【04 skit01 ユッキーと俺】
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・【04 skit01 ユッキーと俺】
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一度聞いたことがある。
「ユッキーってさ、何でクサい食べ物好きなの?」
何気なく聞いた一言だったが、どうやらユッキーのスイッチを押してしまったらしい。
「匂いって人間の本質なのっ!」
「……人間の本質?」
「そう! 匂いこそ個性!」
力強く拳を握って力説し始めたユッキー。
いや
「大きく出たなぁ」
「クサいモノが好きな人はね! 人間力が高いと思うのっ!」
「幼馴染がクサい食べ物の話で、人間力とまで言い出した……」
少し恐れおののいた俺。
「だってそうじゃん! 人間臭いって、そういうことだよっ!」
「いやどういうことだよ」
「匂いっていろんなこと判断できるんだよ! その匂いが好きということは判断力に優れているということ! 匂いの語彙も豊富ということっ!」
俺は疑問符を浮かべながらも、
「う~ん、まあ、そうなのかなぁ」
「で、クサい食べ物って発酵食品が多いでしょ!」
「それは分かる」
「発酵って発光だから! 光り輝くってことだから!」
やたら嬉しそうに喋るユッキー。
「いや字が違うじゃん」
「クサい食べ物こそ一番星なのっ! クサい食べ物が好きな人は光り輝く一番星になれるのっ!」
「そんな、駄洒落と勢いを放たないでよ」
「だからさ! コウくんも匂いが好きになってよ!」
そう言って俺の両肩をガッと掴んできたユッキー。
いや
「そりゃ良い匂いは好きだけどさ……」
「そして私の匂いを好きになってくれたらいいなぁ……」
「んっ? 何か言った?」
「……! ううん! 何でもない!」
何だか小さな声で呟いたけども、まあいいか。
俺は実は一つ分かっていることがある。
それは何だかんだでユッキーが一番変人だということを。