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第五十七話 宝箱の中身はなーに?

 令二は第十層の階段を下りていた。


(ようやく、ラスボスか……)


 アークのマップ機能でこの階層には一部屋しかないことがわかっている……つまりはラスボスだ。


(これだけ一部屋が広いとなると……)


 令二は階段を下り、扉の前に立った。すると……


『この先、ドラゴンがいます、危険!』


 そのように書かれた看板が立っていた。


「……これ、ダンジョン作った奴のしわざだよな……まあ、いいけど……」


 令二はそんなことを言いながら扉を開けた。


 ギイイイイ


「グゥオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 もちろん、ドラゴンがいた。


「……こいつの後ろにあるあれ……宝箱だよな?」


「……はい。魔導書が入っています。」


「……わかった。瞬殺しよう……藍色……橙色……」


 令二は二つの魔法を同時にドラゴンにかけた。が……


「ガアアアア!」


 ドラゴンはそのまま火のブレスで攻撃してきた。

それに気づいた令二はその攻撃を何とかかわし、すぐに自身に《フォービドン》、《スピリット・オーラ》、《メガ・プロテクション》を三重でかける。


「どうなってる!アーク!」


「……検索……でました。ドラゴンにはMPが存在しないため、《グラン・スペルバインド》は効果がありません。付け加え、《グラビティ・コア》は効果があります。」


「あれで魔法効いてるってのか……うお!」


 令二はドラゴンのブレスを全てよける。


(……あいつ、動かないな……ブレスでしか攻撃できないのか……なら……)


「……()羽衣はごろも、汝は守らざるものなり……」


 令二は詠唱を唱えて、その後もじわじわとドラゴンを弱らせていった……そして……


「……()黒炎こくえん、万物を焼き尽くし、灰塵とかすものなり……つかさどるは戦火、邪悪を滅し浄化せし……」


 令二は弱ったドラゴンに詠唱ありの火魔法の上級魔法アストラル・フレアで攻撃した。


 ドラゴンはその攻撃をよけようとするが……


「無駄だ……そこにはすでに《フォービドン》と《ディバインド》をかけてある……」


 令二がそう言うと、ドラゴンの足場が崩れはじめた。翼を負傷しているドラゴンは避けることができず、《アストラル・フレア》が直撃した。


 ――――――――――――


「開けるぞ……」

 令二はドラゴンを倒すと、宝箱を開ける。すると……



 ――――――――――――



 「………………」


 令二はあっけにとられていた。


 なぜならそこには白い髪の小さな女の子がいたからだ


 だが、女の子は裸であるため、直視しづらい。


(…………落ち着け。俺にならできる…………よし、落ち着いた。裸の女の子が宝箱から出てきた……桃の中から桃太郎……とか、竹の中からかぐや姫……じゃあるまいし……ダンジョンを作った奴はロリコン誘拐犯だったのか?)


 令二がそんなことを考えていると……


「ご主人様ー?」


 白い髪の女の子が起き上がった。


(ど、どうする……いまなんて言ったんだ?)

 令二は彼女の言葉に戸惑う。


「な、何を言ってるんだ? お前……」


「ご主人様ー、名前をつけてー」


「ど、どうしたんだ! 急に!」

 さすがの令二も裸の幼女にご主人様とせまられて動揺を隠せない。


「マスター、彼女は魔導書です。ネームを記入してください。」

 そんな令二にアークがしゃべりかける。


「な、なんでもいいから服を着ろ~~~!」


 ――――――――――――


 令二は白い髪の幼女にコートをかぶせると、落ち着いて話を聞いた。


「………………つまり、この小さい女の子は魔導書が擬人化した姿で、俺はこいつのマスターになったわけだな?」


「その通りです、マスター。」


「そうだよー、ご主人様ー。」


「………………信じられるか!」


「マスターの思考回路……検証……ビビ、理解できません。」


「……わ、悪い。つい怒っちまった。」

 令二は再び落ち着くと、深呼吸の後、尋ねた。


「……なんで人の姿になっちまったんだ? そこが一番の問題だ。」


「えーとねー、なんでだろう?」


「………………おい。」


「マスター、おそらくそれは『回復魔術ヒーラー』の魔導書の能力だと推測されます。」


「……さらっと、すごそうなこと言ったけど……何でもありだな。」


「うーん、よくわかんないよーご主人様ー」


「……お前、名前は?」


「えーとねー、ご主人様がつけてくださーい。」


「あ、ああそうだな。」


(どうもただの人間に見てしまうな…………)


「回復……治癒……お! 『チユ』にしよう!」


「チユー?」


「ああ、お前の名前はいまからチユだ。」


「うーん、わかったーご主人様ー」


 こうして、令二に髪の真っ白な幼女が仲間に加わるのだった。

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