第1話 出会い
クソ!ここまでなのか・・・・・俺は・・
「ヒャャハハハハッ!!弱ぇ弱ぇ弱ぇ!!もっと・・・もっと噛みごたえのある奴は居ねぇのか!?」
何何だ?!この男は・・・一人だけでこの人数を相手に擦り傷一つ無いなんて・・・
「残るのは・・・お前だけか・・・」
「うっ」
だ、駄目だ動けない・・・身体が言うことを聞かない・・・
「お前は少しは楽しませてくれよ?」
き、来た、避けなきゃ・・
「痛っ」
何だ??何が起きた?
俺は・・・俺は切られたのか?
「何だぁ、手応えねぇなあイベリアの隊長さんよぉ」
お、俺は死ぬのか?こんな所で・・・
「ざまぁ無ぇなあ、イベリアの隊長さんよぉ?めいどの土産物に何か聞きたいことはあるか?教えてやるよ最後にな・・・」男は血で錆びた刀を懐にしまった。
聞きたいこと・・・?
「あ、あんたの名前を教えてくれ・・・」
男は一瞬意外そうな顔をしたが、その表情もすぐに不敵な笑みに変わった。
「意外だなぁ、最期に俺の名前を聞くなんて・・・大抵の奴は、命ごいをしたもんだが・・・教えてやるよ俺の名前は・・・・・・」・・クソ、意識が遠くなってきた・・・ここまでか・・・
気が付くと俺は白い天井を見つめていた。
ここは・・・何処だ?俺は生きているのか?
俺は白いベットから腰を上げた。
確か・・・俺は・・イベリアの隊長で・・賊の討伐の為にここに来て、戦った男が物凄く強くて・・・俺以外の仲間は皆そいつに殺されて・・・
どうやら、あの男、俺に留めを刺さないで消えたらしいな・・・なんでだ??というか此処は何処だ??
俺が自分の記憶を辿って混乱しているその時部屋の隅にあったドアが開き一人の少女が入ってきた。金髪で背が高い・・・175はある少女だ。少女は近距離で俺の顔を覗きこんで来た。
「あ、気が付いたんだ。 顔色もよくなってるし、大丈夫そうだね。」と少女が微笑んだ。
「君が俺を助けてくれたのか?」
「うん。あなただけ息があったから。他の仲間の人は残念だけど・・・」「そうか・・・ありがとうおかげで助かったよ。」
「うん、他の人も助けてあげたかったんだけど・・・あなた名前は?」
「俺はベル、イベリア軍の隊長だ」
「イベリア軍!?・・・そう・・・私はネイミ。」
さっきまでは笑顔だったネイミの顔が
「イベリア」と聞いた瞬間にこわばった。「どうかしたか?」
「え、いや!なんでもないよ?本当に何でもないから気にしないで!それよりさ私、スープ作ったから良かったら飲んで!」
そう言うとネイミは部屋から出ていった。(何か隠してるな・・・)と俺は思いつつ彼女のスープを口にした。口にすると思わず
「美味い」という言葉が出てきた。そういえば、賊の討伐の任務に就いてから、ろくな食べ物を食べてなかったからなぁ・・・俺はネイミの作ってくれたスープを一瞬で平らげて、残った食器を彼女の所に持って行く為、部屋を出た。部屋を出た俺は、驚いた。俺がいた部屋に続く廊下には様々な武器が一列に並んでいたからだ。うわ、凄い数の武器だな・・・これは・・・ハンドガン、ボウガン、手斧に剣と盾か・・・なんであの娘こんな物騒な物をもっているのだろう?
俺が彼女のことについて考えているその時、外で大きな音がした。「な、なんだ今の音?」
俺は慌てて窓から外を見た。外を見ると、辺りは火の海と化していた。
「な、何が起こったんだ?一体?!」
「ベルさん!」
隣にはいつの間にかネイミがいた。
「ネイミ!一体何が!?」
「イベリア軍魔導士部隊の襲撃がはじまったの!」
「イベリア軍だって!?なんでまた家の軍がこの村を襲撃するんだ?」
「・・・・・」
ネイミはうつ向いて黙ってしまった。「クソ、俺が奴らに会って襲撃を辞める様に説得してくる!!」「止めて!そんなことしたら・・・」ネイミを俺の腕を掴んできたが俺はそれを振り払った。
「大丈夫だって!俺はこれでもイベリア軍第3部隊の隊長だから!!」
こうして俺はイベリア軍の元に走った。これから待ち受ける運命も知らずに・・・