第十八話 「知らぬが仏」って言うけど、知っているほうがいいこともあるんだよ……
朝、令二は目を覚ました。
「……夢……なのか……?」
令二は昨晩の夢の中、金髪の幼女と何を話していたのかをすべて覚えている。
「さすがに夢じゃないか……いや、夢ではあるんだけど……」
令二はアークを見てそう言った。
「なあ、アーク。アークのステータスを見せてくれ。」
「かしこまりました、マスター。」
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《魔導書名称》 アーク
《所持者》 レイジ・アマノ
《魔導書Lv》 Lv3
《追加ステータス》 虹色魔法Lv2
念話 Lv1
思念体 Lv1
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「思念体?……なんだこの能力?」
令二は自分のステータスを確認した。
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レイジ・アマノ
Lv 19
HP 500/500
MP 850/850
EXP 4410
NEXT 890
ATK 121
DEF 66
AGL 130
DEX 77
INT 95
《魔法属性》 無
《魔法》 虹色魔法 Lv2(2/2)
プロテクション Lv3
フォービドン Lv2
ディバインド Lv2
ガーディアン Lv2
《スキル》 格闘 Lv3
剣術 Lv3
思念体 Lv1
《所持金》 4900G
《装備品》
・《武器》 エリューブ・ソード
・《上防具》 革の服
・《下防具》 革のズボン
・《装飾品》 力の指輪
《ギルドランク》 D
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「一応スキルに分類されるのか・・・幽体離脱とかじゃないよな・・・
あんまり使いたくないな・・・」
「《思念体》・・・検索・・・該当するスキルはありません。
ユニークスキルと考えられます。」
「アークがわからないなら俺にもわからないな。
昨日みたいに他人の夢に入れたりするかもしれないけど・・・
そんなつもりもないしな・・・」
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「おはようございます、レイジさん。」
「お……おはようでござる……」
ルナは昨日のことをまだ気にしているようで、モジモジしながら挨拶をした。
「・・・おはよう。大丈夫か、ルナ?」
「だ、だ、大丈夫でごじゃる・・・」
令二が顔を覗き込もうとするとルナが慌てて見事に舌をかんだ。
「・・・まあ、大丈夫ならいいんだが、無理するなよ?」
「・・・わ、わかったでござる。」
(うう、顔をあわせずらいでござる。レイの作戦は成功したけど、
こんなに恥ずかしいなんて・・・レイジ殿もレイジ殿でござる。
あんなことを言っておいて、なんで顔を近づけるでござるか・・・
・・・『かわいい』・・・うふふ)
恥ずかしがってるルナの隣でレイが温かい目で見守っていた。
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ルナの様子が落ち着いたところで、令二たちは朝食を宿でとっていたが……
「あの、レイジ殿、お伝えしたいことが……」
「ん、なんだ?」
「さきほどレイジ殿に挨拶する前にレイと昨日のギルドマスターについて話をしていたのでござるが……」
「ああ、確かになんでギルドマスターがこんなところにいるのか、気になるもんな。」
「昨日、ギルドマスターがとある依頼を受けるために来たと噂をしていたものがいたのでござる。」
「ある依頼?」
「《クラーケン討伐》でござる……特徴を聞く限り、今回里を襲った魔物だと思うのでござるが……」
「……まじか。」
「私も始めは里を襲った魔物がクラーケンとは思はなかったんですけど……姉上の話を聞く限り、そうかもしれないと……」
「いや…………間違いなくクラーケンだったよ、あの魔物は……アークが検索して教えてくれた。」
「どうしてその時すぐに教えてくれなかったんですか?」
「……あの時は焦っていてそれどころじゃなかったからな。
まあいいじゃないか、倒したんだし……」
「まあ……そうですね。でも、倒してしまった討伐の依頼を受けに来てしまったとは……ギルドマスターさんには同情します。」
「なんか、悪いことしちまったな……討伐部位さえあればクエスト報告できたけど、あいにく里に全部置いてっちまったからな……」
「まあ、仕方ないでござるな……」
「そういうことだ……さて、今日はこれを食べたら街を回ろう。」
「本当でござるか!」
「……まあ、息抜きもたまには必要ですからね……」
(レイ、めちゃくちゃ喜んでる……)
こうしてギルドマスターのリーベルは、二週間後、なにも知らずにクラーケンを討伐しに行くことになるのだが、それはまた別の話……