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many merry bad ENDs  作者: 源泉


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19/21

12話1-3(分岐)

※この先は分岐となります。

(12話-1の続き)

物語の本筋を追う場合は、13話へ。





司教は、フィアの腰に回した手を離し、一枚の書類を取り出した。

それに目を落としたまま、淡々と告げる。



「シリウス。貴方は聖女を攫い、穢れた外界へ連れ出しました――」



一枚、紙をめくる音。



「通常であれば、処刑。

あるいは、死ぬまでの投獄が妥当でしょう」



フィアの肩が、わずかに震える。

司教はそれを見ない。



「ですが今回は、事情が異なります」



ゆっくりと顔を上げ、シリウスを見る。



「貴方は、“聖女の願いを聞いた”」



その言葉が、静かに落ちた。



「助けてほしい、連れ出してほしい。

そう言われた結果の行動だった」



司教は、穏やかに頷く。



「それに、フィアも貴方が罪人になることは望んでおりません」



一瞬、希望のようなものが、空気に混じる。

だが、次の言葉で、それは不穏な色に染まる。



「本来なら“終わり”を与えるところを、

別の形に変えるだけです」


フィアが、思わず口を開きかける。

だが、声は出なかった。


司教は微笑みながら続ける。



「シリウス……貴方は、見目がいい」



事実を述べるような口調だった。



「その銀色の髪、整った顔立ち、鍛えられた身体。

そして何より――」



一拍。



「聖女に仕えていた聖騎士、という経歴」



その言葉に、シリウスの指先がわずかに動いた。

司教は、その反応を見逃さない。



「世の中には、何かを所有することで欲を満たす人々がいます」



静かな声。



「それも、人には知られぬよう、密やかに」



司教は、含みを持たせるように口元を歪めて嗤った。



「まして、清廉で、従順。


正しさを疑わずに従っていた美しい聖騎士ともなれば、引く手も数多でしょう」



フィアの喉が、ひくりと鳴る。



「現にこれまでも、貴族の奥方や異国の姫君から……」



司教は言葉を切り、すぐに言い直す。



「――いえ。

そんな世界があるなど、貴女は知らなくてよかった」



司教は、初めてフィアを見る。

その目は、どこまでも慈悲深かった。



「ですが――

彼を罪人にしないでほしい。

そう願ったのは、貴女でした」



フィアの胸が、強く締めつけられる。



「罪“人”でなければ、貴女の願いは叶う」



司教は、静かに言った。



「処刑でも、投獄でもない場所で……

彼は、生かされるはずです」



沈黙。



シリウスは、何も聞かなかった。

行き先も、何を求められるのかも、

問う意味がないことを、すでに理解していた。



ただ一度だけ、フィアを見る。



責める色はない。

恨みも、怒りもない。



それが、何よりも残酷だった。



司教は、書類に署名をしながら、最後に告げる。



「安心なさい、フィア。

貴女の願いは、確かに叶えました」



その言葉が、

二人の世界を、完全に断ち切った。




bad end.

罪“人”ではなく

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