21 音楽
「うっ…くそ…」
サイガと天使は、悪魔の雷をくらい、森の茂みの中へと飛ばされた
「サイガ…もう俺の体力は0だ。すまない…」
サイガの手下と、天使の力は分離してしまった
「くそ…!悪魔の力がおかしすぎる…」
「だが、こんなところでくたばっている場合ではない。俺はユグを探し続けるしか無いんだ…」
バッ…!
サイガはユグを探しに向かった
………………
町は、2番目の小悪魔によって、様々なところが破壊されている…
その破壊された様子を見に来た1人の男がいる。その男の名は、イブ
「こんな状態になって…嘘だろ…」
「一刻も早くこの力ギミックを止めないといけないのに…俺は何も出来ない……あの時あれを創ってさえいなけばこんなことにはなっていなかったのに…」
そこでイブは何かに気がつく
「あの人が持っているのって…エレメント?」
タッタッタッ…!
イブは、太郎のもとへと近寄っていった
「あのー…すいません…」
「はい?どうしました」
「その魔法石…なんであなたが持っているんですか?」
イブは不思議そうに太郎に聞く
「あなたはこれについて知っているんですか…」
聞き返す太郎
「知っているもなにも…それを創ったのは私ですからね」
「創…った?ていうことは…何故私が生き返ったのか、この世界は何なのか知っているのですか?私は復活した悪魔の力を倒すためにも…何でも良いので情報が欲しいんです」
「この世界が何なのか…何故生き返ったのか、それは私には分かりません」
「しかし、力が復活したという点…少し引っかかります。力を復活させることができる、それは力のギミックを制御する、力の核を使わなければ出来ないはず」
「もしかすると、ユグの仕業かと…」
「力の核…」
「実は昔…魔法石の研究をしていたんです。これさえあれば生活を豊かにできると自信を持って研究を進めていました。でも、ユグに奪われてから全て狂ったんです」
「私は昔、ヒーローをしていました。確かに、そこでもユグは悪事を働いていました」
「天使の力という強大な力を創り出したり…」
「私があの時、研究は辞めていれば…あの時核を破壊しておけば良かったんだ…」
「今この間も悪魔の解放は進み続けています。私達で絶対に乗り越えましょう!!」
「はい…そのつもりです。私が責任を取らないといけないですから」
そうして2人は、リエイ家へと歩いていった。道中、彼らはこれまでの体験を語り合った
そして家に着くと、イブは広い図書室の中へと入っていった。様々ある本の中で、イブは「世界のリセット」という本を手に取る
「確かにこんな本あったな…もしかしたらユグは、これを参考にしているかもしれない。早速見て見るか」
「あぁ…」
ペラ…ペラ…
読み進めていくと、それらしきものを見つけることが出来る…
「あった…もしかしたらこれの事かもしれない」
リセット機能は自分の大切な物が破壊したときに実行される。内包されている力でその大切な物を創りかえることができます。内包されている力が大きければ大きい程創りかえる物は大きくなるでしょう。これを創るにしても何年もかかります。それに、何人もの人数が必要。私みたいなぼっちは、創ることは無理でしょう
注意書き…あくまでも空想のお話です
「ユグはこの空想ストーリーを参考にし、現実にしたのかもしれない」
「魔法石なら、世界丸ごと創り変えることも可能ってことなのか?」
「私が死んでいたあの間で、こんなにもユグに好きなように使われていたのか…悔しい…」
リセットによって2人は生き返ることが出来たと知った。
しかしそんな中でも、悪魔の解放は止まらない。遂には3人目までもが生まれてしまうのだった…
これは数日前のこと…
ある学校に通っている真理と祐希の女性2人は、友達同士で、共に美術部に所属していた
「やっぱり楽しいね。絵を描くのって」
「だね~」
そこで真理は、祐希の筆箱を見て気づく
「ていうか、筆箱についてるそれ何?めっちゃ可愛い」
「でしょ!これおじいちゃんから貰った絵なんだ。可愛かったからストラップみたいにしちゃった」
「私のおじいちゃん美術好きで、私にやって欲しかったみたいなんだよね」
「あまり上手くはないけどね」
「うわーめっちゃいいじゃん。そうだ!明日の大会どうなると思う?」
「もう作品送っちゃったじゃん…私なんか自信ないかも」
「私は自信満々だな~」
そうして大会当日を迎える
審査員の判断により、作品の順位が発表される
祐希の順位は9位という結果になってしまったが、まだ真理の順位は発表されていない
そして真理の作品は、1位か2位かのどちらかのところまできた
祐希はその様子を手を握らせて祈っている
結果…
真理の作品は優勝したのだった!
「真理ー!!」
真理に金メダルがかけられる。表彰台から降り、席に戻る真理に抱きつく祐希
「優勝…!?真理凄すぎるよ!!」
「ホントに私がこの賞を取れるだなんて…」
「この大会は本当に世界的にも凄い大会だから…やばい、嬉しい」
「やったー!!」
そして次の日、真理の作品が優勝を取ったことが学校中で広まる。
真理はクラスで一躍有名人となる
放課後…
「凄いね真理、ホント有名人みたい。なんちゃって」
「クラスの人達に凄いねとか、話したこともない人からおめでとうって言われた。私、今まで感じたことのない嬉しさというか…」
「みんなの期待に応えるためにも、これからもっと腕を磨き上げる」
真理は部室で、作品を描き始めた
「今日塾あるからまた明日ね~」
トコトコ…
祐希は帰っていった
「私はみんなから認められるような人間になる。この絵が目覚めさせてくれたんだから」
次の日の放課後…
祐希が部室に入ると、もうすでに真理は絵を描いていた
「今日はどんな絵描くの?」
「ちょっと静かにしてて」
「静かに?あ…そう」
「私はもっと色んな人から認められるために描き続けないといけないの…」
「承認…?なんで、そんな急に?」
「急じゃないよ。私には才能があるってあの時知ったでしょ。私には才能があるの!」
「邪魔するならもう…家で描くからいいよ」
真理は席を立った
「ちょっと…!待ってよ」
「あそうだ。あなたの筆箱についてるそれ、全く良くない絵だね。ホントに」
「なんでそんなこと言うの…!真理…賞を取ったからって急に偉そうになってるじゃん」
「私はみんなに認められた一流だから…」
「もういい帰るから」
トコトコ…
真理は自身の絵を持って家に帰ってしまった…
祐希はその場に崩れ落ちる…
「絵が…真理を変えたんだ…あんなに楽しかった思い出は、全部0に…」
祐希は筆箱についている絵を取り、それを投げようとした。すると…
トコトコ…
そこにユグがやってくる…
「そこの君、何かあったみたいだね」
「は…はい?誰なんですかあなた…」
「あなたには関係ないことですから…」
「そのお前の真っ黒い感情…この石を使えばどうにかなるぞ。その思いをこれに吐き出せば良いじゃん」
「何ですかこれ…石?」
祐希はユグから石を授かった
「でも、これを使えばこの気持ちは楽になる……それなら試しにやってみてもいいかも…」
祐希はその授かった力を使った
「狙い通り…ほら行け!小悪魔!」
ヒュンッ!!
3人目の小悪魔は、祐希の中にある魔法石に侵入する…
「うっ…何これ…」
「うっ…!ガアァ…!!」
祐希の声色が変わる…
「musicの力…」
バーーン!!
変身の勢いで、周りの色んな作品が吹き飛ぶ
「壊す…絶対に…!」
バッ…!
パリンッ!!
祐希は部室の窓ガラスを割って外に出ていってしまった
ヒュッ…
スタッ…
「行く場所は1つ…」
祐希が降りたところには、ちょうど太郎がいた
祐希と目があった太郎は、すぐにエレメントの用意をする
「また悪魔かよ…せっかくリセットについて調べてたところなのによ」
「誰だ…?私の邪魔をするようなら、お前も壊してやる」
「やってみろ!エレメントの力!」
「奏でろ…」
祐希は自身の周りにメロディーを奏でる
♬♬♬~~
「死のメロディー!!行け…!」
能力によって、音符を具現化させる
ヒュンッ!!
ババババ!!
「ぐあぁぁぁあ!!」
その攻撃は、太郎に命中してしまう
バタッ…
「なんだ…こんなもんでもう終わりか。ふっ…」
「くっ…まだだ…まだ終わるわけにはいかない…」
「風、電気…」
「はっ!疾風迅雷!!」
バッ…!
太郎はその2つの力を纏い、目にも止まらぬ速さで祐希に向かっていった
しかし…
「うっ…なんだ…?」
バタッ…
急に太郎は倒れだした…
「痺…れる…」
「どう?私のこのメロディーは、痺れちゃうほど感動するでしょ」
あの音符には、一定の間痺れてしまう効果があるのだった…
「うっ……くっそ…」
「何?もっと聞きたいのかしら?」
「言われなくても存分に聞かせてあげるから、楽しみにしとけ!はあっ!」
ババババ!!
「ぐあぁぁぁあ!!」
バタッ…
「はあぁ…はあぁ…まだだ…まだ…だ」
「はあぁ…もういい、こんなところで時間使ってる場合じゃないからさ」
「私は真理の目の覚ますためにも、全ての絵を破壊して消し去る…真理は絵によって何もかも変わってしまった。だからこのくらいしないといけないの…はっ!」
真理は、絵のせいで変わってしまったと嘆く祐希
バッ…!
そうして、どこかへと飛び去ってしまった…
「行くな…行くな…!くそ…ダメだ…!あのメロディーをくらうと身体が動かなくなる…」
「あいつを倒すには、どうしたらいい…」
その時だった、太郎は何かを見つける…
ヒラヒラ…
誰かの絵が落ちてくる…
「何だあれ、あいつの持っていた…物?」
太郎は近づいてその小さな絵を手に取った
「可愛らしい女の子の絵じゃん…何であいつがこれを…」
一方で、サイガはというと、自身の拠点に身を置いていた。そして辺りもすっかり暗くなってきた…
「くそ…解放までのスピードが早すぎる…!このままではこの世界は終わってしまうぞ…」
「やっぱりobeyは捨てて、乗り換えた方がいいかもな……そうとなったら明日か……待ってろよ…くそ悪魔、ユグの野郎が!」