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第百十話 ドラゴンと言えばファンタジーの定番。

 北の城壁での戦いも終わりが近づいて来ていた。


「リーデル隊長の勝利だ!」


「一気に攻め落とせ―!」


 リーデルは結晶の壁の外に出ていた。


 兵士たちの士気が上がっている一方で

リーデルは剣を懐に収め、敵であったであろう魔人の死体を見ていた。


「……殺してしまったか。魔人とはいえ、私はこの力で殺したくはなかったのだがな。」


 目を瞑り、少しの間祈りをささげると彼女はそのまま戦場へと戻って行く。


「皆の者、残る敵は魔王の隊だけだ! 全軍かかれ!」


「「おおおおおおおお!」」


 怒号と共に、兵らは魔人たちに襲い掛かる。

次々に魔王を守ろうと戦っている魔物や魔人たちを押し返し、なぎ倒していく。



 これでようやく戦争も終わる。



 誰もがそう思いながら戦い続けていた。


 しかし魔王軍がすんでのところで全滅する瞬間、恐ろしいほどの魔力が戦場一帯を支配した。


 ――――――――――――


「な、なんだ!? 何が起こった!」


「うわーーーー!!」


「たすけてくれーーー!」


 先頭に立って特攻していった兵士たちが恐怖の限り声を出す。


 それを聞いて後方に控えている兵だけでなく、弓兵にも動揺が走った。


「いったいどうしたと言うのだ!」


 聖騎士バラガンが前方を見て戦況を確認する。


「ド、ドラゴンだ――――!」


「何! ドラゴン……!」


 バラガンは前方を見上げる。

するとそこには確かに、城壁を軽々と上回る大きさの岩を纏ったドラゴンがいた。


「岩のドラゴンだと……」


 バラガンが驚くのも無理はない。

なぜならドラゴンとは竜人族の亜種の姿であり、竜人大陸でしか生存できない生物だからだ。


 さらに、このドラゴンは岩を纏っている。ドラゴンのほとんどが無属性であるのに対し、このドラゴンは四大属性の土の魔力まで帯びているのだ。


「ソニー! 直ちに防御結界をドラゴンの前に展開しろ!」


「了解しました……」


 ソニーは防壁に張った結界よりもさらに大きなものをドラゴンの前に発動した。


「よし! 生きている者はけが人を救出して後退しろ! 一度体制を組みなおす!」


 兵士はその声を聴き、すぐさま撤退する。


「グオオオオオオオ!」


 兵士たちはドラゴンへ振り向きもせず撤退していく。


 ドラゴンは結界によってそれ以上進めないと思っているからだ。


「早くしろ! すぐに結界が破られるぞ!」


 バラガンの言葉に兵士たちは絶望した顔で後ろを振り向く。


「グオオオオオオオオオオ!」


 そこには今か今かと結界を破壊しようとするドラゴンがいた。

そして結界には少しずつ亀裂が生じている。


「ソニー様の結界が……て、撤退だ! 今すぐ撤退しろ!」


 ある一人の兵士がそう叫び、我に返った逃げ遅れた者たちまで撤退していく。


「ソニー! 防壁の方を解いて二重に結界を展開しろ! このままでは多くの犠牲者がでる!」


「……了解……」


 ソニーは顔色を変えずに防壁へ展開していた結界を解いて、すでに破壊されかかっている結界を二重に展開することで修復した。


「これで……少しは時間が。」


「バ、バラガン様! リーデル隊長が単独で結界から出ました!」


「な、なに!」


 すべての兵を撤退させたと思っていたバラガンだが、ドラゴンの前に立ちはだかる小さな影を確認して言葉を無くした。


「リーデル! 貴様何をしている!」


 バラガンは大声で彼女を呼ぶ。だが、到底聞こえる距離ではなかった。


「……リーデル、貴様は一体何を考えているのだ……」


 バラガンは考える。

今のこの状況で人間一人に何ができることはあるのか……胃やなにもありはしないだろう。


 たとえギルドマスターの一人であるリーデルであろうともSランクの魔物に匹敵、あるいはそれ以上の生物……それがドラゴンだ。


 太古の伝説の生物に人間一人がどうこうできるわけがない。


 しかし、次の瞬間。

またしても驚くべき……いや今度は何が起きた事すら理解できない事が起きたのだった。



 キイイイイイン!



「な、なんだ眩しい! なんだこの光は!!」


 突然として結界の外から目を開いていれないほどのまばゆい光とともに鋭い音が鳴り響いた。

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