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第百十二話 後始末は戦争であっても大変

「……何でしょう、さっきの音……」


「わ、わからないでござる。」


「私はわかりたくもないわ。」


 ドラカーに乗って北の防壁地点へ向かっている令二たちは、

北の戦場の方角から来る鋭い音とその眩しい光に驚いていた。


「ここまで衝撃波が来るなんて……私の最大の魔法でも無理だと思うわ。」


「……あれだけのエネルギーだ。戦場一帯が焼け野原になっていてもおかしくないな。急ぐぞ!」


 令二は魔力を込めると、名一杯の速度で進むのであった。


 ――――――――――――


「バカな! 余のドラゴンが……一撃だと……ボクの……」


 魔王ルトはその場でたたずんでいる。

目の前の現実に頭が追い付けていない。


「貴様らの負けだ、魔王。」


 リーデル……彼女はその場で倒れ伏したドラゴンの上で、ルトを見下ろしていた。


「じきに先ほど撤退した兵士らがここに攻めて来る。残党の魔人どもでは歯が立つまい。」


「く、そ……ボクが……負ける……なんて……」


 魔王はその場で倒れる。


 おそらく先ほどのリーデルの一撃を全魔力に等しいほどの魔力で自分を守ったためであろう。


 魔力が尽きればおのずと体力も尽き果てて倒れる。


 魔王とてそれは同じだ。

闘いに疲れ果てた昏睡状態に入ったのだ。


 そんな魔王の姿を見ると、彼女は彼の目の前まで歩み寄る。


「こんな少年が魔王を名乗るとはな……先代の魔王の足元にも及びはしなかったが、良く戦ったものだ。一人の人としてこの私は其方に敬意を証そう。」


 リーデルはその一言を口にするとその場から去った。




 戦争は終わった。


 ドラゴンというイレギュラーがありながらも、それは今消えた。


 ついに王国軍が魔王軍に勝利したのだ。


「勝利はわが手に有り! 正義は我らに有り!!」


 兵士らは勝利に酔いしれるように喜ぶ。


 ドラゴンが倒された後、魔人たちは兵士たちによってとらえられた。


 その中には魔力を使い果たした若き魔王の姿もあった。


「何!! リーデルがいないだと!」


「は、はい。いまだ捜索そうさくをしておりますが行方がわからず……」


 兵士がバラガンに報告をしている。


「……まあいい。そのことはワシが陛下へ報告して考える。死傷者は?」


「……千二百です。」


「そうか……だが、これほどの戦争で犠牲者がそれほどまで抑えられたのは幸運だったと言えるだろう。ギルドからの応援もあったそうだな。報酬は予定だったものに上乗せしてやれ。」


「かしこまりました。」


 兵士は了解すると他の仕事へと戻って行った。


「……まさかとは思うが、奴のことだ。きっと生きているに違いない。ソニー!」


「お呼びでしょうか?」


「そちらのけが人の手当てを終えたら、至急ワシと共に城へ来い。」


「……了解しました。」


 ――――――――――――


「……どうやらもう終わってるみたいだな。」


 現地に到着した令二たちは、ドラカーをアイテムボックスに収納して門を出る。


「待て、部外者の者は立ち入り禁止だ……ん、冒険者の者か?」


「ああ、これがギルドカードだ。」


 ギルドカードを通行証代わりに見せる。


「……もう終わったみたいだな。魔王も前線に出てくる思っていたんだが……」


「魔王は捉えた。今バラガン聖騎士殿がけが人の手当てや搬送など指示を与えてくださっている。」


「そうか、それじゃあ冒険者としての手伝いもこれまでか。リーデルという奴を知らないか? 同じ冒険者なんだけどこの街で別れてから会えていない。」


「……ああ、それなんだが……隊長はだな……」


「なんだ知ってるのか。教えろ。」


「……それが……」


「なんだ貴様は……」


 兵士が令二の質問に答えようとしている時、

兵士の後ろから大きな甲冑を着ている大男がいた。


「これはバラガン様! 通行のお邪魔をしてしまい申し訳ありません。」


「よい、それよりこいつは?」


「はい。ギルドへ所属している冒険者です。」


「ほう、こんな奴がな。どう見てもひよっこだが……まあいい。名は何という?」


「……レイジ・アマノだ。あんたは?」


「バラガンだ。……ん? 今貴様、レイジ・アマノと言ったか?」


「ああ。そう言ったが、どうした?」


 バラガンは何やら令二をじっと見つめると、突然笑い出した。


「ガッハッハ! なるほどな……お前のことだったか。来い。ソニーと共に城へ案内してやる。」


「ちょっ、なにを……俺はリーデルに……」


「城へ来ればその件についても話してやる。だからついて来い。」


 そう言われて令二はそのままバラガンに付いて行くのだった。

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