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第十六話 食事と睡眠をさまたげる奴は最低だ!

クエストを終えて、宿の予約を済ませた三人は宿で晩御飯を食べていた。


「おつかれ、ルナ。」


「いやいやこれしき大丈夫でござる、レイジ殿。」


「私は見ていただけですが少々疲れました。」


「もぐもぐ……まあ旅は今のところ順調だし……もぐもぐ……

一週間以上はここにいてもいいかもな……もぐもぐ……」


「それは賛成でござる!」


「二人とも、ちゃんと食べてからにしてくださいね、まったく……」


「きゃーーー!」

 突然、宿の外から悲鳴が響く。


「なにごとでござるか!」


「……むぐ」


 急いで食べ物を飲み込んだ令二はルナたちと一緒に外の様子をみた。

するとそこには先ほどのギルドの受付嬢が道端で男にからまれていた。


 ――――――――――――


「ば、おめえのせいで外野が来ちまっただろうが。おとなしくしやがれ!」

 どうやら男は彼女に突っかかったところ、彼女に悲鳴を上げられたそうだ。


(あれ?あの女の人・・・どこかで見たような・・・)


「やめんか、貴様ら!」


 男たちを囲む外野の外から鎧をつけた騎士とも思われる銀髪の髪の長い女性がどなった。


 そして彼女は外野を押しのけ、中心に入ってきた。


「私はギルドマスターのリーデルだ。貴様、この騒動はいったい何だ!」


「こ、これは違うんでさー、リーデルさん。

こいつが……俺がクエストを報告したのに報酬をくれねーんだ!」


(……ああ、そうだ。あの人、ギルドの受付にいた人だ。)

 令二はそのような状況でも冷静? に考えていた。


「……本当か?ローズ。」


「ええ、でもこの方が納品のうひんしたものが……」


「おめえ、俺がやったのは偽物だってのか!」

 男がローズという女性を殴ろうとした……しかし、


 ヒュッ!


 次の瞬間、リーデルは男の手をつかみ、抑え込んでいた。


「……同じことを二度いうつもりはない。」


「……は、はい……」

 押さえつけられた男はその後、ギルドの方に連れてかれて行ったのだった。


 ――――――――――――


「ギルドマスターはバクデース大陸のそれぞれの街に点在しているギルドを三人でまとめる管理役です。ギルドマスターはSランクの者が選抜され、その戦闘力は一国の軍隊に匹敵すると記録されています。」


「一国の軍隊って……それはさすがに言いすぎだろ……」


「マスター、Sランクの冒険者はAランク級の魔物を一人で討伐した履歴が数多く存在します。こちらを参照すると一国の軍隊との戦闘でSランクの冒険者が勝利する確率は……でました……57%です……」


「……あながちウソじゃないのが怖い……」


「ですがそれほどのお方がなぜこのような辺境にいらっしゃったのでしょう?

こういっては何ですが、商業が盛んだとはいえ、ここは島の最南端に近いのではないですか?」


「まあ、そこらへんは気になるけど……俺はそれよりあの男が結局、

偽物の納品をしたのが気にいらない。」


(何より食事中に騒ぎを起こさなくてもいいじゃねえか……

俺のやすらぎの食事タイムが……)


 ……と、なにやら怒るところや気にするところが変な令二であった。


「あれ?そういえばルナはどうしたんだ?」


「あ、あの、レイジ殿!」


 宿の部屋にルナが入ってきた。


「ん、なんだ?」


「・・・今日もお日柄がよく・・・」


「で、どうした?」

 一度聞いたようなギャグをスルーして令二はたずねる。


「……そ、その、さっき宿のとなりの店で服を買って着てみたのでござるが……似合ってるでござるか?」


「ん、どうした?別に忍者服からわざわざ着替える必要はなかったのに……

俺の言ったことは別に気にしなくてもいいのに……」


「い、いえ……そうではなく……」


「レイジさん、女の子が新しい服を着ていたら、似合ってるとか、

かわいいとか言ってあげるものなんですよ。本で読みました。」


 レイがルナを不憫ふびんに思ったようで令二にそう言った。


「なんなんだ、その本・・・まあ、似合ってるぞ?」


「ぎ、疑問形ではないでござるか!

……その、似合ってはないでござるか……」

 ルナが少し落ち込んだ様子だったので、令二はすかさず……


「いや、本当に似合ってるって! 美しい? じゃなくて……かわいいよ!」


「そ、そうでござるか! ……よかったでござる……」


(ふう、あともう少しで泣くところだったな。を褒めるのをためらっただけで泣くなんて女心おんなごころはよくわからん。)


 そう、令二が褒めていたのは服であった。決してルナではない。

こと一般常識やコミュニケーションを断絶していた令二の黒歴史の中にはファッションのデザインをしたこともあった。

 だから令二はファッションにはとてもうるさく、家の中でも着る服にはこだわりがあるのだ。


 しかし、ルナは自分が『似合ってる』、『かわいい』と褒められたと勘違いをしてしまったらしく顔を赤らめ自分が今日寝る予定のベッドにうずくまっていた。


「かわいい……かわいい……私は……」


「ルナの奴、なんかぶつぶつ言ってベッドにうずくまってるけど、大丈夫なのかな?」


「……あれだけストレートに言われたら誰だって恥ずかしがりますよ、はあ。」


 レイはあきれたようにため息をついた。


「えーと……何話してたんだっけ?」


「えっと……たしか、ギルドマスターについてでしたね。」


「まあ、俺たちには関係ないし、考えても……もしわかっても無駄だろ。」


「そうですね、はやく寝るとしましょう。姉上もあの調子ですし……」


 令二は二人の部屋から出て、自分の部屋でベッドにもぐった……


(そういえば、この世界に来てから10日しか経ってないんだよな……

いつも面白い体験ができて正直ワクワクしている自分がいる。

最初は魔術の研究をしたいと思った程度なんだけど…………)


 令二はそんなことを考えながら眠りについた……

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