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主人公はいつになっても冒険者ランクを上げない  作者: Patriot
青年期:十四〜二十歳

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35/96

相談する相手間違ってね?


後日。


王都の地下深く。


魔力導管の整備も昼休憩に入り、職人たちは地下道が交差する少し開けた場所へ集まっていた。


工具箱を椅子代わりに腰を下ろす者。


壁へ背中を預ける者。


皆それぞれ弁当を広げ、昼食を取っている。


ヒロも職人たちに混ざり、静かにパンを頬張っていた。


しばらく穏やかな時間が流れた後、ヒロは手を止め、真剣な表情で親方を見つめた。


「親方。」


「相談があります。」


その一言で、その場の空気が変わる。


親方も手を止め、職人たちも一斉にヒロを見る。


「……なんだ。」


「ついに職人へ転職する気になったか?」


「いやいや、新しい技術でも思いついたんじゃねぇか?」


「地下で何か異常でも見つけたのか?」


次々と予想が飛び交う。


ヒロは首を横に振った。


「違います。」


一同は顔を見合わせる。


それなら何だ。


地下には一瞬だけ静寂が流れた。


ヒロは真面目な顔のまま口を開く。


「女の子って、何をプレゼントしたら喜ぶんでしょうか?」


……。


地下道から音が消えた。


親方は固まる。


職人たちも口を半開きにしたまま動かない。


数秒後。


「ぶはっ!」


「はははははっ!」


「お、お前、そんな顔して相談することかよ!」


「心臓止まるかと思ったぞ!」


「地下が崩れたのかと思ったじゃねぇか!」


地下道は腹を抱えて笑う職人たちの笑い声でいっぱいになった。


親方は額を押さえ、大きくため息をつく。


「……お前なぁ。」


そう言いながらも、その口元には自然と笑みが浮かんでいた。


すると、一人の職人が笑いながら親方を指差した。


「でもよ、親方に聞いてもロクな答え返ってこねぇぞ!」


「そうそう!」


「どうせ酒だ!」


「いや、槌だろ!」


「手拭いもありだな!」


「毎日使うもんだから喜ぶぞ!」


「女の子に槌なんか贈るか!」


「親方なら絶対贈る!」


「間違いねぇ!」


再び地下道は大きな笑い声に包まれた。


親方は顔をしかめながら職人たちを睨む。


「てめぇら……。」


「俺を何だと思ってやがる。」


職人たちは顔を見合わせると、声を揃えた。


「鍛冶馬鹿!」


地下道にまた笑い声が響き渡る。


親方はしばらく黙っていたが、小さく鼻で笑った。


「……否定はできねぇな。」


その一言に、笑い声はさらに大きくなった。


ヒロも思わず吹き出し、地下道には昼休憩らしい穏やかな時間が流れていた。

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