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第五話 旅は道連れって、このことかな?

 2016/3/30 修正

 旅を続ける令二だが、走りすぎて今はMPが切れたので休憩をとっていた。



「そういえばMPって時間がたてば自動的に回復するんだな。どうなってるんだ?」



「検索……でました。魔力を消費するには精神力、集中力を必要とします。よって精神を集中させる程度に休養を取れば魔力も回復する……という見解となっております。」



「……よくわからなかったけど、まあそう言うもんか。それにしても……色々魔法を覚えたもんだな。今のうちに確認するか。」



 令二は最初の街で冒険者として訓練していたが、その間に付加魔法を中級まで全て習得しているのであった。



 そしてその憶えた魔法は一覧としてアークのデータに記載されている。


 令二はそれを確認してみた。


 ――――――――――――



・《虹色魔法(レインボー・マジック)》 消費MP ? (1/1)

 Lv1 《属性》 無

 七種類まで魔法を収納できる魔法。(赤・《メガ・プロテクション》)


・《メガ・プロテクション》 消費MP 50+?

 Lv0 《属性》 無

 発動者の許可なしに、外界からのあらゆる

物理・魔法の影響を無効にする魔法。

ATK、DEFが上昇する。

生物にかける場合、5分で効果が切れる。


・《フォービドン》 消費MP ?

 LV1 《属性》 無

 かけた物体の速力を変化させる魔法。

AGLの変化1につき、5のMPを消費する。

生物にかける場合、5分で効果が切れる。


・《ディバインド》 消費MP ?

 Lv1 《属性》 無

 かけた物体の攻撃力または防御力を下げる魔法。

ATKまたはDEFの減少1につき、5のMPを消費する。

生物にかける場合、5分で効果が切れる。


・《ガーディアン》 消費MP ?

 Lv1 《属性》 無

 かけた物体の魔法防御力、属性耐性を上げる魔法。

DEFの上昇1につき、5のMPを消費する。

生物にかける場合、5分で効果が切れる。


・《プロテクション》 消費MP ?

 Lv3 《属性》 無

 かけた物体の攻撃力または防御力を上げる魔法。

ATKまたはDEFの上昇1につき、5のMPを消費する。

生物にかける場合、15分で効果が切れる。



 ――――――――――――



「そういえば、この『生物にかける場合、5分で効果が切れる。』って書いてあるけど……生物以外に魔法をかけるのと何か違いがあるのか?」



「はい。付加魔法は生物以外の物体にかけた場合、かけたMPの量によって効果が続く時間が違うのです。ステータス欄の魔法名の右側に記載されている魔法のレベルによって持続時間が変化します。逆に生物にかける場合、持続時間は魔法レベルにより、五分~十五分となっております。それ以上はいくらMPを消費しても持続時間は変わりません。再度魔法をかけなおしてください。」



「なるほどな。これはそういう事だったのか。魔法のレベルって言うくらいだから威力や効力が上がるだけだと思ってた。」



 令二はステータス画面を見ながら感心する。



 つまり、生物以外にかける場合、持続時間は魔力によって決定する。


 生物にかけた場合は持続時間は魔法レベルにより決定するわけだ。



「じゃあ、お前にかけられた魔法はどうなるんだ?」



「魔導書にかけられたMPは無限に近いと記録されております。」



 さりげなくアークはそんな事を説明する。


 だがよくよく考えれば、それはすなわち、魔導書には無限に等しい魔力で魔法をかけられていることになる。



「だからそんなに強度があるし、長く……というかいつから掛けられているかわからないけど……」



 魔導書がいつ作られたのかはわからないが……それはそれは想像もつかないほどすごい魔法をかけられたのに違いない。



「なるほどな。この世界では付加魔法を武器にかけて、強化しようとしても時間が来れば元に戻っちまうのか。」



 要するに、付加魔法がかけられる時間は、それをかける術者の魔力と、その魔法レベルに比例するということなのだろう。


 錬度が上がれば魔法も強くなる……道理だ。



「じゃあなんで生物には5分とか15分なんだ? それ以上にMPをたくさん消費すれば、その分長くなるんじゃないのか?」



「……検索……でました。それを疑問に抱いた学者は全員その結果に至らなかったとのことです。いくつか説は存在しますが、有用な説はないようです。」



(まあ、ご都合主義なんだろうな……)



 そういうものだと、自身に言い聞かせて体力を回復していた令二であった。






 しばらく令二が休憩し歩き始めた頃、アークが令二に話しかけてきた。



「マスター。何者かが尾行しております。」



「何者かって……魔物か?」



「いいえ。人間です。先ほどからマスターと一定の距離を取って付いて来ています。」



「……よし、しばらく様子を見よう。もう少し歩いたら休憩するふりをしてみて、出方を見る。」







 令二は、謎の尾行者を確認するため、ぐっすり寝ているふりをしていると、草むらから何かが動く音がした。



「あんなスピードで山を駆け抜けていたのを見て、なんだと思いきやまだ子どもでござるか。うまく引き込めば拙者らの助けになってくれそうでござる。歳もレイに近そうだし、いい遊び相手になるかもしれないでござる。」



 思いっきり聞こえているが、令二は寝ているふりを続けている。


 すぐに走って振り切っても構わないが、自分が何の目的でつけられているかその理由が知りたかったのだ。



「まだ寝ているようでござるな。仲間に引き入れるのには最初が肝心でござる。

こう、拙者の色仕掛けでもして……少しでも今の拙者らには助力が必要。子供とはいえ今回のあの魔物に対抗するには我らの仲間になってもらうしか……」



「ここで何してるんだ?」



 草むらでうごめく影の後ろから令二が話しかけた。



「うわ!」



 令二が急に話しかけたせいか朱色の髪の女性は倒れこんでしまった。


 ポニーテールで、なんだか忍者のような恰好かっこうをしている。



「おい、大丈夫か?」



 令二が手を指し延ばすと朱色の髪の女性はその手を握る。


 ゆっくり立ち上がると、少し距離をとって朱色の髪の女性は話しかけた。



「かたじけない。えー、コホン。本日は……お日柄もよく……」



「テレビ放送のアナウンサーでもそんな下手なセリフは言わないよ。それより、なんで俺のことを付けていたんだ?」



「拙者の気配に気づくとは……感服いたしましたでござる。拙者ルナテディウス・アルヴェイと申すものでござる。ルナと呼んでいただければ恐悦至極でござる。」



 令二が朱色の髪の女性に気付いたのはアークが令二に尾行されていることを伝えていただ。


 決して令二の達人のような勘の鋭さでも、気配や気を感じたわけではない。


 だが、朱色の髪の女性は後者のほうだと勘違いしてしまったらしい。



「あの……別に下心があったのではないのでござるが……あの速度で山を登るそなたを見て感激してしまい、仲間になってもらえないかと……」



「俺は天野令二あまのれいじ。悪いが仲間ならお断りだ。」



「レイジ殿でござるか……あの、仲間になってもらうのは少しの間で良いのででござる、レイジ殿。後生の願いでござるから!」



 ルナは土下座して、頭を深々と下げた。



(ダメだ、それではだめだ。土下座の極意がまるで分っていない。こう……スライディングとか、トリプルスリップとか・・・最低でもそのレベルじゃないとな。)



 ちなみに令二は一時期、土下座の可能性に挑戦していた時代があった。


 ダイビングキャッチ土下座、バクテン土下座、ムーンサルト土下座と……あらゆる角度の体操、スポーツ、武術から取り入れ、土下座の境地に至ったこともあった。


 そんなくだらないことを学生時代にするものなど、異世界広しと言えども令二くらいだろう。


 そして、そんな彼からしてみればルナの土下座ははるかに劣っていたのだ。


(だが・・・)



「わかった。だから、顔を上げてくれ。そんなに誠意を込められて土下座されたら断れねえよ。」



 令二は誠意のある土下座をしたルナの願いを聞いてあげたいと思った。


 土下座の可能性は無限大。だが、いくら技術があっても、そこに誠意がなければ、それは意味をなさない。


 令二はそんなルナに心を許したのか、口調がぶっきらぼうでなくなっていた。



「おお、土下座がわかるでござるか。これは我が一族の伝統的な誠意のある謝り方で……」



「ああ、わかった。お前の気持ちはよくわかったから……事情を聞かせてくれ。まさか、事情もなく女の子が土下座をしたわけじゃないんだろう?」



「その通りでござる。やはり拙者の見込みは間違っていなかったでござる。実は……」



 おそらくルナはこんなくだらない理由でお願いを聞いてもらえたとは思ってもいないであろうが、彼女はそのお願いしたい事情というものを語り始めるのであった。

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