第2話 敵襲
俺はイベリア軍第3部隊隊長だ。今、攻めてきているのはイベリア軍だ。俺が話に行けばきっと俺に気付いて攻撃をやめるはずだ・・・と思っていた。だけどなぜこんな事になっているんだ?
「どうだ、そろそろ限界だろう?」一人の重装備歩兵が話しかけてきた。
この人はリベラス中尉。イベリア軍第2部隊の隊長で俺の先輩でもある。
「リベラス中尉・・・何故こんなことを為さるのです・・・兵士すらいない無抵抗な村の焼き払いなんて・・・あまりにも酷いじゃないですか・・・」
「酷い!?ハッ!何をいっているんだお前は?ここを占領すれば、あらゆる国に戦争を仕掛けるのにいい拠点となる!しかも我々が占領すればきっと、他の国は恐れをなして攻めてこなくなる。まさに一石二鳥ではないか!」「そもそもお前はこんなところで何をやっている!?賊の討伐が完了したならばさっさと帰還するべきだろう?それにお前のつれていた槍兵部隊はどうしたのだ?」
「・・・・・」
「あくまでシラを切るつもりか・・・ならこっちにも考えがある。」
そういうとリベラス中尉は姿を消した。
俺はリベラス中尉に直接会って村への攻撃を止める様に交渉したが、リベラス中尉は聞く耳を持たず、俺はつかまり、ロープで縛りあげられたまま、この3日間食事もろくにさせてもらっていない。その間にも村の攻撃は続けられて、綺麗だった町並みは、瓦礫の山と化していて、村人たちはリベラス中尉率いる第2部隊魔導士軍に捕まった。ただ一人を除いて・・・
「ネイミ・・・」
そう、ここ数日、たくさんの村人達が連行されているのをみてきたが、まだネイミの姿が見当たらない。変な事を考えていなきゃいいけど・・・それとも上手く逃げられたのか?
俺が彼女の安否を心配しているその時、遠くの方から金属がぶつかりあう音と悲鳴が聞こえた。
「リベラス中尉!リベラス中尉!て、敵襲です!」
「な、なんだと!?馬鹿な!敵は何人だ!?」
「それが・・・たった二人なんですが・・・」
「たったの二人だと?!我が魔導士部隊は何をやっているのだ!」
「それが、その二人が滅茶苦茶な強さで全く歯たたないのです!」
「クソ!潰せ!全兵力をもってして、そいつらを生け捕りにするのだ!」
やがて、俺の周りには見張りの兵士が誰一人いなくなった。自由になった俺は自力でロープをほどき戦場に向かった。
ー 戦場 ー
戦場につくとそこは酷い有り様だった。もはや血の海と呼べる域をこえていて、辺りには人の首や腕が転がっていた。(むごいな・・・この殺しかたは・・・)
「弱ぇ弱ぇ弱ぇ弱ぇ!もっと、もっと噛みごたえのある奴は居ねぇのか!?」
その時俺は聞き覚えのある声を聞いた。そう、忘れもしないあの声を・・・
(続)