第九十五話 水晶玉って主に占いに使うらしいよ。
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今日は三話追加します。
ここは魔王城……魔人大陸、《デステア》の中心にそびえ立つ城だ……
二か月ぶりにそこでは会議が行われていた……
「……今回の初軍の結果についての報告がこちらの資料だ。……」
デュークは水晶に前回襲撃させた魔人たちの戦闘の結果を表示した。これは《水晶魔法》と言い、デュークの見たものを水晶に表示するデュークの魔法である。
そこには魔人たちの全滅と、それまでの時間、状況などが記録されていた。
それを大臣のゼノ、フリード、魔王のルトが見ている。
「……ほう、人間の中にも少しは頭のきく奴がいるようだな……」
ゼノがそれを見てそのように言う。
「なーんだ、全滅かよ……持ったいねー。」
会議室のドアが開き、何者かがそう言って、部屋に入る。
「グリード、貴様……遅刻だぞ! 何をしておった!」
ゼノがその男に怒鳴りつける。
「へいへい、悪かったよ……」
グリードと呼ばれる者はそのままイスに座る。
「……えっと……これから、魔国会議を始めます……」
「……まず議論すべきなのは、今回の成果がまるでないことだ……一般の部隊がやられたのならまだしも、送り込んだ精鋭部隊からは一切通信が取れない。」
ゼノは会議が始めるとすぐにそれを口にする。
「早急に手立てを考える必要があります……ルト様、いかがなさいましょうか?」
「……え、えっと……」
「さらに部隊を送ればいいだろう……ただし、今回のように一つの地域に集中するのではなく、攻撃地点をばらけさせれば奴らも対処できないはずだ……」
ルトが口ごもると、黒い鎧をまとった男が言う。
「お前に聞いてるのではない……フリード……私はルト様に言っているのだ……」
「デューク……ボクもフリードの案でいいと思う……」
「……く、わかりました……」
「よーし、そうとわかったら俺は新しい部隊を編成しに行くぜ……」
「……うん、頼んだよ、グリード。」
グリードはそのまま会議室から出て行った。
「……じゃあ、次の議題だね……次の攻撃地点は……」
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「……では、皆もそろそろ解散しよう……えっと、情報係はそのままデュークでよろしく頼むよ……」
「……御意。」
ルトがそう言って、大臣たちはそのまま会議室から出た。
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「……まったく、ルト様は何をお考えに……これもフリードの差し金なのか……」
「おう、デューク隊長は疑り深いね~。」
デュークが会議室を出て廊下を歩いていると、そこにはグリードがいた。
「第三始祖グリード、部隊の編成に行ったのではなかったのか……」
「いんや、一通り終わったぜ。あとは数時間待てばいいだけ……」
「……ふん、ならばいい……」
デュークはそう吐き捨てられると、振り返って去ろうとする。
「おっと、忠告しておくぜー、フリードには気を付けろよー。」
「! ……どういうことだ……」
「んー? 今おれ、何か言ったか?」
「……いや、なんでもない。肝に銘じておこう。」
二人はそれを後にして、各職場に戻って行った。
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その頃……ルナたちは王国中心都市、《ブリュッセ》と呼ばれる場所で令二たちの捜索を続けていた。
「はい、納品を確認しました。《ブルー・スライムゼリー》が25個、報酬の1500Gです。」
「……確かに受け取ったでござる。」
「……ありがとうございました。」
受付嬢が頭を下げると、ルナはカウンターから出て行った。
「クエスト完了ですね、姉上。」
「そうでござるな。これからミリーと一緒に服を買いに行くでござるが、レイもついてくるでござるか?」
「はい。この街にはかわいい服がたくさんありますしね。《聖杯祭》のためにいろんな衣装を買いたいですし……」
二人はそういうと、ミリーとの待ち合わせの場所まで歩いて行った。
ここは王国中心都市、《ブリュッセ》。さまざまな産業が発達し、あらゆる高級品が市場に出ている。都市の北側にそびえ立つ城には現、国王がいる。言うまでもなく、ここの警備、軍事力は厳しく、街には複数のギルド会館が設けられている。そして、近頃毎年一回この都市で行われる《聖杯祭》があるのだ。その祭りには大陸中の貴族が集まり、王国の建国を祝うのである。
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「今日はいい買い物したわね~。」
ミリーが買い物の後、食事をしながら、嬉しそうに言う。
「まったくでござる。ここの料理はおいしいでござるし、最高でござる。」
「こら、二人とも、ここには遊びに来たんじゃありませんからね令二さんたちがこちらに向かっている以上、ここで近いうちに会えるはずなんです。私たちはそのためにここに滞在しているんですよ。」
レイが浮かれている二人にきちんと釘をさす。
「わかってるわよ、レイちゃん……ここの料理よりもレイジの料理の方がおいしかったわよね。」
「それには同感でござる!」
「……水晶には別の女の子も映っていましたけど……とくにあの露出度の高い服を着た女性は何なんですか!」
レイがっている人物とはサリーのことだ。
「………………」
「……確かに……言いようによってはただじゃおかないわね……」
レイがそんなことを言うと、二人はいきなり静かになった。
三人と令二との再会は目の前だ……