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第七十九話 魔法っていちいち呪文唱えないといけないから、面倒くさい。

 令二たちが階段を上がるとそこにはある魔物が沢山いた。


「なんだ、オークか……」


 令二は何度も目にしたことがあるオークを目の当たりにした。


「このくらいの雑魚なら私だけで十分なんだけどね……」


 サリーはそういって腰のレイピアを抜く。


「いや、俺がやる……実験にはもってこいだしな……」


 令二は一人で前に出る。オークはそれを見て十数体が令二のもとに向かう。


「ちょっ、あんた!」


 サリーが令二の行動を見て加勢しようとする……が……


「……ほむらつるぎ守護しゅごするものなり……精霊せいれい加護かごまといててき殲滅せんめつせよ……」


 令二はその時、無詠唱ではなく、呪文を唱えて魔法を発動させていた。

令二が呪文を詠唱し終わると、《クリムゾン・セイバー》の刀身が炎に包まれる……元々赤黒い剣がさらに赤く光り輝いていて美しささえ感じ取れる。


「ギャアアーーーー」


 オークたちは目をまばたく間もなく令二の剣により炎に包まれていた。


 ――――――――――――


「あれはいったい何だい?」

 サリーがどうやら先ほどの戦闘が気になったようで質問する。


「言っても多分わからないよ……新しい魔法を錬成・・しただけだ。」


 そう、令二のしたこと……それは《錬成》のスキルによる魔法の合成である。令二はスキル《錬成》を体得してから、そのスキルが素材以外にも合成できることを知った。


 彼は一度、付与魔法エンチャント・マジックを武器にかけてから、それを合成してみたことがある。その結果は、合成後もその能力が完成した道具に反映されていたのだ。


 そこで令二は推測した……《錬成》には魔法までも有効なのではないかと……


 彼の推測から実験が始まった……最初はあまり成功しなかった魔法錬成も、今ではものにし始めているのだ。


「ま……そういうことだ……」


「……やっぱり私にはわからなかった……」

 サリーが頭を抱えながら落ち込んでいる……令二の言う通り理解できなかったのがよほど悔しいのだろう。


「チユはわかるよー」

 チユはどうやら本当に理解しているようだ……


 迷宮内のど真ん中に座って三人で話していると、そこはまるで休憩所である。


 令二たち三人はその迷宮を進んだ……


 いくつもの試練、大きな岩が転がったり、槍が降ってきたり、スライムが湧き水に潜んでいたり……とにかくいろいろな罠があった。そして、彼らは最上階であると思われる部屋の門にたどり着いた。


「……何かいるね……」

 サリーがそうつぶやく。


「なんだ、魔力でもわかるのか?」


「……バカ、私は鼻が利くんだよ……あんたら猫族はあまり鼻がきかないからわからないだろうけど、そっちのガキは見たところ犬族だし、わかるんじゃないのかい?」


「うーん、何も匂わないよー」


 チユは首をかしげてそんなことを言う。それもそのはず、チユの犬の姿はあくまで令二の《変身》の能力であり、実際はただの人間……もとい魔導書なのだ。


「……まあ、何かいるのはわかるけどな…………さて、行くぞ……」


 令二はそう言うと、部屋の門を開けたのだった……


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