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第九十七話 迎え撃て~~~!

 《聖杯祭》……それは王国中心都市、《ブリュッセ》で年に一回行われる祝祭である……

表向きは王国の建国記念の象徴として行われるこの行事だが、どちらかというと、貴族の高額の競り合いが主に行われている……


 貴族が高値で商品を買った場合、それがその貴族の名を上げることにつながる……つまり、貴族たちの社交場でもあるのだ。広間で行われる競り合いには、参加するだけでも多大な費用が掛かるらしいので、見学するだけでも一般人には難しいらしい。


 しかし、そんな祭りの裏で、怪しい影が迫っているのであった。


「……来るようだな……」


 王国城の東の塔……そこで目の前の水晶を見て、何やらひとりごとをする老人がいた。


「誰か兵士はおらんか!」


 ――――――――――――


「……何やら雲行きが怪しくなってきたでござるな……」


 街を歩いている途中、ルナがそんなことを口にする。


「……姉上? 何かありましたか?」


 レイがその後ろをテコテコとついてくる。


「……いや、何でもないでござる。」


 ルナはうつむくと振り返り、そのまま街の中を歩いて行った。


 ――――――――――――


「……ご主人様ー、絵本読んでー」


「……まあ……いいか……朝食までだぞ。」


「あ、レイジ様のお話、大好きです! 私も聞かせてください!」


 テートが令二とチユの部屋に入ってくる。

あの後、結局チユが令二と同じ部屋で寝ることになったのだ。


「リーデルはまだ寝ているのか?」


 令二が彼女のことが気になって質問する。


「あ、はい……何やら用事があると……朝早く出かけてしまって……」


「…………そうか……本を読むぞ。昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました……」


 そしてそれから数時間後、誰が予想していただろうか……この街が……戦場となることを……


 ――――――――――――


 数時間後……それは始まった……


「ギヤアアアアーーーー!!」


 バサッバサッ……



「……こ、国王! 出ました。ま、魔人です!」


「……あの占い師の言っていたことは本当であったか……すぐにギルド連盟に報告し、新たな軍を配備しろ! 警備の者は城の護衛とたみの非難に努めよ、急げ!」


 王国城……謁見の間で叫んでいるのは国王、ジーク……人間王である。歴代国王の中でも最高峰の知略家と称されるほどの人物で、カリスマ性が非常に高い。現在の平和国家は彼が生み出したといっても過言ではない。そして彼はその澄んだ瞳、美しい長髪から、《翡翠の王》と呼ばれている。


「《聖杯祭》に来る貴族はどうなっている?」


「……は、ただいまこの都市に馬車で移動中とのこと……」


「すぐに護衛をつけ、安全なところに避難させるのだ!」


「は、はい!」


「国王様、報告です! 南東だけではなく北西方向より大量の魔人部隊が接近中です! 都市の防壁が持ちこたえられません!」


「国王様! ……」


 城内は完全に混乱状態に陥っている。突如とした魔人の襲撃に騎士たちが対応しきれていないのだ。国王のジークとごく一部の聖騎士を除いては……


(……どうなっている……この国に何が起ころうとしているのだ……)


 ジークは騎士たちの報告に対応しながらそんなことを考えているのだった。しかし、これはまだ、悲劇の幕開けでしかなかった……

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