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第百十三話 城と言えば王様……王様と言えば褒美……褒美と言えばなんだろう?

「其方がレイジ殿か。リーデルからは聞いておる。」


「は、はあ……」


 令二は今、城の謁見の間で翡翠の王ことジークと面会している。

 聖騎士バラガンにかつがれながら馬車に乗せられ、今に至るのだ。


 しかし、なぜ城に招待させられたのかは令二はわかっていない。


 ドラカーに乗せていた五人は置き去りにしたまま……令二のことをさぞ心配しているだろう。


「あの、俺はなぜこんなところに呼ばれされたんでしょうか?」


 沈黙のままでは話は進まないので、令二は慣れない敬語で王様相手に質問してみた。


「ふむ。私も無理やり呼び出すつもりはなかったのだが、バラガンが勝手に連れてきてしまってな。できれば連れて来いと言ったつもりだったのだが……」


「どうやら不覚にも陛下のお言葉を聞き間違えてしまったようです。」


「……お前は命令通りにやりすぎてしまうことがあるからな、忘れていたよ。」


「……そ、そうですか。」


 どうやらバラガンの気分で連れて来られたらしい。

それを知り、令二は少しため息をつく。


「案ずるな。取って食いはしない。其方のお連れの者も控室で待たせてある。」


「それはよかった……ご用件は何ですか?」


「ああ、そうだったな。実は、レイジ殿には褒美を与えなければと思ってな。此度の戦では魔人の対象共を退治してくれたそうではないか……もちろんお連れの者にも褒美をやろう。」


「……褒美ですか。具体的には?」


 RPGではよくある、王様からの褒美だ。

貰えるものがなんにせよ、聞いておくに越したことはない。


「一国の領地とそれに値する金に決まっておるだろう。」


「……えっと……今なんと?」


「領地と金だ。何か不満はあるか?」


 予想していたよりもはるかに大きな報酬のために令二はビビってしまう。


 目の前の王様が何を考えてそんな事を言っているかはわかるが、

令二はそのような美味い話には裏があると考えた。


 目の前にいるのは別段太っていたり、髭が生えているようなおっさんではない若者の王様。


 とはいえ、一国を治めるのだからそれなりの器量と言う者があるだろう。


 街に侵入されたり、被害が少なかったとはいえ復興しなければならないこの時期にこんな報酬はありえない……となると裏があるに決まっている。


「……すいません。大変恐縮なことですが、そのご提案はお断りさせていただけないでしょうか?」


「ほう、なぜだ? 金は要らんのか。」


「えっと、いらないわけではないんですけど……領地とかお金を貰っても使い余してしまいそうなんで、それくらいなら街の修繕費とかに使ってください。今日だって、お祭りの利益がなくなったわけですし色々と埋め合わせしなくてはならないですよね?」


「……ほう。」


「……ふむ。」


 王宮の間にいる王様とバラガンがなんだか納得しているようだ。


 先ほどから無言のままバラガンの隣にいる女騎士のソニーもこちらを見つめている。


「聞いていた通りだな。頭の回転が速く、金に対する欲もあまりなさそうだ。私の褒美を断る男など初めてだ。」


「ああ、気分を損ねたならすみません。」


「……よい。その返事を聞いて安心した。これでこの話を言い出せる。」


「話……ですか?」


「其方に依頼を頼みたいのだが……」


 令二はジークの話を聞くのであった。

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