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第三話 新たな魔法は地味にチート……かも

 2016/3/30 修正

「おっしゃー!《プロテクション》レベルアップ!」



「おめでとうございます、マスター。付加魔法エンチャント・マジック初級魔法クリアしました。」



 冒険者となってしばらく月日が経過し、令二は今新しい付加魔法エンチャント・マジックを覚えた。


 エンチャントとは付加を示す。


 つまりこの魔法は、物体の働きを強めたり弱めたり……何か特殊な能力を付加させたりなどをする魔法なのだ。


 ちなみにこの魔法は無属性の者でも使うことが出来るので、誰でも努力すれば仕える魔法の分類の一つなのだ。



「これで中級の付加魔法エンチャント・マジック文字入力インストール

可能になりました。実行しますか?」



「もちろんだ!……ちなみに中級魔法はどんなのだ?」



「……付加魔法エンチャント・マジック……中級魔法……検索……でました。

《プロテクト》Lv3により使える中級魔法は三つ存在します。《フォービドン》、《ディバインド》、《ガーディアン》です。」



 魔法にはそれぞれ初級、中級、上級と……高いレベル、習得する難しさに合わせて威力や効力が上がるような段階わけが存在する。


 初級魔法は呪文を唱えれば魔力を持つものならば誰でもMPを消費して発動できる。


 つまり初級魔法をマスターするために必要な条件とは呪文を覚える事だけなのだ。


 しかし、中級魔法となれば話が違う。


 中級以上の魔法には高い集中力とMP、身体の疲労や精神状態も影響してしまう。



「何かすごそーな魔法ばっかだな。《プロテクション》だけでも俺は強いと思うんだけど……よし、まずは全部の魔法の文字入力インストールを頼む。」



文字入力インストールします……」



 同じく魔法陣を書いて、魔法の修練に励む令二であった。






「なあ、この変な名前の魔法なんだ?昨日突然ステータスに表示されるようになったんだけど、漢字だし……」


 令二は本の表紙を開いて、そこに描かれているステータス画面を指さす。



 ――――――――――――



 レイジ・アマノ


 Lv 6


 HP 76/120

 MP 140/300


 EXP 251

 NEXT 191


 ATK 35

 DEF 19

 AGL 35

 DEX 23

 INT 30


 《魔法属性》 無


 《魔法》 虹色魔法レインボー・マジック Lv1(0/1)

      プロテクション Lv3

      フォービドン Lv1

      ディバインド Lv1

      ガーディアン Lv1


 《スキル》 格闘 Lv2

       剣術 Lv1

 

 《所持金》 7650G

 

 《装備品》 

 ・《武器》 ショートソード

 ・《上防具》 革の服

 ・《下防具》 革のズボン

 ・《装飾品》 力の指輪


 《ギルドランク》 E



 ――――――――――――



 ステータスの魔法欄まほうらんにはいつの間にか新しく、《虹色魔法レインボー・マジック》と書いてある。



「それはワタクシ、アークのレベルが2に上昇したためです。」



「アークのレベル?お前レベルなんてあったのか?」



「はい。魔導書レベルは持ち主の魔法のレベルに合わせてレベルが上昇します。持ち主によっては異なりますが、上昇時にステータスに補正がかかったりユニークスキルまたはユニークマジックを付与させる場合があります。」



「ユニーク・・・なんちゃら? えっと……俺の場合はどうなんだ?」



 令二は何やら聞きなれない単語に困り、質問する。



虹色魔法レインボー・マジックというのが、マスターのユニークマジックです。この魔法の効果は、魔法を七種類まで収納することができるというものです。アークのレベルが2に上昇したことで一種類の魔法を収納することが可能になりました。」



 説明を聞く限り、魔法を収納できる魔法らしい。


 要するに、魔法を保存して、保存した魔法を再び使うことが出来るのだろう。



「……収納?それって意味あるのか? そんな面倒なことをしなくても、保存なんてしないで、その場で普通に魔法を使えばいいんじゃ……」



「むろん消費するMPは変わりません。しかし、呪文を唱える必要がありません。

そして、敵の魔法も収納することが可能です。」



 敵の魔法を収納できる。


 令二はそのように聞いて、この魔法はかなり便利であると考えた。


 つまりは敵だろうが見方だろうが……魔法を保存して呪文もなしに使えるようになるというチートな魔法……という事だろう。



「……なるほど、地味にチートだな。収納するにはどうしたらいいんだ?」



「収納するには魔法発動時、または発動中に呪文の名称を唱えてください。同じ魔法が、収納可能ならば収納されます。なお、収納された魔法はMP100消費することで1つ解除することができます。一度解除された場合、再度収納しなければならないのでご注意ください。」



「……なるほど。敵が魔法を使わない限りはこの魔法も意味ないのか……解除するのにも手間がかかるなら尚更だな。今はあまり使わなくても大丈夫そうだ。」



 アークの言葉を理解した令二は、おもむろにその場で立ち上がって、今日の文のクエストを受けに行くのだった。






「クエスト完了です。クエスト完了数が一定以上を上回ったので、ギルドランクがDになります。」



「ああ、ありがとう。」



「あの……」



 受付嬢が、もどかしそうな雰囲気で言い寄ってきた。


 この受付嬢の名前はサリーナ。


 このギルドで働いている受付嬢の中では一番の美人さんらしく、看板娘だと言われているらしい。



「なんだ?」



「個人的な質問なんですが……ギルドに来る前にもどこかでこのような討伐関係の仕事をやっていたんですか?」



「……いや、まったく。やった仕事と言えば、あんたみたいに仕事で店の受付をやったぐらいだ。」



 令二は受付嬢に、元の世界でのバイトのことを答える。



「……そうですか。引き留めてごめんなさい。またいらしてください。」



 サリーナは当てが外れたのか少し残念そうだ。



「ああ、失礼する。」



 令二はぶっきらぼうにそう答えて、ギルドを出て行った。


 実はこのギルドでは、ひそかに令二のことが話題になっている。


 登録したての初心者が一か月もしないうちにFランクからEランクに上がるのはめったにないことらしい。


 黒目黒髪の青年が変な服を着てギルドにやってきてから一週間。


 さらにDランクに上がったことに、受付嬢になって五年のベテランであるサリーナはとても驚いているのだ。


(いったいあの人、何者なんだろう? 変にぶっきらぼうだけど礼儀正しいし。貴族の生まれかしら?)


 サリーナがそんなことを考えていることを令二は知る由もなかった。






「そろそろ俺、旅に出ようと思うんだ。」



 令二は行きつけの武器屋の店主にそんなことを言っていた。


 この店は、初心者にも安く良い品を提供してくれることで評判だ。


 最初のころは令二もかなりお世話になったことを覚えている。



「旅に? それでこんなに値段の高い剣を買うのかい?」



 武器屋の店主マールは、令二が今買おうとしている剣を見ながらそう質問する。



「ああ、刃こぼれをしにくい上等な剣が欲しい。」



「そうか。だったら鍛冶師にあたったほうがいいだろう。あんたは短い間とはいえうちのお得意さんだしね。それだけ金があるんなら、オーダーメイドで頼むといい。」



「ああ、そうか。ありがとう。」



「いいってことよ。この短期間に何度も刃こぼれ仕切った剣を見てればわかるよ。

下手な使い方をしてるわけじゃないのもすぐにわかる。ってことは、それだけ多くの魔物と戦っているんだろう?」



 武器屋の店主、マールお兄さんは武器に関してめが相当効く。


 昔は鍛冶屋さんをやっていたらしい。



「ああ、むやみに剣は傷つけないよ。手入れも入念にやってるつもりだ。」



 冒険者になってからというものの、令二は柄にもなく剣の手入れが習慣化していた。


 命を預ける物であるから冒険者にとってはかなり重要なことだ。


 それが習慣化しているという事は、令二も立派な冒険者と言えよう。



「そうかい、そうかい。旅に行くならこれまでのお礼に紹介するだけだ、礼はいらないよ。」



「ああ、ありがとう。」






「ラーズ武器屋の店主マールの紹介できた令二だ。こちらの金額でできるだけいい武器を作ってほしい。」



 そう言って令二は3500Gを鍛冶屋見せた。



「マールの紹介だから腕は立つんだろう……料金も足りている。これだけありゃあいいもんが作れらあ。だが、素材ももらわなきゃ俺は剣を作らねえ主義だ。そうだな……《大獅子の牙》がたりねえ。」



「……ああ、それならあるぞ。」



 そう言って令二は懐から、《大獅子の牙》を渡した。


 ちなみに、アイテム……つまりは道具だが、それにはそれぞれ名前が付けられている。


 ゲームでは森や洞窟で発見するアイテムには全て名前があるのが定番である。


 そしてこの異世界においてもそれが存在するらしく、普通ならば店などで売っている、とても値段が高い魔物辞典などを使わない限り判別は難しい。


 どのぐらい難しいかというと、キノコを毒キノコか食べられるキノコか、細かい違いまで分かっていないと見分けられないくらい難しい。


 だがしかし、アークの検索機能があれば話は違う。


 令二は、あらゆる本を店や図書館で立ち読みをして……それをこっそりとインストールしているのだ。


 というわけで、アークには今二十三冊分の辞書のデータをインプットしているのだ。


 そんなアークを所有している令二にとって、レアアイテムなのかそうでないかを見比べるのは簡単なのだ。



「なっ! この牙を持つ魔物は魔物ランクCの《シルバータイガー》だぞ!お前、前に噂で聞いたときは確か、Eランクの冒険者じゃなかったか!?」



 何やら鍛冶屋の店主は驚いている。


 聞く限りでは、これを落とす魔物はEランク冒険者では歯が立たないほど強いらしい。



「……なんだ、俺のことを知っているのか?」



 だが、令二はそんな事を気にもせず、店主にそう尋ねる。



「ああ。一応俺もこうして鍛冶屋をやっているが、冒険者登録をしていてな……この前、ギルドでお前さんの噂を聞いたんだ。黒髪のルーキーが入ってすぐ昇格したってな。」



「髪が黒い……この世界では珍しいのか……まあいい。初日は、変な服着ていたし、目立つのも仕方ないか。」



「ああ、そんでもって初心者がこの短え間にEランクに上がったってもんだから俺も驚いてな。今回お前さんの紹介を受けたのもそれが気になっててな。」



「……そうか。だがDランクにはさっき上がったぞ。」



 令二は鍛冶屋の店主に頓狂とんきょうな顔をしていった。



「なに! ……そ、そうか。お前さんすげえんだな……よし、素材もそろったことだし、明日には剣を作っとくから明日の昼にでも来てくれ。」



「……ああ、わかった。」



 こうして旅の準備を終えた令二は明日に向けて早めに眠ることにしたのだったが……






「アーク、あの材料……《大獅子の牙》ってどうしたんだっけ?」



「……洞窟内で拾ったと記録されております。」



「《シルバータイガー》なんて倒していなかったよな……」



「……はい。」



「……ラッキー。」



 少しだけ得をした気分の令二であった。



 ――――――――――――



 Lv 6


 HP 120/120

 MP 300/300


 EXP 251

 NEXT 191


 ATK 35

 DEF 19

 AGL 35

 DEX 23

 INT 30


 《魔法属性》 無


 《魔法》 虹色魔法レインボー・マジック Lv1(0/1)

      プロテクション Lv3

      フォービドン Lv1

      ディバインド Lv1

      ガーディアン Lv1


 《スキル》 格闘 Lv2

       剣術 Lv1

 《所持金》 8650G

 

 《装備品》 

 ・《武器》 ショートソード

 ・《上防具》 革の服

 ・《下防具》 革のズボン

 ・《装飾品》 力の指輪


 《ギルドランク》 D



 ――――――――――――

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