プロローグ:俺どうやら死んだみたいです
目を開けたら俺は真っ白の何もない空間に寝転がっていた俺 須田 絢斗。
『ここはどこだ?』なんて野暮な質問はするつもりはない。
時間がどれほど過ぎたかはわからないが俺は横断歩道を
渡っている赤色のランドセルを背負った女の子に信号無視
をして猛スピードで突っ込もうとしているトラック。
これだけの描写ならトラックが悪いと言いかねないが女
の子は横断歩道が青になる前にわたっていたからすべてト
ラックが悪いというわけではない。
ただ日本の法律では轢いた方が悪いわけで自動車学校で
習っているはずだ、9対1でトラックが悪い、でもこれだと
トラックが完全に悪いな。
やっぱトラックが全面的に悪いでいいや、さっきのノーカンで。
そのとき俺は女の子が轢かれる寸前にその女の子を突き飛ばして身代わりになったんだったな。
そして腕やら内臓やらが宙を舞ってるわけよ。
いやー全部俺のなんだけどね。
痛みって度を過ぎると感じなくなるって言うけど怪我するのを
理解した状態で度を過ぎた怪我をするとめちゃくちゃ痛いわw
まあ一瞬だったわけだけどその一瞬が痛いのなんの…………
まあ何が言いたいかってわけなんだが―――
「俺、死んだみてーだな」
「あら、自分の置かれている状況わかっているみたいじゃないの絢斗君」
と俺の頭上から声が聞こえてくる。
ははーん、なるほど。
これは漫画やらラノベやらアニメであるテンプレだな。
いや、確かに金髪で鋭い三白眼な見た目完全な不良である俺ですが
髪の毛は地毛ですしこれでも家庭科5の女子力高い系男子でありながら
多少なりオタク文化も嗜んでいる普通の高校生だからな?
さて皆様もわかっていると思うがこの後の展開はズバリ女神様。
では俺に降臨する女神様の面でも拝見しますかな。
俺は仰向けになりながら視線を徐々に上にやる。
まず俺の眼に映ったのはピンク色のヒール。
あ、もしかしてかわいい系か?それなら歓迎だな。
次に見えてきたのは白色のタイツとピンク色のフリルのスカート
筋肉質なところを見ると運動会系かもしれないな。
そして次に見えてきたのはかなり太い胴回り。
ややぽっちゃり気味なのか?
そして処理していない腕毛と一般女性の太ももくらいは
あるだろうその腕の太さ。
うん、嫌な予感しかしねぇ。
そして目の前にフリッフリのスカートを穿いた筋骨隆々の
髭面のおっさんが現れた。
「うおぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!!!!!!!!」
「ちょっと!?人の顔を見て嘔吐するなんて失礼だわよ!?」
いや、そのインパクトで吐かないのは無理だわ。
むしろ吐かない人間いるのか?
「てめぇ何者だ!?そのレ〇ィビアードみてぇな見た目で女神なんて言ってみろ!?マジでシバくぞ!?」
俺はすぐさま立ち上がり臨戦態勢を取る。
もしこんなやつが女神って言うんなら今後俺みたいに被害者が生まれる前に打ち取らねばなるまい。
「女神だよん♡」
「死ねぇぇぇええええええ!!!!!!」
「うわ!!危ないわね!?」
ちっ、躱しやがったか。だが次は外さない。
「冗談だわよ、だからそんな警戒しないでちょうだい」
警戒するなだ?あいにく変質者と会った時は構えろって親父の教えだからな。
「まったくもぅ、私は君たちが【仙人】って呼んでいる存在よ」
呆れたような目つきで俺にそういうこいつ。
「はぁ?仙人だぁ?……イメージと違いすぎんだろ」
仙人って言えばあれだよな。東南アジアとかで着られてるような服に杖を持ってるっつーやつ。
「私も昔はねぇそんな恰好してたのよ。ちゃんと私にも理由があるのよ」
お、それは失礼な事したかもしれんな。誰だって物事には理由がある当たり前ことだ。
「へぇ、なら何で今そんな恰好してんだよ?」
「仙人ってのはね。綺麗とかかわいいとかそういう性に関する俗物に触れてはいけないという決まりがあるのよ」
あーなるほどな。仙人ってのは50年だか60年だか禁欲をしてやっとたどり着ける境地だとかなんとか(ネット知識であるためかなりあやふやではあるが)
「でもそれとその恰好になんの関係があるんだ?」
「よく聞いてくれたわね。私が仙人になる前の時のまだ10代のころ、一介の修行僧だった私は修行の時、断ち切らなければならない性欲が溜まりに溜まってどうしようもなくなったときがあったの」
ふむ、よくわからんが10代に禁欲は大変かもな。でもその服装をしている核心にはまだ触れていない。
「私は何日も滝に打たれて修行したの。でもどれだけやってもそれは拭われなかったわ。でもある日のきっかけでそれは解消されたわ」
仙人は続ける。
「とある朝、目が覚めてふと洗面台の鏡を見た時に思ったの」
仙人は一呼吸置き、
「私…………美しいって」
「聞いた俺がバカだった!!」
単にナルシストをおかしい方向に拗らせて女装に目覚めただけじゃねーか!!
「お前のその服装はとりあえず置いておくとして、ここはあの世なのか?」
俺は気になることを仙人に聞いてみる。
「ぶっぶーざんねーん」
イラっ
「ちょっちょっとーそんな睨まないで!!」
おっさんがそういうぶりっ子発言するのはマジでぶっ飛ばしたくなるからマジでやめろ。
「で?マジでここはどこなんだ?」
「ここはあの世とこの世の狭間よ」
仙人はブーたれながらそう答える。やっぱそういう系の類か。
「なるほどな。わりぃけど異世界ならいかねぇぞ?」
「え、なんでわかったのよ!?」
「逆にマジで異世界行かせるつもりだったのかよ!?」
仙人が心を読まれたかのように啞残とした顔で騒いでいる。
いや、半分冗談のつもりだっだけどよ。ここまでテンプレ通りだとこっちも驚くわ。
「なんでよ!?せっかく生き返らせてあげるのよ!?」
「いや、異世界ってだけでかなり苦労するだろ?俺は平穏に生きたいだけだし今以上の平穏が送れねーようならこのまま死んだ方がマシだ」
確かに異世界物ってのはあこがれるものはある。だがそれは物語であるからあこがれるんだ。今の平和な日本の文化水準になれちまってるからそういう異世界に馴染めない自身はある。
別にコミュ障ではないにしろ俺は人と話すのは得意ではないからな。友達も全然いなかったし。
別に寂しいってわけじゃねぞ?
「じゃ、じゃあ異世界で使用できるスマホあげるから!それだけじゃなくていくつか道具も上げるし調味料も特別にたくさんつけてあげるから!!それならいいでしょ!?」
どうしても仙人は俺に異世界に行ってほしいようだ。
だがこれには少し俺も気持ちが揺らぐな。異世界で使用できるスマホってつまり異世界にいても使用できるのは大きい。スマホ一台あるだけでかなりのストレス解消になるからな。
それと調味料ももらえるのは良いな。ファンタジーの世界に行くにしてもSFの世界に行くだとしても慣れ親しんだ調味料が使用できるのも大きい。
料理好きな俺からしたらちょっと好条件だ。
「それで?」
だがもう一度聞き返した。仙人はまだ何か隠しているみたいだからな。
「そ、そのね?本当は絢斗君あの場で死ぬ予定じゃなかったのよ」
「ほう?」
「でも、私のミスで絢斗君が死ぬ未来になっちゃって」
なるほどね。だから必死になってるわけか。
確かに自分の所為で人の命が終わってしまったら何とか償わければと俺だったら思うからな。
これに関しては疑った俺が悪かったかもしれん。
「だからお詫びとして……現世には戻せないけど異世界なら蘇らせてあげられるからってことでして……」
「なるほどな、でも俺はこのまま死んでも構わんぞ?それが運命だったということで受け入れっから」
「だ、ダメよ!!それじゃあ私が神様に罰せられちゃうから!!」
「結局お前の私利私欲で蘇らせようとしてんじゃねーかぁぁあああああ!!!!!」
「痛たたたたたたたああああ!!!あ、アイアンクローはやめて!!頭壊れちゃう!!!!」
この野郎俺が少し信用してやろうと考えてた矢先に。お前みたいなクズ野郎にはアイアンクローの刑でも生ぬるいわ。
「しばらくは一人で暮らしても問題ない資金と超魔力のスキルつけてあげるから!!!!!」
「資金と超魔力ね。確かにそれがあれば異世界生活は安泰だな」
超魔力……は置いておくとして資金がそれなりにもらえるのは大きいな。資金があれば多少なり贅沢もできるし行ってもいいかもしれんな。
まあ、話しは聞くだけだが。
「…………絢斗君、今異世界に行ってもいいと思ったわね?」
「え?」
トンっと仙人にみぞおち辺りを軽く掌で押される。
俺のみぞおちから白い光が発行し始める。
そしてその光は大きくなり仙人に文句の一つも言わせることなく俺を一瞬で飲み込んだのだった。
初めて小説投稿をします龍筋肉と申します。
出来るだけ毎日投稿できるよう頑張りますのでよろしくお願いします。