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砂の粒の数だけ罪があるなら  作者: 浜宮七咲
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依頼

新忘年会や合コンではないのだから、一つの事案の終結への祝儀は、そう長くはない。


一時間と少しくらい、誰が活躍しただのから事案に全く無関係な世間話まで皆がホロ酔い状態で語っている中、胡林警部に呼び出されている僕は、宴を抜け出し応接室へ向かった。


ドアをノックしようとした、まさにその時、室内から少し荒らげた口調で胡林警部の声が聞こえた。


「ちょっと待って下さい!そこまで話すんですか?相手が相手なんです、慎重に進めませんか?」


「まあ、落ち着け。それでも真髄には全く触れていないだろう。必要あっての伝達なんだよ、彼には。」


一文のみの会話の内容も去る事ながら、その話し相手にも僕は少々、驚かされた。刑事部長の麻田だった。偶然、同性なのではない。つまり早い話、麻田刑事部長は僕の父親だ。


一応、加えておくと僕は親の七光りで此処に居るのではない。ある信念を持ち、きちんと国家試験を受け自分の意志で此処に居る。


麻田刑事部長と胡林警部は傍から見れば、さほど仲の良い風には見えない。けれど僕には“二人にしか分からない"何かがそこに或る気がする。漠然とだから、それが何なのかまでは分からないけれど。


「分かりました。でも、これは俺の考えじゃなく部長の意見だって事は外さないで下さいよ。俺は、まだ早いと思ってるんで。」


「分かってるよ。じゃ、よろしく頼む。」


真剣そのものの胡林警部の声に似つかわない、多少、棒読みな刑事部長の返事を聞いて少ししてから、僕は静かにドアをノックした。


そこには胡林警部の姿しかなかった。麻田刑事部長は、上層部は繋がる通路から部屋を出たと察していたので不思議ではなかった。


珍しく笑顔(に見える表情)で、胡林警部は居た。決して本格的な笑顔ではなく、むしろひきつってる感じだけれど。


「ああ、麻田。呼び出して悪かったな。疲れてるだろうし手短に話すよ。」


普段、滅多にない労いの言葉を使う事や、ひきつった笑顔から、僕は単純な話ではない事は何となく気付いていた。


「麻田、お前が此処に配属される前に、ちょっとした厄介な事件があってね。」


いきなり本題か……と思いながら僕は黙って頷いた。


「うん……まあ、要は、その件は未だ未解決なんだよ。しかし行き詰まっている。そして、もしかしたら麻田、お前になら行き詰まったその件を解く鍵を探せるかもしれない。」


半分は分かった。けれど後半の言葉は全く意味が分からなかった。


「今回、解決した“と思われる"スリの事案。これに、その件が関わっているんだ。そこで上と話した結果、お前に、その未解決の事案で動いてもらいたい。」


「は!?僕ですか?何の内容も分からず、しかも僕が配属される前の件なのに……!」


「隣の区に古びた骨董品屋がある。そこに一人の女店主が居る。彼女についての容姿を含めた詳細は紙面にまとめて渡す。彼女の名前は……」


僕の言葉を遮り、胡林警部は半ば強引に話を続ける。


「彼女の名前は“兎"だ。」


「うさぎ?……ですか?」


「本名かどうか、まあ、全てにおいての捜査を任せるから頼んだよ。今日の所はここまでだ。ご苦労。」


そう言って胡林警部は部屋を出て行った。残された僕の頭の中には、こぼれた砂みたいに沢山の細かなものが散らばっていた。



多分、誤字脱字あります。多目に見て頂くと助かります。

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