『自殺』という言葉
この物書きの戯言が、なにかしらの意味を持てる事を願います。
じさつ【自殺】
自分で自分の生命を絶つこと。[類]自害[対]他殺
これは私の手に取った、どこにでもある辞書で
「自殺」と引いた時、出てきた一文である。
じがい【自害】
自分で自分の身を傷つけて命を絶つこと。[類]自殺
これは自殺の類義語を同じ辞書で引いた時の一文。
たさつ【他殺】
他人に殺されること。[対]自殺
これは自殺の対義語を同じ辞書で引いて出てきた一文。
この三つの言葉を見比べて私が思ったこと。
『他』人に『殺』されること……それが『他殺』
『自』分で自分の身を傷つけて(傷つける=『害』する)命を絶つこと……それが『自害』
この二つは、言葉が成り立っていると私は思う。
『自』分で自分の生命を絶つこと……それが自…殺?
そこに、他殺の時のような『殺』の文字はない。
例え『生命を絶つ』の部分が『殺す』になったとしても、それは違う意味になる。
『自』分で自分を『殺』すこと……それが『自殺』
この一文から、私は『肉体的』でなく『精神的』に自分を殺すことを感じた。
悲しみや苦しみに虐げられても
辛い現実絶望の未来に打ち拉がれても
理不尽なイジメや踏み外した人生……逃げられない世界の矛盾に自らを殺して生きる。
その行為は自分の精神的な生命を削り続け、その生命を削り尽くした時、肉体が精神に追いつくために死を求める。
自殺した原因は、実際に死んだ人にしか分かりません。
それは自業自得な理由かも知れません。
それは理不尽で悲痛な理由かも知れません。
……けれど、その人たちは戦い尽くしたのです。
決して逃げたなんて言わないでください。
決して弱い人なんて思わないでください。
不器用で、上手い逃げ方を知らない人達なんです。
真っ直ぐ戦う生き方しか出来ない人達なんです。
その戦いを一人で背負ってしまう人なんです。
先を見ず、周りも見ず……人より早い速さで人生をたった一人で駆け抜けて行っただけなんです。
そして、彼等は私達に教えてくれます。
『器用に生きろ』
『少しは人に頼ってもいい』
『現実的すぎる|足元(今)を見すぎてないか?』
『少しは夢見て|先(未来)を見てみろ』
『暗い|先(未来)ばっかり見てるだろ?』
『お前は|此処(今)を生きてるんだぞ』
……そして、今も戦い続ける人たち。
真っ直ぐな生き方で、生命を削りすぎた人たち。
私はその人たち一人一人の辛さや苦しさを知ることが出来ません。
だけど、一つだけ言えることがあります。
その人は弱者じゃない…すべての人間が弱者なのだと
そして、一つだけ伝えたい。
そんな弱い人間だからこそ、しっかり生きてほしいと……