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砂の粒の数だけ罪があるなら  作者: 浜宮七咲
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祝杯

「という訳で今回は君達の努力により無事、容疑者検挙に至った。」


ハキハキと、そして嬉しそうな“声"で話すのは胡林警部だ。管轄内での連続スリ犯を傷害に至る事なく逮捕した。


胡林警部は、あまり表情に喜怒哀楽を出さない。常に冷静な訳ではない。常時、冷静でいられる仕事でも勿論ない。ただ彼は顔にさえ出さないものの“声"に、わかり易く喜怒哀楽を表する。


今回のチーム全員が先程の胡林警部の一言で歓喜にわいていた。それというのも、このスリ犯は単なるスリを行うだけでなく年配や女性といった弱者を標的にしていたからだ。いつ傷害事件に切り替わってもおかしくなかった。


僕も例外ではなく笑顔で祝杯に参加していた。そんな僕の方をおもむろに向き、胡林警部は言った。


「おい、麻田。」


あまりに不意だったので僕は一瞬きょとんとしたようだ。


「なんだ、その顔は。別に俺は毎回お前を注意する訳じゃない。こんな場面でまでダメ出しはしないよ。」


「こんな場面じゃなきゃダメ出しがあるんですね……。」


「いいから。後で少し話がある。そんなに時間はかけないから応接室に来てくれないか?この宴を楽しんでからでいい。」


「はい。」


と僕はシンプルな返答をしたが内心は穏やかてわはなかった。刑事になり、この部所に配属されて3年弱。恥ずかしい話だが僕は、胡林警部に注意喚起を受けない日は、ほぼなかった。


些細な事から大きなミスに繋がる事まで内容は様々だ。けれど、その言葉のおかげで僕は一応、亀の歩み程度だけれど成長している。


今回もまた、何だかんだ注意を受けるんだろうな……そう思いながら、取りあえずは祝杯をあげる事を楽しんでいた。


知らなかった。


いや、知るも何も予期できるはずもなかった。今回の“呼び出し"が、後に繋がる大き過ぎる出来事の序章だって事なんか。


誤字脱字等、お許し下さい。

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