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第七十二話 俺らはケモノ耳つきの海賊団!

 誰かが呼んでいる。


 誰かが……


「…………起きなさい!」


「ん……んん……」


 令二は目覚めた。すると、目の前にはネピュルが立っている。


「………………」

 令二はそれを見るとすかさず眠りに着こうとした。


「ちょっと! 少しでいいから聞いてよ……って、寝るなー!」


 ――――――――――――


「眠い。」


「第一声がそれって……あんたどんだけ冷たいのよ。」


「土下座の『ど』の字も知らないやつに優しく接する必要はない。」


「……なんだか言ってることはようわかんないけど、馬鹿にされているのはわかるわ。」

 ネピュルはあきれてため息をつく。


「おお、よくわかったな。」


「キー! だからあんたは……」


 ――――――――――――


 数時間後……


「このやり取りもうやめにしないか? 何度もやってるとさすがに疲れる。」

 令二は今までの自分を棚に上げてそのようなことを言う。


「キー!あんたが言うな!」


「……で、一体何の用だ?」


「……おほん、『回復魔術ヒーラー』についてよ。」


「……その話か……俺も契約については少し気になっていたが……」


「ふふ~ん、知りたい? 知りたいわよね~。」


「あ、やっぱいいです、近寄らないでください、気持ち悪いです。」


「……く、く、がまんよ……我慢……」


「早く話せガキ。」


「キー! 我慢できないわ!」


 結局怒ることを我慢できなかったネピュルであった。


 ――――――――――――


「あの子とはまだ契約できていないのよね?」


「ああ、そうだ。」

 令二はネピュルの質問に率直に答える。


「船に乗ってからあの子、何か変なのよ。なんというか……心の変化、というか……」


「……それ船酔いだぞ、多分。」


「え………………」


 ………………


 ………………


「じゃ……」

 とても気まずいフインキになったが令二はすかさず眠りに着こうとした。


「ちょ、ちょっと待ってよ!」


 令二はネピュルの言葉を耳にも入れず、そのまま眠りについた。


 ――――――――――――


「ん……変な寝起きだな……」

 令二はネピュルとの対話? の後すぐに寝て現実で起きた。


 ムニュッ


 何かやわらかい感触が令二の手に伝わる。温かくてそのうえ、手のひらサイズ……弾力もいい。


「……あっ、ご主人様ー…………」


 その正体はチユのお尻であった。


「……何してる……」

 令二は冷静にチユに質問を投げかける……が……


「ご主人様の匂いがーしたからー」


「……どいてくれ。」


「はーい。」


 令二はチユを振り払うと私服に着替え始める。


(チユの様子がおかしい……か。確かに船に乗ってからか、チユの奴、妙に俺にくっついてくるようになったな……契約までの何かの予兆なのだろうか?)


 令二はそんなことを考えているが、チユは令二のベッドから離れようとしないようだ。


「……まあ、いいか…………アーク、あとどのぐらいで人間大陸につきそうだ?」


「はい……計算……あとおよそ三日で到着します。」


「三日か……もうすぐ会えるな……」

 令二は柄にもなくルナたちのことを思い出して、感傷に浸っている。

そしてその三日は令二にとって長い時間になるのであった……


 ――――――――――――


「ん、おはよう。」

 令二は船の外へと続くドアを開けて船員たちに挨拶した。


「おう、白猫の旦那! 今日はいい天気なんで朝は外で食いましょうや!」


「あ、白猫様! あ、あの……料理を手伝ってください!」


 テートが令二に深く頭を下げる。


「おっ、がんばれ、テート!」


「テートの料理もうまいがやっぱり白猫の旦那の料理もうめーんだよな……」


 今日も船内は騒がしい。犬に猿、鳥……色々な獣を模した獣人たちがジャンジャンバカ騒ぎしている。船内はまるで毎日がお祭りのようだった。


 それにはみんなの笑顔がある。獣人のいる大陸では珍しくもなかった。最初は騒がしいのが嫌いだった令二も、こんなのも悪くない……そう思うのであった……


 ――――――――――――


 一体令二に何が起こったのか……これは令二が港町に着いた時までさかのぼる……


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