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第九十三話 これって三角関係じゃね?

 令二が約五百体の魔人を倒した次の日……

令二はテートとチユに心配をかけたお詫びとして三人で外に出かけていた。


「うーんーふかふかでぽかぽかー、ご主人様のひざー」


「あーずるいです! 私もレイジ様のお膝に!」


 令二は寝転がりながら二人の口論を聞いている……木によっかかって寝るのは最高に気持ちいいものだ。今日は天気もいいので、絶好の昼寝日和である。令二は木の下に広がる草原を見て何やら思いついたようだ。


「…………よし、何かして遊ぶか……」


 ――――――――――――


「……あの……レイジ様……それは……」


「ああ、これはボールという物だ。」


「ボール?」


 令二は自分の手にスキル《錬成》で作ったボールを見せる。テートとチユはそれをめずらしそうに見ている。テートがそれを恐る恐る触ってみると……


「あ、ふかふかです……」


「だろう? じゃあ、これを遠くに投げるからキャッチして来てくれ。」


「は、はい!」


 令二はテートが遠くまで歩いていくと、気を見計らってボールを投げる……テートはそれを見て、ボールを必死で追いかける。


 ボフッ


「キャッ!」


 テートがボールをキャッチすると転んでしまった。しかし、草が生えているのでケガがないようだ、それどころか楽しそうだ。


「チユもやらせてー」


 チユも遊んでもらいたいようだ……今は契約のことは忘れるように令二は自分に言い聞かせる……


(……昨日は心配かけさせたからな……たまにはこういうのもいいか……)


 昨日の一件から令二の心に何か新しい感情が芽生え始めていた。


 ――――――――――――


「おっ、リーデルさん。」


「やあ、遅れてすまなかったな……チムを振り切るのに少し手間がかかった。」


 その後、令二らはリーデルとギルドで待ち合わせをしていた。令二との約束で彼女にもルナたちの捜索に手を貸してもらうからである。話し合いの結果、今日から再び、旅を再開し、彼女も同行することになった。


「リーデルさんはギルドマスターなんだろ? 忙しくないのか?」


「……ああ、そうだが……」


 リーデルがレストランで食事を頼んでいる間、令二がそんな質問をする。


「……今はそうでもない。緊急任務が届けられたときのみ、我々は国から派遣されるのだ。今回の《魔人討伐》のクエストは終了……つまり、今は時間が空いているのだよ。……それと、これから我々はパーティになるのだ、『さん』付けは止めてくれ。」


「なるほど……で、調べてもらったか?」


「……ああ、貴殿の言う通り調べた。ここから真南の街、王国中心都市、《ブリュッセ》で先日クエストの依頼があったそうだ。おそらくまだその町で待機しているだろう。」


「……王国か……わかった、リーデル。腹ごしらえができたらすぐに出かけることにしよう。」


「うむ、そうだな。」


「……じーーー」


「……ぶーぶー」


 令二がリーデルと話をしていると、何やら横から視線が突き刺さる……テートは擬音語を言葉に発している……明らかに不快のようだ……チユはほっぺのふくらみがまるでマンボウのようである……愛らしいのだが、こちらもご機嫌がナナメのようだ……


(……昨日心配をかけたのをまだ怒っているのか? さっきはそんなことなかったのに……)


 令二は乙女心というのに対して理解する様子を見せない。的外れなことを考えている。


「……うむ、料理が来たな……」


 令二たちはそれから食事をとり、目的地に向けて出発するのであった。

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