異世界にサンドイッチがあったっていいじゃないか
――――異世界召喚、それは現代人のひとつの夢である。
「私の名前はハンナ。冒険者よ」
「俺はリクト。召喚者なんだ」
「へぇ、そうだったのね」
「うん。それで冒険者になりたいんだけど、冒険の心得を学びたいから教えてくれる人を探しているんだ」
「それなら私がしてあげる!ちょうどパーティーメンバーが欲しいと思ってたのよ!」
「ありがとう!」
「じゃぁまずは冒険の準備だけど……召喚者ってことは必要装備は支給よね」
「ああ。冒険者志望だったから剣と部分鎧、それから召喚者手当てももらえたよ」
「なら準備はバッチリね!だけど冒険の前には腹ごしらえが重要よ!最初は私がおごってあげる」
「ありがとう。でも何を食べるんだ?」
「ピャドゥレウニャよ!」
「え?」
「私たちフェリーチェ王国民の国民食、ピャドゥレウニャよ!」
「ど……どんな食べ物なの?」
「こうベパベウリョでピャドレした美味しい食べ物よ!中にはジャムだとか肉野菜をピャドレするの!」
いや、ピャドレって何だ。
「あ……!早速ピャドゥレウニャ屋さんよ!」
「ああ、うん」
「この国には至るところにピャドゥレウニャ屋さんがあるの!何たって国民食だもの!」
日本のコンビニには必ずと言っておにぎりがあるのと同じ感覚だろうか。
「最初はオーソドックスなIOCピャドゥレにしましょ!」
「え?今なんて?」
「IOCピャドゥレよ」
国際オリン○ック委員会 ?
「イイレタス、オーベーコン、シートマトをピャドレした取って置きなんだから!」
「ああ……うん?」
「はい、IOCピャドゥレ!」
「ありがとう」
明らかにBLTに見えるんだけど、多分そうなんだろうな。
「あ……美味しい」
「でしょう?その他にもピャドゥレウニャにはHP回復やMP回復などの効果を得られるものだってあるの!冒険にとっても必需品よ!」
「そ……そうなんだ」
「そうと決まれば……早速ピャドゥレウニャのための材料を集めながら素材採集よ!」
この世界……いや国ではクエスト<ピャドゥレウニャらしい。
「えいやーっと!」
「ほいやっ!」
ハンナのお陰で初クエストも順調である。
「それじゃぁケラケラウヌスの角を後でギルドに収めるとして……まずはケラケラウヌスの肉でベーコリャーカン風ピャドゥレウニャを作りましょう!」
「ベーコリャーカンって何?」
「隣国よ。隣国のベーコリャーカ!ベーコリャーカでもピャドゥレウニャは愛されていて、特に特盛肉ピャドレは大人気なの!」
「へえ、それは楽しみ」
早速ハンナが魔法で火おこししてくれて、ケラケラウヌスの肉を焼きピャドレしていただく。
「うーん、ジューシイ!」
「じゅー……異世界語?」
「そうだよ、ハンナ。こうやって肉汁が溢れる旨味をそう言うんだ」
「うまみ……?」
「この肉のうまさのことだよ」
「ああなるほど!異世界間交流って楽しいわね!」
「あ……ああ、うん。でもこの世界ではジューシイは何て言うの?」
「ケラケラ」
まさにジューシーお肉ウヌス!!
「そうだ!異世界でもピャドゥレウニャはあるのかしら」
「ああ、うん、あるよ」
少なくともそんな名前じゃなかったけど。
「じゃぁまだ見ぬピャドレのレシピが分かるかも!」
「そうだなぁ……この……ピャドレの外側」
「ベパベウリョよ」
「ベパベウリョの表面をトースとした」
「とーすと?」
「焼き色をつけるってこと」
「ああ、フリャラランガね!」
地球の武器の名前にそんなのがなかったっけ。
「フリャラランガするのも美味しそうね。やってみましょ」
「あ、ああ!」
フリャラランガしたピャドゥレウニャは……超旨かった。
「他にもフルーツをホイップとピャドレしたものとか」
「ふるー……」
これも通じないの!?
「こう、赤いイチゴとかを白いふわふわクリームで」
木の枝で絵を描いて説明する。
「ああ……ワンファイブをババンビーニョでピャドレするのね!材料ならマジックバッグに入ってるわ!早速作ってみましょ!」
「ああ……うん?」
15と……ババンビーニョ?
「んんっ、これもおいし~~い!」
「ああ。美味しいなぁ」
「こちらの世界ではね、ピャドレを一緒に食べたらみな仲間って言葉があるの!私たちも最高の仲間よ!」
「そ……そうだね?」
「ピャドゥレウニャで……カンパーイ!」
「……カンパーイ!」
初めての異世界召喚。最高のピャドゥレウニャ仲間ができたのは何よりだが……その、さ。
――――ピャドゥレウニャって何。
……サンドイッチでよくない?
【完】




