第五十八話 レベルアップするときの感動を俺は忘れない。
令二は元魔導書……いや、魔導書ではあるが人であるチユを連れてダンジョンを脱出した。その後、街に戻る前に令二はチユに尋ねた。
「なあ、どんな耳がいい?」
令二はアイテムボックスから獣耳モデルの下書きを出した。
「うーん、ご主人様はなにがいいー?」
「……何でもいいよ……」
「じゃあー、この耳が折れたやつー」
チユはそう言うと、令二の持っている紙を指した。
「よし、じゃあちょっと待ってろ。」
令二はそう言うとおもむろにスケッチを始めた。
「《変身》スキル発動!」
どろん!
チユ犬と思われる姿に変身させると、令二は街で宿に泊まったのだった……
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「チユ、お前を読むにはどうしたらいいんだ?」
「んーとねーわかんない。」
「……おい。」
「うーん、見てみるー?」
そう言うとチユはおもむろに令二の渡したコートを脱ごうとする。
「や、やっぱいい!」
令二はチユを慌てて止めた。
(……なんで俺がこんなことに気を回さなきゃいかないんだ……)
令二がそんなことを考えていると……
「ご主人様ー、もしかしてチユ……いらない子ー?」
そう言ってチユが上目使いで令二を見つめる。そんなチユを見て令二は……
「まあ、そんなことはない……読めないなら仕方がない……な。」
「うーん、ありがとーご主人様ー」
「ハア……」
深いため息をついた令二だった……
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「さて……どうしたもんか……」
「いかがされましたか、マスター?」
「ご主人様ーどうしたのー?」
「いやな、ステータスをみたらこんなのがあったんだけど……」
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レイジ・アマノ
Lv 85
HP 2670/2670
MP 3300/3300
EXP 79590
NEXT 3410
ATK 414
DEF 319
AGL 398
DEX 325
INT 370
《魔法属性》 火、土
《魔法》 虹色魔法 Lv6(3/6)
プロテクション Lv3
ファイア・ボール Lv3
アース・クラッシュ Lv3
フレイム・バレッド Lv3
フォービドン Lv3
ディバインド Lv3
ガーディアン Lv3
エクスプロ―ジョン Lv1
スピリット・オーラ Lv3
フォトン・エンチャント Lv3
《スキル》 格闘 Lv3
剣術 Lv3
応急処置 Lv2
思念体 Lv1
変身 Lv2
無詠唱 Lv2
錬成 Lv1
《所持金》 3607100G
《装備品》
・《武器》 フレイム・ソード
・《上防具》 パラディン・コート(黒)
・《下防具》 ~上下着用~
・《装飾品》 金剛力の指輪
《ギルドランク》 B
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「……これは錬成……か?」
「ユニークスキル『錬成』は特定の材料を使用することで製造過程を無視し、新たな物質、武器、防具を創り出すスキルです。なお、このスキルにより製造される物質は本人の想像力を具現化するとのことです。」
「想像力を具現化するか……あいまいだな。」
「ねーねー、ご主人様ーどうしたのー?」
チユは令二の言っていることがわからないようで、質問してきた。
「いや……まあ、このスキルを手に入れたのもある意味ではチユのおかげか……えらいぞ、チユ。」
令二はそうやってチユを褒めると、チユは本当にうれしそうに笑った。
「ありがとーご主人様ー」
「……はいはい……よし、早速武器を作り始めるか……」
「錬成はスキルレベルの上昇に伴い、作成した物体の強度、効果が上昇します。はじめは、小規模な物体から錬成するのがよいかと……」
「おし、じゃあここら辺の薬草でも作るか……」
令二は新たにユニークスキル《錬成》を会得し、旅を続けるのだった。