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many merry bad ENDs  作者: 源泉


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17/22

12話1-1(分岐)

※この先は分岐となります。

(12話-1の続き)

物語の本筋を追う場合は、13話へ。





「貴女の選択の結果を、最後まで見ること。それが罰です」



司教は、フィアの腰に添えた手を離さないまま、静かに一歩前へ出た。



「フィア」



名を呼ぶ声は、優しかった。まるで、祈りの時間に導くような調子で。



「貴女は、正しい選択をなさいました」



その言葉に、フィアの肩がわずかに揺れる。



「逃げず、背を向けず、“自分が戻る”という選択をした」



司教は頷く。



「それは、聖女として――とても、尊い判断です」


だが。

次の瞬間、その穏やかな声が鋭さを帯びた。



「だからこそ」



司教は、シリウスの方へ視線を向ける。



「犯した罪に、罰を与えなければ」



それが合図だった。

背後に控えていた騎士の一人が、無言で一歩踏み出す。


剣は抜かれない。

代わりに、鈍い音が礼拝堂に響いた。


シリウスの身体が前に折れる。


息が、詰まる音。

それでも彼は声を上げなかった。

呻きも、懇願もない。


フィアの喉が、ひくりと鳴る。



「……やめて、ください」



かすれた声だった。

司教は、振り返らない。


「見続けなさい、フィア」



再び、衝撃。

今度は、膝が床に打ちつけられる音がした。


シリウスの手が、わずかに震える。

司教は、続ける。



「彼は、貴女を連れ出した。

教会の秩序を乱した。

聖女を、外の世界へ晒した」



ひとつ、ひとつ、数えるように。



「そして――それを“正しいこと”だと信じた」



司教は、そこでようやくフィアを見る。



「違いますか?」



フィアは、答えられない。

違うと言えば、彼が傷つく理由を、否定することになる。


騎士の一人が、荒く息を吐いて口を開いた。



「……ずっと、お前のことが気に食わなかったんだよ」



低く、濁った声だった。



「女みたいな顔で、口数も少なくて。


それなのに、剣を握れば俺たちより上で、聖女様の騎士にまで選ばれて……」



もう一人が、吐き捨てるように続ける。



「正しさを盾にしてさ、一番“清い場所”に立ってるつもりだったんだろ?」



鈍い音が響く。

拳が叩き込まれ、シリウスの身体が前に折れる。



「聖女様を誰よりも尊く守っていたお前があんなことをするなんて……」


「聖女様と一体何をしてたんだよ?なあシリウス……」


「――そのような言葉を……!」



シリウスの言葉は、身体に叩き込まれる拳によって遮られた。



「……聖女様の前で、無様だな」


「俺たちだって望んでやってるわけじゃない。

司教様の命令だ、逆らえないのはわかるだろう?」


「こんな時でも表情を歪ませないなんて……まあ、いつまで持つか見ものだな」



騎士の一人が、シリウスの顎を掴み、無理やり顔を上げさせる。


シリウスの銀の髪に滲んだ赤い血の色が唇に映り、荒い呼吸がそこから漏れていた。


銀の騎士はそれでも、高潔さを失っていなかった。


その姿を見下ろす二人の騎士は、歪な笑みを浮かべた。



「なあシリウス……知っていたか?騎士団の中にお前を狙っている奴は結構いたんだよ」


カチャリと音を立てて、騎士たちは武具を脇に置き、囲むように距離を詰めた。


そこに始まる光景から、フィアが目をそらすことは許されなかった。



それは、ただ痛めつけるだけの行為ではない。

「罰」だった。



フィアの喉から、言葉にならない音が漏れる。



「あ……あ……」



涙が、止まらない。 司教は、その様子を満足そうに見つめる。



「そうです、フィア。見届けなさい」



腰に添えた手に、わずかに力を込めて。



「貴女を守ろうとし、

貴女が守ろうとした者が――

どう壊れていくのかを」



bad end.

反転する罪と罰

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