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第十四話 忍者の服装が珍しいのは当たり前

 令二はルナとその妹のレイを連れて旅をしていた。

夜になり、野宿をしていると物陰でルナとレイが話していた……


「……姉上、その後のレイジさんとの進展は?」

レイがなにやらヒソヒソとルナに話しかけている。


「だから、レイジ殿はそういうのでは……どちらかというと主従の関係と言うでござるか……」


「……忍者が仕える主君としてはレイジさんは姉上に見合った方だと思います。

ですが、そんな物腰ものごしではいけません。……ヒソヒソ……」


「…………そ、それは!……ヒソヒソ……」


(なにやってるんだ?あいつらは……)


(マスター以外の思考を解析することはできません。ご了承ください。)


(いや、お前のせいではないんだが……)


「そうだ、今のうちにアイテムボックスについて

説明しないと……おーい、二人とも。」


「にゃ、にゃんでござりゅか!」


「はい、いかがしましたか?」

 変な声で返事をするルナと笑いながら答えるレイ。


「ああ、この道具について説明したいんだが……」


 令二はアイテムボックスに大量のものが入ることを説明して、

実際にアイテムボックスの中から食料をとりだした。


「す、すごいでござる……」


「これは……空間忍法のひとつですね……」


「ああ、空間魔法な・・・」


(前から気になってたが、魔法=(イコール)忍法なのか?

まあ、忍者っぽい感じは出るけど……)


「こんな風にたいていの荷物ならこの箱に入るから

余分な荷物があるならこの中に入れてくれ。」


「はい、わかりました。ですがそのような箱はおそらく珍しいのでは?」


「ああ、そうらしいんだが店の人が奮発して売ってくれたんだ。」


「こんな箱を持っているなんてさすがレイジ殿でござる。」


「それって、俺が褒められているのか?」


「もちろんでござる!あ、おかわりするでござるか?」


「ああ、ありがとう。」


令二がそう言うとルナはなぜか顔を少し赤らめて、おかわりをしてくれた。


「このシチューという料理は美味しいですね。どこかの街の特産物ですか?」

 レイが令二の作ったシチューに興味を持ったようで訪ねてきた。


「ああ、俺の故郷にあったもんだ。たいそうなものじゃないけどな。」


「レイジさんの故郷ですか、一体どのような場所なんです?」


「ああ、まあ。ここらでは珍しい服がたくさんあってな。

忍者の服とかはあるにはあるんだけど、誰も着てないな。」


「忍者の服ですか……他の隠れ里の物でしょうか……私たちはめったに外に出ないので忍者の服以外を着てことはないんですけど……」


「それはそっちの里の常識だ。他の街に行ったら、忍者の服とかは珍しいぞ。」


「そういうものでしょうか?」


「そういうものだ。」


「レイジ殿、おかわりでござる。」


「ああ、ありがとう。そうだ、ルナも憶えていたほうがいいな。

山から降りてまちに行くけどその恰好かっこうは目立つからな。」


「……了解したでござる。」


「いや、別に着替える必要はないんだが、里の常識をそのまま街のと同じにするのは危険だからな。悪いやつなんかは田舎者だと思ってだましたりしてくるし……」


「…………レイジ殿は子どもなのになんだか大人みたいでござる。」


「いや……だから17歳だから……」


「……若いですね。」

レイが驚いたように言った。


「お前もそんなに年取ってないだろ。口調は大人っぽいけど……」


「私は28ですよ。レイジさんより年上です。」


(28っつーと、こっちの世界の平均寿命が300前後だとして……

元の世界の平均寿命を当てはめると……)


(7、8歳です、マスター)


(おお、ありがとう。アーク。)


「年上だったのか……」


「そうなのです!」

レイは自慢げに言った。


「レイジ殿は……背は高いでござるが、顔がおさなく見えるのでござる。」


(俺そんなに童顔か?……友達いないからよくわかんないけど……)


「そうだ、もう一つお前らに話さなきゃいけないことがあるんだった……」


(アーク、お前の能力は『検索が可能な本』とだけ二人に説明してくれ。

それ以外の能力は言わなくていい……)


(かしこまりました、マスター。)


---------------------------


「で、今説明したのがこの本だ……アーク、しゃべっていいぞ。」


「はい、アークです。ルナ様、レイ様。」


「………………」


「………………」


 令二の説明を聞いている二人はずっと呆然としている。


(あれ?ここ、驚くところだよな?)


「……す、すごいとかそういうものではないでござる……何なのでござるかその本は……」


「……レイジさん、これ……秘伝の書ですか?」


「ん?まあ、よくわかんないけど多分そんなに大したものじゃないと思う。」


「……そうですか、話してくれてありがとうございます。

本来ならそんなに大事なこと、仲間になったばかりの私たちに話すのは

さすがに気が引けたでしょう……」


「いや、いいよ。仲間になったんだし、隠し事は極力控える。」


「あ、ありがとうございます。」


「レイジ殿はそこまで拙者らのことを……」


(なんだか、まだアークの能力を全部話しているわけじゃないからなんか罪悪感ざいあくかんが……)


 もともと令二はアークのことを他の者に話すつもりはなかった。

能力を隠すのに利点はあっても、話すことの利点はほとんどない。


 だが、ルナとレイと話していて、令二は隠しごとをしていることが少し嫌になってきた。一年以上友達のいなかった令二は二人とのやり取りに情が移ってしまったのだ。


「じゃあ、俺はもう寝るから、おやすみ。」


「あ、はい。おやすみなさい。」


「お休みでござる~。」


 ――――――――――――


令二が眠りについたのを二人は確認すると……


「姉上……レイジさんっていったい何者なんだろう?」


「何者とはなんでござるか?」


「だって、あんなにすごい道具とか……

里の件だって、レイジさんが活躍したのでしょう?」


「そうでござるよ。あの時のレイジ殿は……」


 ルナは何かを思い出しているようで、ボーっとしていた。


「……まあ、少なくとも

悪い人ではないようですし、すごい人なのはわかります。」


「レイジ殿はいい人でござるよ。今回も無償で里を守るのを手伝ってくださったり……」


「ごはんなんて、見返りに入らないですからね……確かにいい人です。」


「レイジ殿はレイジ殿でござる……何者でも関係ないでござる。」


「ふふ、そうですね。姉上がしたっている気持がわかります。」


したっているって、だからレイジ殿とは……」


「そんなに慌てちゃって。さっきの話の続きでも……」


「か、勘弁してしてほしいでござる~~~!」


(何話してるかはわからんが、うるさいな……)


 二人の会話で起きた令二はそんなことを思っていた。

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