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第三十二話 薬も料理もやりすぎると毒になる……

「ん、ん~~~。」


ルナは朝ベッドで起きた。


「あ、姉上。起きましたか?」


「起きたでござるよ。今日もいい朝でござる。」


「まだレイジさんを起こしに行くのに時間がありますし、今日も水忍法を教えてください。」


「良いでござるよ。」


 ――――――――――――


「呪文を続けるでござる。……()は水、汝は敵を打つ球なり……」


 ルナの手のひらに水の玉が形成される。


「はい! ……()は水、汝は敵を打つ球なり……」

 レイの手のひらに水が形成される。しかし……


 ポシャン!


「……はあ、また失敗です。」

 レイは水属性の系統でもありながら、水魔法もとい水忍法を発動することができても、コントロールすることができないのだ。


「何がいけないんでしょうか?」


「う~ん、精神的な問題でござろうか……

しかし、火忍法はできるでござるよな。」


「はい、姉上に付き合っていただいているのに……面目ないです。」


「レイが謝ることはないでござるよ。きっとうまくなれるでござる。」


「レイジさんも自信を持てって言ってくれましたけど……こうもうまくいかないとさすがに自信がなくなります……」


「そうは言われても水自体は形成されているんでござるが……」


「水忍法と火忍法の時とでは、それぞれ感覚が違うんでしょうか?」


「そうかもしれないでござる……」


 ルナとレイはそのまま悩みこんでいた。


 ――――――――――――


(レイジ殿は今日図書館に行ってしまい、

レイも水忍法の修行中……拙者は何をすれば……)


「あ、そうでござる!レイジ殿に拙者が作ったスープをごちそうするでござる。

レシピはたしかレイの……あったでござる!」


 こうしてルナはなにやら怪しい料理を作り始めたのだった……


 ――――――――――――


「ふむふむ、ここで中火……中火ってどのくらいでござろうか……もう少しまきを入れるのでござろうか?」


 現在、ルナが作っているのはいわばコーンスープである。

しかしその色は緑色に近いにごったものになっていた。


「レイジ殿はめてくださるでござろうか……レイは料理で褒められているでござるが……やはり、主君の世話は従者である拙者がしなければ……」


 ルナはそう言いながらコーンスープ? を作っているが、

鍋の中からは白い泡がブクブクと泡立てている。


 ――――――――――――


(ん、なんだ?今人生で一番の危険を感じた気がするが……気のせいか?)


 令二は死の危険を感じ取ったのか図書館内で立ち止まっていた。


「召喚術に関する資料は……『帝国の英雄章』。まずはこれか……」


 ――――――――――――


 今から300と25年前……

帝国と王国との間に共同戦線として同盟が結ばれた。

当時、国王であったノルガーと帝王であったヴリウスとの和解の条約であった。

帝国は軍事力、王国は魔法の知識、それを互いに提供することで魔王軍との戦いに

勝利していった。


 しかし、帝国内にいた密偵によって魔王軍に決定的な打撃を受けてしまうこととなった。追い込まれた帝国は王国より授かった召喚魔法で勇者ネムを召喚し、反撃を試みた……


 しかし王国では国王ノルガーが何者かによって暗殺され、帝国への一切の援助を行えなかった。


 帝国で召喚された勇者ネムは魔王軍との戦いのさなか、命を失ったという……


 その後、王国では勇者召喚が幾度いくどとも行われ、その過程で23年にわたる魔王軍との戦いに勝利した……


 ――――――――――――


(……勇者かわいそう……)


 そう、この戦いは異世界であるこちらの世界の者……むざむざ元の世界に返す方法も知らないで異世界の者を呼び出し、戦いを強要させ、挙句の果てには命を失う。

 

 これほど理不尽なことがあるだろうか?中には協力的な勇者もいたのかもしれないが、少なくとも、使命感、正義感だけで戦っていた者や、戦いたくなかった者もいただろう。


 さすがの令二でもそれには同情の念を抱いていた。


(……召喚魔法について全然書かれてないじゃないか……次だ、次……)


 令二はその本をもとの所に戻し、他の本を手当たり次第に読むのだった……

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