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第十二話 旅立ちにはお供が付く

ピヨピヨ


小鳥のさえずる声が鳴り、令二は目が覚めた。


「うーん、よく寝た。」


「おはようございます、レイジさん。」


 令二が起きるとレイが挨拶をしに来た。


「……おはよう……」


「レイジさんったら、私にはいつも冷たい。

姉上にはあんなに親しそうに接していらっしゃるのに……」


「いや、別に冷たいわけじゃないが……」


(レイは……何考えているかわからないというか……)


「まあ、構いません。別れの日くらいちゃんと話したかったのですけど……」


(あれ?ひょっとしてレイってピュアなのか?)

 残念そうな顔をする例を見て令二は一瞬、そう思った。


「すまん、なんというか、レイとどう接すればいいかわかんなくてな……」


「姉さまの時と一緒でいいんですよ。」


「あっ、レイジ殿そろそろ出発する時間にござる。」


 ルナが入って来た。

ルナはケブラとの口論によって結局、令二のもとについていくことになった。

根負けしたときのケブラの顔はこの世の終わりのような顔をしていた。


(哀れ、ケブラ。なんだかんだ言ってルナのことが心配なんだな……)


「よし、いくか。あまり長くいると別れを惜しむからな。

ルナの方はもう別れの挨拶はすんだのか?」


「はいでござる。今ちょうど里の皆には挨拶し終えたでござる。」


「よし、行くか。レイもまたな。旅の区切りが付いたらまた戻るよ……」


「……はい」


 その時のレイの顔は少しさびしそうに見えた。


 ――――――――――――


 こうして二人は里の出口あたりに来たわけだが……


「おい、小僧、この俺に挨拶もなしか。」

 出口の前にケブラが立っていた。


「なんだあんたか。昨日の様子じゃ、話しかけづらかったからな。

でも、なんで出ていくことがわかったんだ?わざわざ先回りをして……」


「ふん、小僧の驚いた顔を拝みに来ただけだ。」


「……父上」


「……なんだ、ルナ?」


「……今までどうもありがとうでござる。」


「ばっ、忍者がそう簡単に頭を下げるんじゃねえ!」


(……ルナは俺に土下座してたけどな……ケブラ、あんたもだけど……)


「……もう行くのか?」


「ああ、行ってくる。そんなに遠くないうちに帰ってくるからルナのことは心配なんかするな。」


「……わかった、達者でな。小僧ならいつでも歓迎する。」


 ケブラとの別れも終えて令二とルナはそのまま旅に出た。


と思ったのも、つかの間……


(……マスター、後方から何者かが接近中。尾行かと思われます。)


アークの声がした。


「ん、アークか?」


(はい、マスター。声にする必要はありません。アークがマスターの思考を解析します。アークの魔導書レベルが3になったことで、ユニークスキル《念話》が可能になりました。)


(そういえば虹色魔法レインボー・マジックの二つ目が解放されてたな。

レベルが3になった証拠か……)


(はい。さらに念話が可能になったことでアークの魔導書ステータスの表示が解放されました。ご覧ください。)


 ――――――――――――


《魔導書名称》 アーク


《所持者》 レイジ・アマノ


《魔導書Lv》 Lv3


《追加ステータス》 虹色魔法レインボー・マジックLv2

          念話 Lv1


 ――――――――――――


(……これはありがたい。で? 尾行されているのは本当か?)


(はい、人間が一体、尾行を続けています。)


(また尾行されてんのか……俺って『被ストーカー』の体質でもあるのかな?)


「いかがされたでござるか、レイジ殿?」

 途中で止まり、顔を変えている令二のことが気になったようで、

ルナが話しかけてきた。


「ん、ああ。どうやら何者かにつけられているみたいだ。」


「なんと!それは・・・むぐぐ・・・」

 令二は大声を上げようとしていたルナの口を抑えた。


「あんまり大きい声を出すと気付かれたと思って、

尾行している奴が逃げちまうだろ。」


「……そうでござった。拙者も立派なくノ一にはまだまだ道のりが遠いでござる……」


「わかったから……とりあえず……」


「尾行している人の様子をみよう……ですか?」


「そうそう……うん?」

 誰かが令二に声をかけてきた。


 二人の後ろに立っていたのはレイだった。


「またおはようございます、レイジさん。」


 ――――――――――――


「なにか今朝の様子がおかしいと思ったらこういうことか……」


「あら、私はついていかないと言った覚えはありませんよ。

それに、父上の承諾を得て、二人についていくようにと言われました。」


(……ケブラ、あんたが原因か……)


「というか、レイがいなくなったらあいつ飯作れねえだろ……」


「レイジ殿、父上ならレイほどではないでござるが、ご飯ぐらいなら作れるでござる。」


「あいつがねえ……?」


「それで、レイジさん、私は連れて行ってもらえるのでしょうか?」


(だが断る!……ってわけにもいかねーよな。でも、レイには少し危険な旅かもしれないし……忍者といってもまだ子供だし……だが、父親のあいつもレイのことを考えて、俺たちについてこさせたのか……)


「わかった……ただし、しばらくは戦闘には参加しない、いいな。」


「はい、そのつもりです。」


 こうして令二たちは再び旅へ出発して、

山の北に見える街|《ト-バー》に向かったのだった。

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