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第四話 走りの世界チャンピオンでも、魔法使えば超えられるよね

 2016/3/30 修正

 冒険者となってからついにDランクとなった令二は、旅立ちの決意をしその準備を終え、今出発しようとしていた。



「鍛冶屋のオーダーメイド……いい剣だな。名前は……」



「《エリューブ・ソード》です。」



 令二は鍛冶屋の店主から約束通り作ってもらった新しい剣、《エリューブ・ソード》を受け取り、今は街の外にいる。



「水も食料もよし……これで出発できるな。」



「マスター、目的地をおっしゃって下さい。検索します。」



 アークがナビの代わりに案内してくれるので、旅とはいえ迷う心配もなく非常に安心だ。



「えっと、この街の名前は……確か《ヴィケール》だったけ。《ヴィケール》に一番近い町で頼む。」



「……検索します……でました。ここから道に沿って進むと《ランデム山》があり、さらに北へ進んだところに《ト-バー》があります。」



「いきなり山越えか……ここはそんなにほかの街と離れているのか?」



「はい。ここは《バクデース大陸》の最南端です。山におおわれているため、船での貿易以外に外交手段はありません。したがって山を登る以外に街へ移動する手段はございません。小さな村などは点在しておりますが……そちらに向かいますか?」



 どうやら大きな街はなくとも村はたくさんあるらしい。


 要するに田舎という事なのだろう。



「いや、遠回りをすれば食料が尽きそうだ……仕方ない。山越えでいいから、園まりに到着するまでどのくらいかかるかを教えてくれ。」



「……およそ4日はかかります。《アイテムボックス》に十分な食料と水は入っています。旅としては問題ありません。」



「ああ、じゃあ出発しよう。」



 ちなみに、この《アイテムボックス》というのはその名の通りアイテムを収納可能な箱である。


 5000Gと、少し令二にとっては高めだが道具屋の店主がすすめてくれた。


 なかなかに貴重なものらしいのだが、旅に出ると言ったら悲しんでくれたのか泣いて売ってくれたのだ。


 これはとてもありがたいと、令二は名前も知らない道具屋の店主に感謝した。


 などと考えていると、いいことを思いついた。



「あ!いいこと考えた!」



「マスター、いかがされましたか?」



「お前、前に自分にはなんか魔法がかかっているから湖に入っても濡れなかったって言っていたよな。」



「はい。魔法の名前は《メガ・プロテクション》です。」



「俺の虹色魔法レインボー・マジックで、お前に付加されている《メガ・プロテクション》を収納できるか?」



「検索……します……でました。可能です。」



 令二は考えた。


 魔法を収納できるという虹色魔法。


 その使い方を色々考えているうちにあることに気付いた。


 敵であっても魔法を収納できるのであれば、物にかかっている魔法も収納が可能なのではないかと……


 そして物体に付加する魔法……それはすなわち付加魔法。


 その中でもアークにかかっている魔法はとても強いものだと考えたのだ。



「よし…………《メガ・プロテクション》!!!」



 令二はその場で高らかに魔法の名前を叫ぶ。


 こうすることで魔法を収納できるからだ。



「…………」



 高らかに叫んだのはいいが、収納したのかどうかあまり判断できない。



「せ、成功したのか?」



「はい。ステータスを確認してください。」



 令二は言われるがままに本の表紙を開いてステータスを確認する。



 ――――――――――――



 Lv 6


 HP 120/120

 MP 300/300


 EXP 251

 NEXT 191


 ATK 55

 DEF 19

 AGL 40

 DEX 23

 INT 30


 《魔法属性》 無


 《魔法》 虹色魔法レインボー・マジック Lv1(1/1)

      プロテクション Lv3

      フォービドン Lv1

      ディバインド Lv1

      ガーディアン Lv1


 《スキル》 格闘 Lv2

       剣術 Lv1

 

 《所持金》 150G

 

 《装備品》 

 ・《武器》 エリューブ・ソード

 ・《上防具》 革の服

 ・《下防具》 革のズボン

 ・《装飾品》 力の指輪


 《ギルドランク》 D



 ――――――――――――



「おお! カッコの中の左側の数字が0から1に変わってる!」



「これでいつでも発動可能です。それでは発動する際の色を設定してください。」



「色?」



「はい。収納時、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七つから色を1つ設置します。呪文の代わりに設定した色を口にすることで収納している魔法が発動します。」



「なるほど、そうやって七つの種類の魔法を区別するんだな。じゃあ……赤で設定する。」



「……しばらくお待ちください……登録完了しました。」



「なあ、いちいちこの手順をやらないとだめなのか? 戦闘中にも収納したいんだけど……これじゃあ時間がかかって到底無理だぞ。」



「魔法の名前を言った後に色を言っていただければ自動で登録します。登録には……10秒ほどかかります。ご了承ください。」



「……いや、別にいい。戦闘中に本を開かなくても良いなら、それだけで十分だよ。」



 令二はそう言うと、早速今収納した魔法を使用するよう試みる。



「それで……これからが本当にいいアイデアなんだよな。虹色魔法レインボー・マジック、赤!」



 自身の肉体を《メガ・プロテクション》で強化した。そして……



「……()はやぶさ、疾風のごとく駆ける馬なり……」



 さらに当たらく覚えた付加魔法、《フォービドン》を発動した。


 《フォービドン》は、対象の速力を変化させる魔法である。


 付加魔法エンチャント・マジックの中では中級魔法に分類され、その扱いは意外に難しかった。


 どういうことかというと、使う時に自身の速度が速すぎて、空気抵抗に体が持たなくなったのだ。


 ちなみに《プロテクション》をかけ、その後二重でこの魔法をかけてみたが、それでも肉体に大きな負荷をかけたのだった。


 そこで令二は考えた。初級魔法の《プロテクション》よりも効力の強い《メガ・プロテクション》をこの魔法と二重でかければ大丈夫じゃないかと・・・



「おし、このまま走るか!」



 令二の予想は当たっていたようだ。


 本来、《フォービドン》は敵の魔物を遅くしたり剣を振る速度を上げたりと……人間の肉体以外にかける魔法らしい。


 そうでないと、強靭きょうじんな肉体を持つようなものでない限り速度が上がりすぎて肉体が持たないからだ。


 つまりは後方支援の冒険者が前衛に出るような戦士達にかけるような魔法なのだ。



「……これってやっぱりチートな気がする……全然疲れないし。」



 さらに《フォービドン》を使用中は、疲れがあまりでない。


 MPは多く消費するが、このやり方なら疲れずに長い距離をすぐに移動できるというわけだ。



「おし、今のうちに一気に登るか……」

 


 そう独り言を言うと、令二は速度を上げ、車のような速さで山を登って行った。



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