第五十五話 ダンジョンには宝箱があるのは当たり前
令二は獣王国に一日しか滞在せず、一日経過した今日、新たな目的地へ向けて旅をしていた。
「……よし、ここら辺で休憩しよう。」
令二はそう言って、自身に使っていた《フォービドン》を解き、足を止める。
「あとどのぐらいだ?」
「……検索……でました。残り約30キロです。」
「だいたい半分くらい来たか……なあ、アーク。」
「はい、いかがされましたか?」
「いや……ダンジョンについて知りたいんだけど……そもそもダンジョンってなんなんだ?」
「……検索……でました。ダンジョンとは魔法によって人工的に作られた魔物の生活する場所です。」
「人工的……なのか……それ?」
魔法と聞いて、人工的であるかを疑問にもつ令二はそんなことを言う。
「はい。そしてダンジョンには階層ごとに魔物が強くなるという特性があります。」
「へえ、宝箱とかはあるのか?」
「……はい。ダンジョンと呼ばれる場所には魔物が近寄ることのできない素材でできた宝箱が設置されております。」
(……ご都合主義なのか、魔法で作った人の好みなのかのどっちかだな。)
令二はダンジョンに対してそんなことを思っているのであった。
「よし、休憩終わり!」
令二はそのままダンジョンの巣窟《グダベラ》へ向かうのだった。
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令二と別れたルナたちが里へ帰還したときのこと、彼女らはギルドマスターであるリーデルと出会っていた。
「……そうか、レイジ・アマノは……」
リーデルが令二の行方不明を残念そうに言う。
「……はいでござる。生きているのは間違いないのでござるが……ハッ!このたびの《クラーケン》についてでござるが……まことに申しあげないでござる。」
そう言ってルナが頭を下げる。
「私からも謝罪させてください。」
さらにルナに続いてレイも頭を下げて謝った。
「いや、いいのだ。他の冒険者に仕事をとられたならば、いうことはあるまい。私がこの里にまだいるのは、ただ純粋に当時の彼がどのように戦ったかを詳しく知りたくてな。ケブラ殿から、ルナ殿なら最後まで彼の戦いを見ていたから、詳しく話せる聞いてな。」
「あ、それ私も聞きたい!」
「わ、私もです!」
「……拙者もあまりうまく話せないでござるが……まずレイジ殿は湖を土砂で――――――――――――」
その後、ルナはリーデルたちに戦いの詳細を聞いたのだった。
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「到着ーー!」
「お疲れ様です、マスター。」
朝からずっと走って夕方、ようやく《グダベラ》に到着したのだった。
「あれ? ここは冒険者っぽい奴らがいっぱいいるな。鎧を着ている奴が見える。」
「こちらのダンジョンででるアイテムには懸賞金が掛かっているものが多く、値段が高い者も数多く存在するようです。そのため、ダンジョンに入るものが多いのです。」
「……なるほどな……ちなみに何階層ぐらい進んでるんだ?」
「……検索……でました。ただいまの進行は四階層です。なお、ダンジョンでは一度クリアした階層をスキップする魔法がかけられています。」
「マップデータはもう自動でインストールされているはずだよな?何層まであるんだ?」
「……検索……でました。最深部は十階層です。」
(やっぱ、それもわかるのか……このスキルは意外にチートだな。)
「よし、今日は宿を借りてもう寝よう。」
そんなことを考え、すぐにダンジョンをクリアすることを決意する令二であった。