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第七十三話 白い塔は、展望台?

 150000アクセス突破!


 ご愛読してくださる皆様には感謝感激です!


 今日は一話追加します。

 これは令二の港でのお話……

ルナたちが水晶を手に入れた頃、令二達は港町、《ゲイルストール》に到着したのであった。


「きれいですねーご主人様ー」

 チユがのんびりと驚いて見せる。


 《ゲイルストール》――――――――――――

 獣人大陸の三つあるうちの港町の一つである。獣人族は妖精族の住むと言われる大陸、《アールヴ》との貿易が盛んであるが、互いに領地に侵入することの一切を禁じている。それ以外の種族の住む大陸に行くことはとても少ないので、港としてつかわれている場所は大陸中でも三カ所しかないなのだ。


 とてもきれいな街並みだ……街の中央には大きな湖があり、さらにその中心には湖に囲まれた白い塔がそびえたっている。霧が少しかかって朝の光景は幻想的だ。


「……美しい……」


 令二はそんな風に呟き、街の港に向かった。


 ――――――――――――


「人間大陸? あんた戦争でも吹っかけに行くのかい?」


「あんなところに出す船なんてここにはありゃしないよー。」


「そ、そんな……あんな野蛮人の巣窟になんて……俺はとても……」




 令二は人間大陸行きの船を探すが、一向に見つからない。

人間族と獣人族との長い因縁には奴隷、植民地と様々な理由がある。法律こそ作られてはいないが獣人の中で人間大陸にわざわざ行く者はいないらしい。


「ここもダメか……」


 令二は最後の船を出すところに聞き込みに行ったが、そこでも断られた。


「……他のところにいろって言われても、もう他の船出してる場所なんてないんだよな……」

 令二はため息をつく、と同時に耳や尻尾が下がる。


「ご主人様ー、大丈夫ー?」

 チユが令二の顔を見上げてなぐさめる。


「……チユになぐさめられるなんて……俺も落ちたもんだな……よし、もう少し探してみるか。」


 それから令二は夜まで人間大陸息の船を探したが、結局見つかることはなかったのだった。


 ――――――――――――


 朝は街中に蔓延していた霧は夜になると晴れ、湖に浮かぶ塔ははっきりと見ることができる。それを眺めながら令二はふと、あることに気が付いた。


「なあ、この大陸に俺以外の人間はいないのか?」

 令二はチユが分類されるのかをあえて触れずにアークに聞く。


「……検索…………でました……はい。各地に獣人に発見されないように生息していると記録されております。発見は何度かされていますが、ほとんどの人間は逃走し、どこかに身を潜む……とのことです。」


「……じゃあ、人間大陸に獣人はいるのか?」


「……はい、ごく少数ですが、奴隷として獣人は存在します。」

アークは令二の質問に淡々と答えていく。


「……お互い、船で来ることは滅多にない。人間大陸では獣人の奴隷化は表向きでは禁止されているし……昔からいるにしても、そういうのは戦争が終わってから元の大陸に戻されてるらしいし……やっぱり何か交通手段があるんじゃないか?」


「……検索……人間大陸行きの船は名目上、存在しますが実際の運航はされていないようです。本日出港予定の船はすべて存在しませんでした。」


「……何か……奴隷……奴隷を運ぶ船はないのか?」


「……検索……でました。人間大陸には密輸により獣人の奴隷を売買している商があると気楽されています。ただし、この記録は曖昧のため、信用できるものではありません。」


「……十分だ……じゃあ、獣人に似たような船……海賊船のようなものはあるか?」

 令二は元にいた世界の記憶を引っ張り出し、そんなことを聞く。


「……検索…………でました……はい、この街の海周辺には海賊船が滞在しているようです。」


「……ってことは、やっぱり……海の上なら貿易していることはバレないからな……密輸は、その海賊を奴隷にしている可能性が高いな……もしくは同意の上で何か取引をしているのか……」


 令二は何やら一人でブツブツ独り言を言っている。


「…………なあ、あれおかしくないか?」


 令二は独り言をやめると、何かに気が付いて塔に向かって指をさした。

よく見ると、塔に月? がかかっているが、塔にかかっている部分だけ月の光がぼやけている……明らかに奇妙な光景だ……場所を移動して確認してみると、どうやらこの位置でのみ、そのように見えるようだ。


「……あの月の形、自然の物じゃないよな……あの塔、何かあるんじゃないか?」

 令二はそういってアークに投げかける。


「探索開始…………でました……おそらく、幻影魔法ファントム・マジックです。」


 令二の疑問は間違いではなかった……やはり、あの塔には何らかの魔法がかかっているようだ。


「……獣人大陸での魔法……何か匂うな……よし、明日になったら出発するぞ。」


「はい、マスター。」


 チユはそう言っている令二の背中でスヤスヤ眠っているのだった。

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