第八十九話 レイドメンバーのチームワークは良いはずだ。
ギルドには冒険者たちが集まっている……占い通りならば、あと数時間で魔人たちが襲撃してくるであろう。令二とリーデルがギルドに入ると、そこには異様な雰囲気が漂っていた……
「……あの娘たちはどうしたのだ?」
リーデルがテートたちの居場所を尋ねる。
「……ああ、宿でおとなしくするように言っておいた。危険はないとは言っておいたから追いかけては来ないだろう。」
「……そうか。」
「それより、もう一人のパーティメンバーはまだか? そろそろ出発の時間帯だろ。」
「ああ……そろそろだと思うのだが……」
令二はリーデルと話していると、ギルドの全員がこちらを見ている……ギルドマスターと言うほどだ……よほど有名なのだろう。
「リーデル様!」
すると突然、背の小さい女の子がリーデルに抱き付いて来た……服装を見ている限り冒険者のようだ。
令二はすかさず新しいスキル《鑑定》で彼女のステータスを見る。
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チム・カーデル
Lv 37
HP 870/870
MP 450/450
ATK 221
DEF 156
AGL 259
DEX 187
INT 190
《魔法属性》 火
《魔法》 プロテクション Lv3
ファイア・ボール Lv3
フレイム・バレッド Lv1
ヒール Lv1
《スキル》 格闘 Lv2
剣術 Lv2
《所持金》 124000G
《装備品》
・《武器》 スクリュー・ブレイド
・《上防具》 レーザー・アーマー
・《下防具》 レーザー・タイツ
・《装飾品》 剛力の指輪
《ギルドランク》 D
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ちなみに《鑑定》のスキルが発動できる対象は自分よりレベルの弱い者だけ……
リーデルは令二よりもレベルが高いため、ステータスの回覧には至っていない。なお、《鑑定》で確認できるステータスの欄には経験値や、次のレベルまでの経験値は含まれておらず、どういうわけかチユとアークは鑑定することができなかった。このことから、令二は魔導書に関連するものは鑑定できないと踏んだのだが、それはまた別のお話。
(……昔のルナくらいか……まあまあだな……)
「……やあ、チムか……元気にしていたか?」
「はい! リーデル様もお元気そうで! ……この男は誰ですか……」
チムは令二を恋敵を見るかのような視線で睨み付けてくる……
「この人はレイジ殿だ……このたびの魔人討伐の任務を受けてくれたのだ。」
「……へー、この人がリーデル様の言っていた……ふーん、とてもそんな凄腕には見えませんけどねー。」
チムは頭につけているリボンと、髪を揺らしながら令二の周りを歩いては顔を覗き込む。
(……なんで目の敵にされているんだ……俺は……)
令二はそんなことを思っていると……
「……あれは《戦火の姫 リーデル》……」
「じゃあ、リーデルさんと一緒にいるあの男、一体……」
何やら周りからヒソヒソと話声が聞こえてくる……良くも悪くも令二は目立ってしまっているようだ……しかし、令二の思惑と違っていたので令二はため息をついた……
そしてしばらくすると、リーデルが時間になったことで合図をする。
「……そろそろ時間だ、皆行くぞ!」
「「お~~~~~~~~!」」
リーデルの掛け声で魔人討伐が始まった……