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第七十話 部屋で暴れるのはよしましょう。

 ルナ、レイの二人は待ち合わせていた宿のとある部屋で話し合っているところであった。


「……ということなのでござる。やはり、拙者の見立ては間違っていなかったようでござる。」


「……そうですか……姉上、こちらもお二人に聞きましたが、どうやら嘘はついていないようです。お二人の強盗の事実はないと考えるのが妥当かと思います。」


 レイはルナの分身が聞いて来たオロブの会話を知り、いつもにもなく真剣な顔つきである。


「……その二人はどうしているでござるか?」


「今は隣の部屋でぐっすり寝てるわ。」


 二人が話しているとドアが開き、ミリーが入ってきた。二人を隣りの部屋に寝かせたようだ。


「……そうでござるか……オロブ殿が話していた男……そちらも気になるでござるが、今はどのようにして対処するのかが問題でござる。」


「はい、ですが私たちの目的はあくまでも報酬の水晶です、下手なことをしてしまうと水晶を手に入れることができなくなります。」


「レイちゃんの言うとおりね……何かいい方法があればいいんだけど……」


 ミリーがそういうと三人は頭を抱え込むのであった。


 ――――――――――――


 ――――――――――――


「……一度報酬をもらうというのはどうでしょうか?」

 しばらく三人が考えていると突然、レイが口を開いた。


「どういうことでござるか? 教えてほしいでござる。」


「わたしも……」


 ルナとミリーはレイの提案に耳を傾ける。


「ええ、それはですね……」


 ――――――――――――


 それから数時間後――――――――――――


「おお! ついに獣人たちを捕まえてくれたのか!」


 三人はキャシーとパークを連れて領主館の入口の門まで来ていた。


「にゃー、放せにゃ! ……むぐぐ……」

 すると、キャシーが暴れている。


「……お確かめください。」


 しかしそんなことを気にも留めずに、キャシーの口をハンカチでふさぐと、レイがオロブにそう言うと、オロブは隣の従者から黒い箱を受け取りキャシーたちの頭の上にかざした。


「それは何でござるか?」


 ルナはその箱を見て疑問に思う。


「ふむ、諸君らには馴染みがないか。これは《トルボト》と言ってな、魔力のある物に触れるとその大きさによって明るく光る鉱石なのだ。この領地ではよく発掘されるのだ。」


「それって、獣人だって確かめることに何か関係があるの?」

 オロブの説明にミリーが質問をする。


「ふむ、いい質問だ。獣人は人間よりも魔力がとても低いのだ。耳や尻尾は魔法でどうとでもなるが魔力までは変えられん。だからこうするとすぐに獣人かそうでないかがわかるのだ……ふむ、確かに……こ奴らは獣人で間違いないようだな……」


「はい、では確かに引き渡しました。」

 レイがそう言ってキャシーとパールをオロブに引き渡す。


「………………」


 縄に縛り付けられているパールはオロブに向かってにらみつけている。


「しばらく広間で待っておれ。吾輩わがはいは報酬を持ってくる。」


「……はい、わかりました。」


 オロブはそう言って三人とともに屋敷へ入って行った。


 ――――――――――――


「諸君、待たせたな、これが《オリハルコンの水晶》だ。一人を探す分だけはある。受け取るのだ。」


 オロブは《オリハルコンの水晶》をミリーに手渡し、彼女はそれが本物であるかを確認する。


「……間違いないわ、ありがとう。」

 ミリーはそう言いながら頭を下げる。


「なに、礼を言うのは吾輩の方だ。クエスト完了の印はこれでよいな。」


「……はい、では……」

 そう言って三人がその部屋から出おうとすると……



 ガシャーーン!



 部屋の外が何やら騒がしい。キャシーたちが脱走したようだ。


「な、なんの音だ! 何事だ!」

 オロブはその音に反応して驚きを隠せないようだ。すぐに部屋のドアを開けて飛び出す。


「た、大変です、オロブ様! 獣人たちが脱走しました!」


 それはオロブにとって最悪の事態の知らせだった。

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