第四十九話 めっちゃ、もうかりまっせ!
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今日は二話追加します。
「おう、あんちゃん。これをくれ!」
「お兄ちゃん、これください!」
「ぼっちゃん、これはいくらだい?」
令二は商売を始めたのだが、その人気は令二自身の想像をはるかに上回って、とても繁盛していた。
《黒猫の祭り》――――――――――――そのような店の名前をつけた令二だったが、はじめて商売をした街、《パーゴス》でこれほどの売り上げをするとは夢にも思わなかった。
《フォトン・エンチャント》を使った武器や防具よりもどちらかというと、令二の作った料理が売れているようだ。
「はい、こちらですね?ひとつ550Gになります。あっ、そちらの商品は1700Gです。」
元の世界でいくら接客のバイトをやっていても、さすがに令二一人では複数の客を接客をするのはとても骨が折れた。
「はい、ありがとうございました!」
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「……ふう、すごい売上だな。試食を始めたら一気に売れ出したぞ。」
「ただいまの所持金……798750Gです。」
驚いている令二にアークは正確な所持金を言う。
「おう……そんなに高くも安くもした覚えはないのにもう二十万近く稼いだよな……この調子なら金に困ることはなさそうだ。」
「はい、認知度が高くなれば商売は繁盛すると記録されております。」
「そうだな、しばらくはここに滞在しよう。まとまったお金をためるまではここにいても問題はないだろう。」
「かしこまりました、マスター。」
――――――――――――
令二はそれから三週間、屋台を買い、店を開いていた。
その噂は街中のみならず、他の街、国にも広がっているらしい。
そんな令二が商売をしているさなか、ある馬車が道を通っていた。
――――――――――――
「ん、あれはなんだ? パーニャ。」
馬車に乗っている白いドレスを着た少女が隣にいるメイドに尋ねた。
「はいお嬢様。おそらくあれは近頃この街で話題となっておる、《黒猫の祭り》と呼ばれる店にございます。」
パーニャと呼ばれるメイドがお嬢様に答える。
「なんだ、この芳ばしい香りは……パーニャ、あの店を買ってこい。」
「かしこまりました、お嬢様。」
メイドのような格好をした女性が令二の屋台に近づく。
「皆、どいてはくれないでしょうか?」
「「は、はい……」」
パーニャのその声を聴いた者たちは令二の屋台から離れて行った。
「……どうかされましたか?お客様を退場させるような行為はあまりされてほしくはないのですが……」
令二は営業妨害をしに来たパーニャに怒っているが、顔には出さず、笑って言う。
「そうか、それはすまなかった。あなたがこの店の店主で?」
「…………はい。」
パーニャの質問に令二は少し考えながら答える。
「この店を買いに来た。」
しかし、そのパーニャの言葉に令二はあまり驚かなかった。
「……店を、ですか? ……申し訳ありませんが、あいにくこの屋台はお売りすることはできません。」
そして、令二はパーニャに向かって丁重にお断り申し上げる。
「ならば、いい値で買おう。あなたはいくらで雇われてくれる?」
(……ダメだなこの人……金で解決する奴だ。)
令二はしつこいパーニャをそう思う。
「……商品をお買い上げならば構いませんが、雇われるつもりは一切ありません。」
「…………それが貴様の返答か?」
そういうと、パーニャが令二をにらみつけてくる。
(……この人、メイドさんかな? いい衣装だけど……)
令二はそのようなパーニャに一切の恐怖を抱いていなかった。
「はい。ご理解されましたら、どうぞお下がりください。」
――――――――――――
次の瞬間、パーニャがしびれを切らしたのか、彼女の拳が令二を襲う。
しかし、令二は彼女のその拳をかわしながら屋台の上空を飛び越え、パーニャの背後に回り込む。
「な!」
「当店での暴力行為は固く禁じております……いくら当てるつもりがなくとも……です。」
令二は驚いている様子のパーニャに優しく呼びかける。
「待て、パーニャ!」
向かい合っている令二とパーニャに品の高い声が上がった。
「お、お嬢様……しかし……」
「……パーニャ……店はいい。まずは食事を買い占めよ。」
茶色い長髪がなびいて、丸い耳のお嬢様がパーニャと令二のもとに駆け寄る。
「……かしこまりました。」
パーニャはそういうと令二をにらみ返してきた。
「何をお買い上げでしょうか?」
だが令二は笑顔で商売を再開する。
「ここの料理を全て買う。」
パーニャは令二をにらみつけながら言う。
「お買い上げありがとうございます。…………129050Gです。」
「ふん、金は置いておく。」
パーニャがそう言い捨てて金を屋台に置いた。
「おい、貴様。」
すると、お嬢様が令二に声をかけてくる。
「いかがされましたか?」
令二はいつも通りの営業スマイルで答える。
「妾は貴様を気に入った。妾に仕えよ。」
「……大変恐縮ですが、お断りいたします。私にはやらなければならないことがありますので。」
「……聞き間違いか? 貴様、妾の誘いを受けぬと?」
「……はい。」
お嬢様の視線がパーニャよりも怖くなった。
「……ふ、ははは!」
次の瞬間、お嬢様は笑い出した。
「……いかがなさいましたか?」
「……ふふ、貴様……いい度胸をしておる。その度胸に免じて今回の無礼は許してやろう。」
「……恐縮です。」
「……食えんやつだ……パーニャ、ゆくぞ。」
「……かしこまりました。」
パーニャは料理を全て買い占めると、お嬢様とともに馬車に乗り去って行った。
その時、お嬢様? は令二を見つめていたが、令二はそれを気にしなかった。
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「う~ん、そろそろ金もたまってきたし、あんな騒ぎが起きたらすぐに次の街へ行かないとな。」
令二は宿に戻るとそのようなことを呟いていた。
「《パーゴス》周辺の街を検索……でました。次の街は獣王国《ルーバル》です。」
「獣王国……獣人の王国か?」
「はい。現在、獣王であるレグルス・ファルイスが納める国です。」
「獣人にもちゃんと王様がいるんだな……」
「はい。獣人族の他にも六大種族にはそれぞれ王が存在します。」
「六大種族? また変な用語がきたな……」
「六大種族とは人間族、竜人族、人魚族、妖精族、獣人族、魔人族……この世界をすべる六種族のことです。それぞれの種族には人王、竜王、海王、妖精王、獣王、魔王が存在すると記録されております。」
「えっと……多分わかった。」
(あんまりわかってないけどな……)
「とりあえず明日になったら、魔物の材料を集めて、獣王国? に向かおう。」
「かしこまりました、マスター。」
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レイジ・アマノ
Lv 61
HP 1700/1700
MP 2340/2340
EXP 35110
NEXT 1790
ATK 312
DEF 241
AGL 301
DEX 230
INT 254
《魔法属性》 火、土
《魔法》 虹色魔法 Lv5(3/5)
プロテクション Lv3
ファイア・ボール Lv3
アース・クラッシュ Lv3
フォービドン Lv3
ディバインド Lv3
ガーディアン Lv3
スピリット・オーラ Lv2
フォトン・エンチャント Lv3
《スキル》 格闘 Lv3
剣術 Lv3
思念体 Lv1
変身 Lv2
無詠唱 Lv1
《所持金》 1024650G
《装備品》
・《武器》 エリューブ・ソード
・《上防具》 グラディ・クロス
・《下防具》 グラディ・トラウザーズ
・《装飾品》 剛力の指輪
《ギルドランク》 B
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