第三十一話 ファンタジーといえばやっぱりエルフがいるものだ
令二は《オーク・ジェネラル》の討伐に成功し、ギルドへ報告し終わった後、
ルナたちと待ち合わせをしていた場所に来ていた。
「あ、いたでござる!」
ルナとレイが令二のもとに駆け付けた。
「おう、どこか寄ってたのか?」
「はいでござる。ギルドランクはどうだったでござるか?」
「ああ、俺が行く頃には二人の報告も済んでいたみたいでな。
無事Bランクになったよ。」
「それはよかったでござる。こちらに向かう途中、寄り道をして・・・遅くなったでござる。」
「私は本をいっぱい買いました。」
「そうか、よかったな。」
そのまま令二たちはショッピングをした。
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「じゃあ、明日は今度こそ図書館に行ってくるわ。」
「はい、私たちは街で暇をつぶしています。おやすみなさい。」
「お休みでござる~」
令二はそのまま宿の自分の部屋に戻って行った。
「またあのエルフっぽい奴、来そうだな……まあ、いっか……」
そんなことを言いながらも令二は眠りについた……
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「ん……ここは…………夢の中か?」
「どうやら目覚めたようね。」
「なんだ、あんたか……」
そこにはネピュルがいた。
「ずいぶんな言いようね……せっかく忠告に来たのに……」
「……あのエルフっぽい女のことか?」
「えっ! 知ってたの?もしかして倒しちゃった?」
「いや、相手にしなかった……あの時は洞窟の中でめんどくさかったし……」
(やっぱ、エルフなのか……)
「そう。まあ、あんたも前よりはだいぶましになったみたいだけど、そいつに戦って勝てるかは微妙ね……」
「……どういう意味だ?」
「彼女の魔導書は四大魔法の力を主としている『四大魔術』なのよ。単純な戦闘力でいったら他の魔導書のなかで5番目くらいに強いのよ。」
「ああ、そう。」
「むう、またそうやって……」
「黙れ、ガキ。」
「だからガキじゃないって!」
「そんなことより俺は早く帰りたいんだが……というかここは俺の夢か、お前が出て行け。」
「キー!だからこいつは……」
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「どうした、ガキ?」
「・・・す、すみませんでした。」
約一時間後、ネピュルはなぜか謝っていた。
「これから俺の質問に答えろ、そうすれば許してやる。」
「……く、こいつ……」
「なんか言ったか?」
「……な、なにも……」
「それとももう一度あれをしてほしいのか?」
「そ、それは!あれだけは!どうか、あれだけは!」
「なら、答えろ。」
「……わ、わかったわよ…………です。」
「まず一つ目、あんたが前俺にくれたスキル、
『思念体』についてだ……これはどういうスキルだ?」
「わ、私のように『死んでもなお魔法を使うことができるスキル』……です。」
「なるほど……わかった。二つ目、エルフ女が持っていた魔導書をお前は『四大魔術』……とか言っていたな。それはあの魔導書の名称か?」
「そ、そうよ……。あんた……あなたの本の名前が『基本魔術』であるように『四大魔術』も同じように名前が付けられているのよ……です。」
「『基本魔術』や『四大魔術』、種類によって魔導書の効力が違うということだな?たとえば『基本魔術』は他の魔導書の魔力の増幅させる……という効力を持っている。」
「……ええ、そうよ……です。」
「……わかった。もう普通にしゃべっていい。許してやろう。」
「ありがとうござ……ん?なんで私があんたに謝んなきゃいけないのよ!」
「ようやく気付いたか、ガキ。」
「キー!そんな同情した目で見るな!」
「さっきまでしょぼくれていた奴が何様だ?ガキ。」
「あ、あれは……脅されたから……」
「まあ、いいだろう。あんたをいじめたらすっきりした。
じゃあ、俺はもう寝るから。とっとと出て行ってくれ。」
「このドS!鬼畜!」
「……ZZZ……ぐう」
「もう寝てるし!」
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「駄目ね……起きないわ。……まったくなんて奴なの……こんな奴が『基本魔術』の所持者なんて絶対に認めない。……まあ、久しぶりに話すのは楽しかったけど……」
「……ZZZ……」
「まったく、起きてる時もこんな顔すればいいのに……」
「…………おやすみなさい。」
ネピュルはそう言って、令二の夢の中から出て行った……