表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
many merry bad ENDs  作者: 源泉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/64

24話-1(分岐バッドエンド)

※この先は分岐となります。

物語の本筋を追う場合は、25話へ。




昼前頃。

馬車は、順調に街道を進んでいた。

日差しは穏やかで、道も乾いている。

このままなら、夕方になる前には次の街に着ける。


三人は、そう思っていた。

異変が起きたのは、唐突だった。


馬車の車輪から、鈍い音がした。


続いて、揺れが不自然になる。

ルカがすぐに手綱を引き、馬車を止める。

確認すると、車輪の軸に歪みが出ていた。



「……参ったな」



致命的ではない。

だが、このまま進めば確実に壊れる。

修理はできる。


しかし――思ったより、時間がかかった。


工具を使い、仮留めを繰り返し、

完全とは言えないが、動かせる状態に戻す頃には、日が少し傾き始めていた。


ここから先、道は二つ。

一つは、広く見通しのいい道。

遠回りになり、途中で野宿を挟む可能性が高い。


もう一つは、少し道が狭いが、近道。

順調に進めば、夜には街に着ける。



フィアの体調は、まだ万全ではない。

長時間の移動や、野宿は避けたい。


そう考え、選ばれたのは――近道だった。



「急がないと」



誰かがそう言ったわけではない。

ただ、そうするのが自然だと思えた。

その道に入って、しばらくしてからだった。



――妙な違和感。



風が止んだように、静かすぎる。

視界は開けているのに、人の気配がない。


フィアが、胸の奥に冷たいものを覚える。



(……何か、変)



その直感が形になる前に、影が現れた。



盗賊だった。

数は多くない。

だが、位置取りが良すぎる。



道は狭く、馬車は急な方向転換ができない。



「いい馬車だな」



低い声。



「まさか、こんな道選ぶなんてな」



その時点で、分かった。

この馬車は、近道に入った瞬間から、目をつけられていた。


シリウスが、即座に剣を抜く。



だが――

次の瞬間、

馬車の中から、フィアが引きずり出された。



「やめ――ッ!」



咄嗟に身体を滑り込ませたルカの肩に、何かが叩きつけられる。

鈍い音。骨に響く感触。

息を呑む間もなく、背中から崩れ落ちた。



「フィア様――!」



剣を構えたまま、シリウスが一歩踏み出した瞬間、

刃が、フィアの首元に当てられた。



「動くな」



その一言で、すべてが止まる。

次に来たのは、衝撃だった。


後頭部に、重い一撃。

視界が揺れ、足元が崩れる。


膝が折れ、視界が傾く。

まるで空気ごと斜めに落ちていく。

意識が遠のく中、

背後で誰かが笑っている声だけが、濁った水のように響いていた。



「馬車には大したもん積んでなかったが……」


「これで十分だろ」


「……そういや最近噂になってる、行方不明の聖女様って、こんな見た目じゃなかったか?」



「知らねえよ」



乾いた笑い声。



「教会に返したって、褒められるだけで金にならねえだろ」


「そりゃそうだ」



短い沈黙。



「じゃあ」


「ああ……決まりだな」



シリウスに最後に見えたのは――

フィアの、こちらを振り返ろうとした横顔だった。

その輪郭も、やがて溶けていった。

視界が、完全に暗くなる。



bad end.

近道

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ