り出すと俺の知らないスマートホンに着信が来ていた。

 

 着信 【あなただけの女神様♡】


 シュッ(画面をフリックする音)

「おい、カマ仙人話がある」

『カマ仙人!?ちょっと絢斗君!私オカマじゃないからね!?」

 全力で否定しているがお前みたいなおっさんがそういう女装をしてその口調

で話している時点で俺にはオカマにしか見えない。

 それにお前は蛙じゃなくておれを召喚したからな。某有名な漫画の主

人公の師匠のあだ名に似てるし良いあだ名じゃないか。


「そもそもなんで異世界で通話繋がるんだよ」

『私言ったじゃない。異世界でも通じるスマホあげるって』

 確かに言ってたな、でもいざ繋がるとかなり不自然だ。つーか電波マックス

だしどこから電波拾ってんだよ。


「まあ、そこはご都合主義の力ってことにしておくとして、この世界のことを

簡単に説明してくれ」

『あら?もうそっちの世界で生きていく決心をしてくれたのかしら?』

「別にめんどくさいとは言ったが嫌とは言った覚えはない。無理やり飛ばされた

ことに関してはムカついているところはあるがな」

『それは本当に悪かったわ』

 今はコイツにキレるのではなくこの世界のことを多少なりにでも理解して今後

に生かす方が得策だろう。

 まあ、謝ってるわけだからそこまでキレる必要はないだろう。


『そうね、その世界は私が管轄している世界の一つで君の世界でいう中世ヨーロッ

パの世界に近い歴史を辿っていると考えてくれると分かりやすいわ』

「なるほど、それで魔法とかも使えてしまう異世界ってわけか」

『よくわかってるじゃないの絢斗君!そうこの世界では魔術と呼ばれる異能力が使

えるのよ』

 

やはりそうか。この異世界はよくある中世ヨーロッパ風のファンタジー異世界と言う感じのようだな。


「レベルとかそういった概念はあるのか?」

『この世界の人だと鑑定士って職業の人なら見れるはずよ』

 ほう、職業の概念があるのか。剣士とか盗賊とか魔法使いとか、ゲームみたいで少しワクワクするな。


『でも鑑定士にならなくてもそのスマートフォンから自分や人のステータスを見る

ことはできるわ』

「へーただ異世界で使用できるスマホってわけじゃねーんだな」

 スマホからステータスを見ることができるのはかなり便利だな。


『それで使い方なんだけど……ってまずい!上司が来ちゃったわ!!悪いけどいくつ

かの便利機能はそのスマートフォンに入ってるから適当にイジって試してちょうだい。あと、電話にはなかなか出られないと思うからもし何かあったらL〇NEで連絡してね!』

 

 そしてカマ仙人からの通話は途切れた。

 てかL〇NEやってんのかよカマ仙人。


 それと上司を怖がるってどこのサラリーマンだよお前仙人だろ!?

いや、もしかしたら仙人とか神様とかにも上下関係があってカマ仙人は実績が残せていない窓際所属だったりするのかもな。

 俺を間違えて死なせたことを考えるとマジでそうかもしれんな…………。

 俺には関係のないことか。

 アイツに関してはツッコミどころしかねーからな。

 ツッコんだら負けだな。


 さてスマホの便利機能ってのを試してみるか。

 スマホのホーム画面を確認する。

 基本的な通話とかメモ帳とかのアプリは存在するようだがそれ以外にも俺の知らないアプリがいくつかあるな。


 【ステータス】【アイテムインベントリ】【図鑑】【魔導書】


 以上四つのアプリだ。

 このアプリがカマ仙人の言っていた便利機能と言うのだろう。

 とりあえず一番気になる魔導書のアプリは後回しにしよう。

 

 まずはステータスのアプリを使ってみるか。

 俺はステータスのアプリをタップする。


 

 須田 絢斗 Lv5


 体力 106

 魔力 820000


 力  112

 知力 320

 防御 83

 魔防 76

 敏捷 63


 職業  旅人

 スキル 超魔力

 装備  学生服


 ステータスってのはよくわからんが1つ分かったことがある。

 

 なんか魔力だけぶっちぎりで多いんだけどどゆこと!?

 いや、それ以外にも知力が割と高いけどそれが霞むくらいの魔力があるんだけど!?


 ん?超魔力?もしかしてコイツの所為か?

 そういえばカマ仙人が超魔力を付けるとかどうとか言ってたな。

 あ、超魔力の概要見れるっぽいな。

 俺は超魔力という項目をタップした。


 

 スキル 【超魔力】


 自分の魔力を10000倍にする永続スキル。


 


 うっわチート臭するなこれ。

 永続スキルってことは半永久的に発動してるってことだよな?

 まあ、魔術って概念があるわけだしたくさんあっても損はないか、うん。


 他人のステータスってどう見るんだろうか?

 あ、これだな。

 右上のアイコンをタップするとカメラモードに切り替わった。


 なるほど、カメラで人を写すとステータスが見られるって感じだろうな。

 村人とか見つけたら後で試してみようか。

 

 次はこれも結構気になってたんだよな。アイテムインベントリ。

 予想が正しければ四次元にしまっておいて好きな時に取り出せるゲームとかでよくあるあれだ。

 アイテムインベントリのアプリをタップする。


【アイテムインベントリ】


 砂糖      999個

 塩       999個

 酢       999個

 醤油      999個

 味噌      999個

 ポン酢     999個

 塩だれ     999個

 焼き肉タレ   999個

 オリーブオイル 999個

 サラダ油    999個

 胡椒      999個

 片栗粉     999個

 


 調味料多すぎないですかねカマ仙人?

 

 いや、確かに調味料つけてくれるとは言ってたけどすべて1スタックは多すぎると思うんだが。

 

たくさんあるに越したことはないがこれ俺が生きてる間に全部使いきれるのか?

 でもこれだけあるならついでに食材も付けて欲しかったな。

 

 アイテムインベントリをさらにスクロールする。

 

 世界地図

 職適用のローブ



 ん?なんだこれ?


 世界地図はわかるとして職適用のローブって何だ?

 確認のためその項目をタップする。


【職適用のローブ】 職業や戦闘方法に適した服装に自動的に変化する。

          防御 30 魔防 35


 へーなんか面白い装備くれたなカマ仙人。

 これってつまり自動的にその職業っぽい服装に変化してくれるってことだよな?

 せっかくだし着てみるか。


 でもこれどうやって出すんだ?あ、フリックか。


 ドサッと目の前にちょっと古びたローブが出た。

 なるほど、こんな感じに出るわけだな。


 俺はそのローブを着用する。

 するとシュンっと音と光が出て服装が変化した。

 黄土色系の服装に旅人風のマント、そして茶色のブーツ。

 なるほど、職業が旅人だから旅人風の服装になったてわけだな。


 でもさっきまで学生服だったのにこんな簡単に服装が変わるとはさすが異世界だな。


 じゃあ図鑑はどんなかんじなんだろうか?


 アイテムインベントリアプリを閉じて図鑑を開く。


 あれ?何も記載されてないな?


 ---

 ---

 ---

 ---

 ---

 

 って感じでどれだけスクロールしても何も書かれていない。

 どういうことだ?

 あ、もしかしてあれか?


 俺は図鑑モードにしながら飛んでいる魔物にスマホのカメラレンズを向ける。

 

 ピロンっ


 フライバタフライ Lv3 得意属性 雷 苦手属性 火


 なるほど、遭遇した魔物を記録するいわゆるポ〇モン図鑑方式ですか。

 これも便利な機能だな、弱点属性だけでなくレベルまで表示されるなら

無茶な戦闘は避けられる。

 

 せっかくだしもう数体記録しておこう。

 そう思い周りを見渡す。さて、どれを記録しようか。


 グニっと足元から感触がした。覚えがある。

 小さいころ犬の散歩コースで鬼ごっこをしていた時に踏んだアレ。

 あんな感じの感触だ。

 「…………マジかよ」


 落ち込みながら踏みつけたそれを確認する。

 それは茶色ではなく銀色だった。

 

「なんだこれ?」


 スマホがその物体を通過する。


 ミスリルスライム レベル1 得意属性 火 苦手属性 なし

          状態 重症


 

 う〇こではなくスライムだったことに安堵すると同時にこのスライムには

申し訳ないと思った。


 




 

 

 

 


 

 

  

 

 

次回は5月2日の18時投稿予定です。

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