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第九十話 悪魔の持ってるのはフォークなのかな?

 令二はギルドの集団とともに魔人が出ると予想される地点に待機していた……

そこは草原……辺り一面野原のただの草原だ。そこにあと数分で魔人が襲撃してくるなどだれも予想できない。


(……本当にこんなところに出てくるのか?)


 令二がそれを不思議に思っていると……


「来たぞ~! 魔人だ~!」


 一人の男が大声を上げた……どうやら本当に魔人が襲撃してきたようだ。


「……あれが……魔人……」


 飛んでいる魔人のその肌は赤黒い者もいれば、蒼黒い者もいる……背から悪魔のような翼を広げ、手には槍、剣を装備している……魔力量も相当高い。令二はその生物離れした姿を見て、恐怖どころか研究する者としての興味、関心がそそられてきた。


「かかれ~~~!」


「「おお~~~!」」


 誰かの掛け声で冒険者たちは魔人たちに突っ込む……


 魔人の中には飛行したままの奴や、地上に降りてくる奴らがいる……前衛、後衛としての役割が明確に区別されている証拠だ……しかし、冒険者も負けてはいない。集団での戦闘は冒険者の十八番おはこ。魔術師が後衛に整列し次々に魔人たちを制圧していく。


 その光景を見ていた令二だが、彼にはそれがうまく行き過ぎているのではないかと不安になっていた。


「……あら、男のくせに怖気づいたの? あなたも戦いなさいよ!」

 チムが何やら隣で令二に文句を言っている……しかし、令二はそんな彼女を気にも留めず、


「……リーデルさん……わかってると思うが……」


「……ああ、おとりだな……」


「ちょっと、無視しないでよ! ……て、おとりなんですか、リーデル様?」


 彼女もわかっているようだ……今、目の前にいる魔人らが本命でないことを……

魔人はバカじゃない。人間並み……いや、人間よりも知恵を持っている者が多く、残虐な者も多い。おとり作戦とは、単純であるが、血気盛んな冒険者には打ってっ付けの作戦であろう……王国の兵士ならばこんなに簡単に騙されはしない。


(……マスター、地中深くから大型の魔力を感知しました……)


「……下だ、来るぞ!」


 令二はアークの念話を聞き取り、いち早く敵の気配に気付く……



 ドゴゴゴゴ



 地中深くから、大量のゴーレム……そして魔人が……


「て、敵襲だ~!」


「か、囲まれたぞ~~!」


 愚かにもそれに気づかずに前線に出ていた冒険者たちは慌てている。パニックとなり収拾がつかない状況である……


(……バカか……こいつら……)


 令二はそんな冒険者を見てはすかさず魔法を発動する……


「……プロテクション……フォービドン……スピリット・オーラ……」


 三重に魔法を発動した……極限にまで研ぎ澄まされた魔力が令二に纏い、その能力を急激に上昇させる。


 グシャ!


 キイイイイン



 魔人どもを無双をしている令二の隣ではリーデルがさらに速く魔人やゴーレムを引き裂いていく……

チムもまた、リーデルの後ろで後方支援をしている……感心するほどの手際の良さだ。


 それから二時間にわたって草原での激しい戦いは続いた……


 ――――――――――――


「……はあ、はあ……」


「た、助かったぞ~!」


 冒険者たちはほとんど死者を出していない……令二とリーデルたちのおかげであると言えよう。しかし、令二はいまだ不安を拭いきれないでいた。


(……まだだ……次はどこだ、アーク……)


(……検索……探知……発見しました。街の付近、西側の森周辺に魔人と思われる魔力が多数知されました。)


(……わかった……)


 令二は念話で返事をするとそのまま森の方角に向かって歩き出した。


「…レイジ殿、どこにいくつもりだ?」


「……ああ、用事を思い出した。ギルドに帰るついでに行ってくるからリーデルさんはギルドで待っててくれ。」


 そう言って令二は歩いて行った……


「……たく、これから後片付けが大変だって言うのに……、ねえ、リーデル様?」


「………………」


 チムがリーデルに話しかけるが、リーデルはそれに応じず、立ちすくんだままだった。

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